2021/05/17

おもちゃの取り合いやちょっとした悪ふざけから起きる兄弟姉妹のケンカ。よくあることとはいえ、毎日のように続くと親の方もイライラしてしまいますよね。

親が仲裁したり止めたりする方がいいのか、気が済むまでやらせていいのか…と迷っている人もいるかもしれません。

そこで今回は、兄弟姉妹のケンカについて、理由やきっかけ、親が介入するかどうかの判断やタイミング、しだいにケンカが減るおすすめの対処法などを紹介します。

兄弟姉妹喧嘩の「あるある」と理由やきっかけ

過去に1歳から12歳までのお子さんを2人以上育てているママ・パパ 50人に実施したアンケートで、お子さんのケンカの理由やきっかけを教えてもらったところ、多かったのは次のようなものでした。

● おもちゃの取り合い(31人)
● おかずやおやつの量の多い少ない(23人)
● ママの横で寝る・遊ぶなどの順番(13人)
● 一緒に遊んでくれない(11人)
● ちょっかいをかけた、かけられた(9人)
● 戦いごっこが本気になった(9人)

結果を見ると、モノや人(ママ)の取り合いが最も多く、その次に多いのは一緒に遊ぶときにケンカに発展しているようですね。

「あるある」として挙がったのは、

● 途中で何が原因でケンカしているのか分からなくなる
● 「何もしてないのにお兄ちゃんが怒った」と下の子が訴える
● 自分が最後に叩く側になりたくて、エンドレスで叩き合う

など。

アンケートには、「何もしてないのに…」と言う下の子に対し、ママの心の声として(そんなわけないでしょ!)と書かれており、想像すると思わず笑ってしまいますね。

調査期間:2020年4月
調査人数:50人(女性45名/男性5名)
調査方法:インターネットアンケート

止める?止めない?タイミングは

子供のケンカは、親がどこまで介入・仲裁したり止めたりするべきなのでしょうか。

こちらには以下のようなコメントが寄せられました。

「私はシンプルに、どちらかの手が出たら止めます。年齢差があるので、上の子が手を出せば下の子は力で負けてしまう。下の子は手加減ができないので、上の子が思わぬケガをするかもしれません」
(Nさん・8歳と3歳の男の子のママ)
「声はかけますが、やめなさいではなく、これ以上ケンカするんだったらもう遊びは終わりだよ、もっと遊びたいならどうしたら遊びが続くかを考えなさい、と言って様子を見ます。その場はたいてい決裂しますが、しばらくすると仲良く遊びに戻ることが多いですよ」
(Eさん・4歳の双子のママ)

と、声をかけるタイミングはさまざまですが、それぞれ「手が出たら」「近所迷惑のレベルを超えたら」など、一定のルールを持って対処していることが分かります。

親のおすすめ対応

兄弟ゲンカが起きたとき、親として避けたいNG対応とその理由、今後のためにおすすめの対応も紹介します。

「お兄ちゃん、お姉ちゃんでしょ」はできるだけ避けて

子供時代を振り返ったとき、多くの人、特に弟妹のいた人が「不満だった」と感じているのが、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだからがまんしなさい、ゆずってあげなさい」という親の言葉ではないでしょうか。

子供自身も、たいていは日頃から「お兄ちゃん、お姉ちゃんらしくなりたい」と思っているため、そう言われるとそれ以上逆らえなくなってしまいがち。

しかし、自分の思いや言い分を聞いてもらうことなく、ただ年上だからという理由だけでいつも譲歩を求められては不満がたまってしまいます。

これが積み重なると、親の目が届かない時に意地悪したり、むりやりおもちゃを取り上げたりするようになる可能性も…。

叱る場面ではなく、上の子が手を出さなかったときなどに「さすが、お兄ちゃんだから叩かずに言葉で言えたね!」のようにほめるのがおすすめです。

親がジャッジしないほうが良い

ママやパパは忙しいので、子供のケンカの一部始終を見ていられないことがほとんどだと思います。

ケンカが始まったとき、どちらか1人が悪いように見えても「はい、○○が悪い!謝りなさい!」とその場でジャッジするのはおすすめできません。

場所を離すか「先にお姉ちゃんの話を聞くね」などと伝えて、1人ずつ事情を聞いてみると、前後の流れが把握できたりお互いに誤解があったと分かったりするかもしれません。

その上で、「本を読んでるのを邪魔されてイヤだったんだね」「イジワルじゃなくて、一緒に遊びたかっただけなんだね」と、子供の思いに寄り添ってフォローできるとベストですね。

おわりに

兄弟姉妹は、子供が出会う一番最初の「社会」だと言われます。

なかには穏やかな子たちでケンカがほとんどないケースもありますが、もし毎日ケンカ続きだとしても、その中で子供たちが学ぶことはたくさんあるはず。

親としては、「どちらかが泣いたら終了」「死ねなどの言葉を使わない」など最低限のルールを決めたうえで、ケンカをゼロにするのではなく、ケンカが貴重な経験となるような対応をめざしていきたいですね。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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