多くの女性が一度は悩まされたことがあるであろう「生理痛」。生理痛で悩んでいる方のなかには「痛いのは仕方のないこと」と思い、とくに対策をしていない方も多いのではないでしょうか。
しかし生理痛の裏には、時として病気が潜んでいることもあります。病気の治療を始めることで、痛みが緩和されることも少なくありません。ここでは、生理痛で受診する目安や、市販薬での対処方法をご紹介します。
生理痛は、子宮の内側を覆っている子宮内膜が剥がれ落ちるときに感じる痛みです。卵子と精子が受精し妊娠が成立したときに備えて、子宮内ではベッドの役割をはたす子宮内膜が妊娠の有無にかかわらず準備されています。排卵後、受精しなければ子宮内膜は不要になるため、剥がれ落ちていくのです。
このとき、子宮内膜を外に出そうとするプロスタグランジンというホルモンが分泌されます。プロスタグランジンは痛みを引き起こすはたらきがあるため、生理になると痛みを伴うことが多いのです。
この数字は、生理のときに痛みを感じている方の割合を示したものです。非常に多くの方が生理痛を感じていることがわかります。
実は、生理痛がない方のほうが珍しいのです。そのため「生理痛は当たり前」「みんなも我慢している」と思い、ひたすら痛みを我慢している方もいるでしょう。
しかし、生理痛は我慢するものではありません。痛みの程度や症状に合わせて、まずは自分に合う市販薬を見つけてみましょう。
15歳未満の方が使える鎮痛成分には、アセトアミノフェンがあります。ほかの成分は15歳以上からでないと使えないものがほとんどなので、必然的に小中学生の方が使う痛み止めはアセトアミノフェン配合のものになるでしょう。
ただし、アセトアミノフェンを使っている市販薬のなかでもタイレノールAだけはメーカーが15歳以上からしか飲めないとしているので、こちらは服用できません。
15歳以上になると鎮痛成分の選択肢が増え、イブプロフェンやロキソプロフェンナトリウムなども使えるようになります。鎮痛効果はロキソプロフェンナトリウムのほうが高いため、痛みがつらいときはこちらを選ぶとよいでしょう。
ただし、ロキソプロフェンナトリウム配合の痛み止めは第一類医薬品に分類されているため、薬剤師からの説明を受けないと購入できません。
生理が始まると、下痢気味になってしまう方もいるでしょう。そのような方には下痢止めの成分も入っているエルペインコーワが向いています。鎮痛成分のイブプロフェンと、腸の異常な収縮を抑えるブチルスコポラミンが配合されている唯一の生理痛専用薬です。
寝込むほどの生理痛、痛み止めを飲んでもつらい生理痛。あまりにつらい場合は、体質うんぬんの問題ではなく月経困難症の可能性があります。
月経困難症とは、日常生活に影響が出るほど強い生理痛や頭痛などの症状が出ることです。ここでは月経困難症の原因になりやすい代表的な3つの疾患をご紹介します。
生理痛は誰にでも起こりうるものですが、子宮内膜症や子宮筋腫などが原因となっている場合もあります。不妊の原因になることもあるため「生理痛ぐらいで…」と思わず、次のような症状があったら早めに医療機関を受診しましょう。
痛み止めを飲んでも生活に支障が出るほど生理痛がひどい場合は、決して我慢しないでください。受診してもとくに疾患が見つからないこともありますが、痛みをコントロールする治療をすることで生活がぐんと楽になります。
クラミジアや淋菌などの感染症が原因で下腹部に痛みが出ることもあるので、念のために医療機関を受診しておくことがベターです。
寝込むほど生理痛がつらい方も、早めに治療を開始しましょう。必ずしも疾患が原因で生理痛になるわけではなくもともとの体質の可能性もありますが、治療を開始することで痛みのコントロールができるようになります。
ナプキンを頻繁に変えなければいけないほど出血量が多い場合は、子宮筋腫や子宮腺筋症などの疑いがあります。こちらも治療で出血量をコントロールすることが可能です。
生理痛で受診した場合、主に次の3つの治療が行われます。
子宮内膜症や子宮筋腫など疾患が見つかった場合は、疾患そのものにアプローチする治療を行っていくことが基本です。
痛み止めを見て様子をみることもあれば、ホルモン剤を服用して症状の悪化を防ぐこともあります。症状の程度によって、また患者さんの要望によっては手術も選択肢となるでしょう。
低容量ピルは避妊のためだけではなく、生理痛や子宮内膜症、PMSなどさまざまな治療に用いられます。服用することで子宮内膜の増殖を抑えられるため、生理痛を和らげることができるのです。また出血量も減らせるので、生理時の不快感も軽減できます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などの漢方薬で生理痛の治療が可能です。生理痛がなぜ重くなるのか、体質を見ながら個々に合う生薬を服用します。子宮内膜症や子宮筋腫なども漢方薬での治療が可能です。
「布ナプキンは子宮を温めるから生理痛が軽くなる」と聞いたことがないでしょうか。たしかに布ナプキンは、使い捨てのナプキンと比べると「温まりそうな雰囲気」はあります。
しかし、これはあくまでも「雰囲気」だけであり、実際に布ナプキンで生理痛が軽減できるほど温まることはありません。また生理痛は子宮内膜が剥がれ落ちることにより起こるものです。布ナプキンをあてたところで子宮内膜に影響することは一切ありません。
痛みを引き起こす原因となるプロスタグランジンの量にも変化はないため「布ナプキンを使えば生理痛が軽くなる」に信憑性は一切ありません。
生理痛は女性なら誰にでも起こるものです。しかし、誰でも経験するものだからといって、痛みを我慢する必要はありません。自分がつらいと感じたのなら、我慢せずに痛み止めを服用しましょう。
あまりにつらい場合は医療機関を受診してみることも大切です。もし子宮内膜症や子宮筋腫などが見つかれば、治療をすることで生理痛を和らげることができます。疾患がなくても治療で痛みのコントロールが可能です。
生理痛が軽くなるだけで、日常生活は大きく変わります。仕方ないで終わらせずに、一度、生理痛と向き合ってみてください。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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