最近、『そろそろ妊娠したいんですけど・・・』と言われる未婚の方が増えておられます。
超少子化時代に入った令和の時代に、一人でも多くの子供たちが誕生していただきたいと思いますので、このような相談はとてもうれしいですね。
そこで今回はこのような相談をされた時に、皆さんへお話していることを書かせていただきます。
覚えていただきたいキーワードは、【風疹】と【葉酸】 です。
風疹とは、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とする、ウイルス性の発疹症です。なぜ風疹が問題なのかと言えば、妊娠中(特に妊娠初期)に風疹にかかると風疹ウイルスの胎内感染により、赤ちゃんが先天性風疹症候群という先天異常を引き起こす可能性があるからです。
先天性風疹症候群の3大症状は先天性心疾患、難聴、白内障です。それ以外にも網膜症、肝脾腫、精神発達遅滞など多岐にわたる症状が現れる場合もあります。この病気自体を治療する方法はないため、大事なことは妊娠中に風疹にかからないように予防することが大事です。
予防で大切なことは十分高い抗体価を妊娠する前に獲得することが大事です。
多くの自治体では、風疹抗体検査を受けることに対して補助金を出していますので、お住いの地域の保健センターへ尋ねてみるとよいと思います。その検査で十分な抗体を保有していないことがわかれば風疹予防接種を受ける必要があります。地域によってはその予防接種も補助している自治体もありますので、併せて尋ねるとよいでしょう。
続いて、葉酸のお話に移ります。
葉酸とは緑黄色野菜などに多く含まれているビタミンB群の一種で、DNA合成に必要とされる栄養素です。妊娠期に葉酸が欠乏すると赤ちゃんに影響があるとされています。葉酸は体の中での蓄積ができず、毎日摂取する必要があります。
また、食品中の葉酸の吸収率は50%程度ですが、サプリメントの葉酸の吸収率は85%といわれています。そこで厚労省も妊娠を目指しておられる女性に葉酸をサプリメントで摂取することを推奨しています。その理由は神経管閉鎖障害という先天異常の発症リスクを低下させる効果があるためです。神経管閉鎖障害は主に先天性の脳や脊椎の癒合不全で、脊椎の癒合不全を二分脊椎といって、生まれたときに腰のあたりに腫瘤があるものが最も多いとされています。1998年の日本でのデータでは出産1万人に対して神経管閉鎖障害の発症は6.0人、うち二分脊椎は3.2人となっています。
具体的にはこれから妊娠を目指しておられる女性の方は、妊娠する1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間、食品からの葉酸摂取に加えてサプリメントから1日400マイクログラムの葉酸を摂取すれば、神経管閉鎖障害の発症リスクを減らすことが期待できるとしています。一方、妊娠が判明してからの摂取でも効果がみられたとする報告があるので、妊娠が判明してからでも葉酸のサプリメントを摂取するようにしましょう。
また、神経管閉鎖障害の発症には葉酸だけではなく、様々な因子が複合して関わっているので、葉酸サプリメントさえ摂取しておけば神経管閉鎖障害が予防できるわけではありません。いろんな種類の葉酸サプリメントが発売されていますが、ドラッグストアの赤ちゃんコーナーに行けば妊娠を目指す方の葉酸サプリメントを置いていますので、それを購入されることをお勧めいたします。
以上、妊娠を考えているあなたへの準備を二つほど紹介させていただきました。ぜひお役に立てていただき、少しでも安心して妊娠されていただければ幸いです。
津田産婦人科クリニックは平成20年4月に安芸郡海田町に開設いたしました。先代は昭和51年に三原市で津田産婦人科医院を開設し、没する平成6年まで三原市の地域医療に貢献してまいりました。場所は異なっても先代と同じく地域の周産期医療を担うように日々努力をさせていただいております。
当クリニックではこれまでに多くの赤ちゃんが誕生されてきました。その一人一人の人生が素晴らしいものでありますように心よりお祈り申し上げております。そして将来の日本を担っていく貴重な人材になっていだだきたいと思っております。令和の時代は本格的な少子化時代となり、日本の人口はどんどんと減少していきます。当クリニックではもう一人子供が欲しくなるような医院づくりを目指し、今後も地域の皆様に愛され信頼される産婦人科クリニックになるよう精一杯努力をして参ります。
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