アセトアミノフェンとは?ワクチンの副反応へ使われる理由や効果を解説
小さな子供から服用でき、胃腸障害の副作用が少ないことで知られているアセトアミノフェン。近頃では、コロナワクチンの副反応が出たときに使う解熱鎮痛剤として名を広めています。
「ロキソニンとは何が違うの?」「なぜアセトアミノフェンじゃないといけないの?」と疑問に思っている方もいるでしょう。
そこで今回は、アセトアミノフェンがもつ特徴やロキソニンとの違い、コロナワクチンの副反応に選ばれている理由などを詳しくご紹介します。
カロナールは病院でしか貰えませんが、アセトアミノフェンを含む薬はドラッグストアや薬局などに行って自分で購入することもできます。
アセトアミノフェンはほかの解熱鎮痛剤と比べると、効果がとてもおだやかです。体温を調節している体温調節中枢にはたらいて、血管や汗腺を広げることで熱を体から逃がし体温を下げます。 同時に痛みの伝達に関係している中枢神経にもはたらきかけることで、鎮痛効果を示すことも特徴です。
アセトアミノフェンは乳児からでも使える薬です。医療用のものだとイブプロフェンは5歳から、ロキソプロフェンナトリウムは15歳からしか飲めないため、乳児や幼児に処方される解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンであることが多いでしょう。
ただし、市販薬の場合は3歳からとなっているものがほとんどなので子供に飲ませるときは注意してください。
アセトアミノフェンは胃への負担が少ないため、空腹時に飲んでも大丈夫だとされていることが特徴です。多くの解熱鎮痛剤は胃に負担がかかりやすいため食後の服用が推奨されています。
ただし胃への負担がまったくないわけではないので、できるだけ空腹時を避けて服用することが推奨されています。
病院で処方される医療用のアセトアミノフェンと市販で購入できるアセトアミノフェンは、成分そのものに違いはありませんがそれぞれ使い勝手が大きく異なります。
病院で貰えるアセトアミノフェンには、錠剤や粉、シロップや坐薬などさまざまな剤形があります。しかし市販の場合は、小児向けのシロップ剤もありますがほとんどが錠剤です。錠剤を飲み込むのが苦手な方は市販薬だと飲みづらいことがあるかもしれません。
医療用と市販のアセトアミノフェンの大きな違いは、服用できる量の上限です。年齢によって異なるものの、医療用では1回あたり最大1,000mgまで服用できますが、市販の場合は300mgまでしか服用できません。
アセトアミノフェンは服用量が多いほど解熱鎮痛効果も高くなるという特徴があるため、人によっては市販薬だと効果が不十分な可能性があります。
とはいえ医療用でも1回あたり1,000mgで処方されるケースはまれです。多くは200~500mgで処方されているので、市販薬と大きな差が出ることはそこまでないでしょう。
よく知られている解熱鎮痛剤に、ロキソプロフェンナトリウムがあります。ロキソニンという名前の製品名は聞いたことがある方が多いでしょう。
同じ解熱鎮痛剤という仲間の薬ですが、それぞれ違った特徴をもちます。
ロキソプロフェンナトリウムはアセトアミノフェンよりも高い解熱鎮痛効果をもつ成分です。高熱でつらいとき、痛みが強いときはロキソプロフェンナトリウムを服用したほうが楽になるケースもあるでしょう。
ただしインフルエンザに感染している場合は、インフルエンザ脳症のリスクを高めることがわかっているためロキソプロフェンナトリウムの服用はできません。
ロキソプロフェンナトリウムはアセトアミノフェンよりも胃部不快感や食欲不振などの副作用が出やすいことで知られています。
とはいえ、消化器症状が出たのは全体の2.25%です。副作用が特別出やすい薬というわけではありません。
コロナワクチンの接種が始まるとほぼ同時に、アセトアミノフェンが品薄状態となりました。コロナワクチンの副反応をやわらげるため、アセトアミノフェンの需要が急激に増したのです。
解熱鎮痛効果の高いロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェンは抗炎症作用をもっているため、せっかくコロナワクチンを接種しても炎症を抑えてしまい効果が減弱する可能性があると考えられていました。
一方アセトアミノフェンはほかの解熱鎮痛剤とは違い、炎症を抑える効果がほとんどありません。
そのためアセトアミノフェンが選ばれるようになったのです。
新型コロナウイルスが感染を拡大し始めてまだ間もないころ、「コロナウイルスに感染した人がNSAIDs(ロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェンなど)を服用すると症状が悪化する」という仮説が世界を賑わせていました。
そのためコロナウイルスにはアセトアミノフェン以外の解熱鎮痛剤は服用しないほうがよいという風潮ができたのです。
抗炎症作用がないこと、そして症状を悪化させる可能性が少ないことからコロナワクチンの副反応にはアセトアミノフェンが第一選択薬となっていました。しかし現在は、アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛剤を飲んでも問題ないと厚生労働省からも正式に発表されています。
副反応で頭痛や熱が出てつらいときは、アセトアミノフェンにこだわらず飲み慣れた解熱鎮痛剤を服用するとよいでしょう。
厚生労働省がアセトアミノフェン以外の解熱鎮痛剤を飲んでも問題ないと公表した後も、変わらずアセトアミノフェンの需要は高いままです。コロナワクチンの接種が進むにつれて、いくつか問題点も浮き上がってきました。
熱や頭痛、痛みは自ら進んで経験したいと思うものではありません。そのため症状が出る前からアセトアミノフェンを服用している方もいると聞きます。なかには「副反応が出る前に予防的に飲むように」と渡されている方もいるようです。
しかしコロナワクチンの接種後に予防的にアセトアミノフェンを服用するのは、厚生労働省からもはっきりと「推奨していない」と公表されています。そもそも予防のために服用する薬ではありませんので、副反応が出ていないうちに使用するのは避けるのが無難です。
一部の医療機関では、コロナワクチンの接種と同時にアセトアミノフェンが処方されるケースがあるようです。ワクチンを接種した方のうち50%以上で頭痛や接種部位の痛みなどが出ていることから、症状が出たら服用するようにとあらかじめ処方されることもあると聞きます。
この「副反応の予防のためにあらかじめ処方されるアセトアミノフェン」が自費で処方されているのなら大きな問題はありません。
しかし、保険適用で処方されている場合は厳密にいうとルール違反。なぜならアセトアミノフェンは、予防で使うことに対して本来ならば保険適用外だからです。
「アセトアミノフェンをあらかじめ処方する場合は保険を使えません」と公表している保険医協会も出てきていることから、今後は保険を使えないことが増えてくるのではと考えられます。
アセトアミノフェンは薬局やドラッグストアでいつでも購入できます。アセトアミノフェンのみが配合されているものだと、タイレノールAやラックル速溶錠などがよく知られているでしょう。
アセトアミノフェン以外に普段飲み慣れている薬があるのなら、ほかの解熱鎮痛剤を服用しても問題ありません。
副反応が出てから薬を買いに行ったり医療機関を受診したりするのは体力的にも難しいことがあるかと思うので、市販で飲み慣れた解熱鎮痛剤を購入しておくとよいかもしれません。
アセトアミノフェンは解熱鎮痛効果がマイルドで胃腸障害が少ないため、小さな子供からでも服用できます。ほかの解熱鎮痛剤と違い炎症を抑える効果がほとんどないことから、コロナワクチン接種後の副反応を抑えるために服用する方が増えてきました。
副反応を抑えるために服用するのは問題ありませんが、あらかじめ処方してもらうのは厳密にはルール違反です。アセトアミノフェンより効果の高いロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェンを服用しても問題ないと厚生労働省も発表しているため、アセトアミノフェンにこだわらず飲み慣れたものを準備しておくと安心でしょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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