デリケートゾーンにかゆみやおりものの変化があったら、膣カンジダ症になっているかもしれません。膣カンジダ症は強いかゆみや白っぽいおりものの増加などが代表的な症状です。
「つらい症状を早くなんとかしたい」と思ってはいても、なかなか受診する勇気が出ない方もいるでしょう。そこで今回は、膣カンジダ症の原因や症状から市販薬での治療方法までご紹介します。「周りに相談しづらい」「市販薬で治療をしたい」という方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
膣カンジダ症は女性なら誰でも発症しうる感染症です。性感染症として見られることもありますが、性行為の経験がなくても感染するため、厳密にいうと性感染症ではありません。
女性の約20%が一度は経験する感染症だと言われています。まずはどのような症状が出るのかを見ていきましょう。
膣の中にはさまざまな常在菌が存在しています。常在菌とは、体の中や皮膚などにもともと存在している微生物のことです。膣カンジダ症の原因となるカンジダ菌も、この常在菌の1つとして知られています。
つまりカンジダ菌は、常日頃から私たちの体に存在している可能性があるということです。何らかの原因によってカンジダ菌が異常に増殖すると、膣カンジダ症を発症してしまいます。
とくに多い症状として知られているのが、外陰部のかゆみです。我慢できないほどのかゆみを伴うことが多く、あまりのかゆさにデリケートゾーンを傷つけてしまう方もいます。人前ではかけない場所なので、ひたすらかゆみを我慢して過ごしている方もいるでしょう。かゆみと同時に灼熱感を伴うこともあります。
かゆみと並んでよく見られる症状が、おりものの変化です。カッテージチーズやヨーグルトのように白っぽくて少しどろっとした状態のおりものが見られます。
排尿するときに痛みを感じるのも膣カンジダ症の症状の1つです。カンジダ菌の感染が広がると、まれにですが尿道炎になることもあります。
とくに患部をかきすぎて赤く腫れているようなときは、性行為のときに痛みを感じやすくなることも特徴です。
膣カンジダ症は性行為でしか感染しないと思っている方もいるかもしれません。たしかに性行為で感染することもありますが、実はそれ以外の理由で感染することのほうが多いのです。
疲れやストレスがたまっていると、カンジダ菌がどっと増殖してしまうことがあります。普段なら悪さをすることのないカンジダ菌ですが、疲れやストレスで免疫機能がうまくはたらかなくなると、菌の数が異常に増えて膣カンジダ症を引き起こしてしまうのです。
風邪やインフルエンザなどにかかっているときも、体の免疫機能は弱まっている状態です。するとカンジダ菌が異常に増殖して、膣カンジダを発症してしまうことがあります。感染症の治療で抗生物質を服用している場合も、常在菌のバランスが崩れて発症しやすくなることが特徴です。
膣カンジダ症は、女性ホルモンのバランスによっても発症しやすくなります。とくにエストロゲンの量が増える妊娠中は膣カンジダ症を発症しやすいものです。エストロゲンが多く分泌されることで、膣内のpHが低下します。すると常在菌のバランスが崩れてカンジダ菌が異常に増殖してしまうのです。
性行為によっても膣カンジダ症は感染します。カンジダは男性でも発症することがあるため、性行為によって感染することも十分にあるのです。男性の場合は尿道に感染することが多く、女性とは違って排尿痛がよく見られます。
もしもパートナーが排尿痛をうったえている場合は、感染症の可能性もあるため性行為は控えましょう。もちろん自分が感染しているときも相手にうつす可能性があるので、治癒するまでは控えなければいけません。
つらいかゆみは1分でも早く治したいもの。しかし「病院に行く時間がない」「婦人科に行くのが苦手」と感じている方も多いでしょう。そのようなときは、市販薬を使って治療をしてみてはいかがでしょうか。
膣カンジダ症の治療薬は、薬剤師のいる薬局やドラッグストアでも購入できます。医療機関を受診せず治療ができるのはとても便利ですね。
しかし、市販で売られている膣カンジダ症の治療薬は「再発治療薬」です。過去に医療機関で膣カンジダ症の診断を受けた方しか購入できません。
膣カンジダ症と似たような症状が出ていてもほかの感染症の可能性あがるため、初めての方は購入できない決まりになっているのです。
市販の膣カンジダ症の治療薬には、クリームと膣錠の2種類があります。主に外陰部に症状が出ている場合はクリームが使いやすいでしょう。ただし、外陰部にしか症状が出ていなくても、膣内にも原因菌がひそんでいる可能性が否定できません。そのため、できれば併用したほうが治療効果は高まります。
クリームは要指導医薬品といって、薬を使う本人が薬剤師から対面で説明を受けたときのみに購入できるものです。ネットショップでは売られていないため、購入する際は薬局やドラッグストアに足を運んでくださいね。
クリームには、主に次のような製品があります。
どれも膣カンジダ症に有効な抗真菌薬が配合されている治療薬です。エンペシドLクリームにはクロトリマゾール、メディトリートクリームにはミコナゾール、フレディCCクリームにはイソコナゾールという成分が配合されています。
それぞれ配合成分は違うものの、膣カンジダ症に対する効果に大差はありません。好きなメーカーや価格で選んでも問題ないでしょう。
外陰部だけでなく膣の内部にまで症状がある場合は、クリームではどうしても膣内にまでお薬の成分が届かないため、膣錠を選ぶのがベターです。膣錠の場合、フレディCC1A以外は第1類医薬品に分類されているため、こちらも薬剤師がいる薬局やドラッグストアでなければ購入できません。
膣内にも外陰部にも症状があるときは、膣錠とクリームを併用しましょう。そうすることで原因菌をしっかりと殺菌できます。
クリームと同様に膣剤のお薬も製品による大きな違いはとくにありません。ただし、錠剤の大きさがお薬によって違うので、使いやすいものを選ぶとストレスなく治療できます。
膣カンジダ症の治療薬は、とくに使い方に注意が必要です。正しく使わないと治らないだけでなく、症状がぶり返してしまうこともあります。
クリームも膣剤も使うときは、必ず事前に手を洗いましょう。とくに膣剤は挿入して使うものなので、手を洗わずに使用すると雑菌が入り込んでしまう可能性があります。
クリームは症状が治れば塗るのを止めてかまいません。ただし膣錠は、途中で症状が落ち着いても必ず全部使い切りましょう。途中で止めると原因菌をしっかり殺菌できず、症状が治らない可能性があります。
もし使い切っても治らなかった場合は、膣カンジダ症以外の可能性があるので早めに婦人科を受診しましょう。
膣カンジダ症の市販薬は、これまでに医療機関で膣カンジダ症だと診断された方しか購入できません。膣カンジダ症ではない方が市販薬を使っても、症状が治らないだけでなく治療が遅れて悪化してしまう可能性があるためです。
正しい方法で治療するためにも、初めて膣カンジダ症のような症状が出た方は必ず婦人科を受診するようにしましょう。婦人科は生理痛や癌検診、膀胱炎やPMSなどさまざまな治療をする場所です。決して妊娠している方や性感染症の方のみが通う場所ではないので、安心して足を運んでくださいね。
デリケートゾーンに強いかゆみがあったり、カッテージチーズのようなおりものが出ていたりする場合は、膣カンジダ症の可能性があります。風邪を引いたり疲れていたりするときに発症しやすい感染症です。
これまでに一度でも膣カンジダ症と診断されたことがある方は市販薬でも治療できるので活用してみてください。初めての方はほかの疾患の可能性も考えられるので、まずは婦人科を受診しましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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