「陰部のかゆみが酷くて我慢できない」「かゆみが気になるけど病院に行くのはちょっと…」
かゆいと思っても、陰部を見られると思うと医療機関へ行く勇気がなかなか出ない方もいるでしょう。陰部のかゆみは症状によって市販薬でも対応ができます。しかし、なかには医療機関でなければ治療できないものもあるので注意が必要です。
今回はどういう症状なら市販薬で対応できるのか線引きのポイントや症状に合わせた市販薬の選び方をご紹介します。
陰部がかゆくなる原因は1つではありません。ここでは主に考えられる5つの原因を見ていきましょう。
かゆみが出やすい性感染症は、主に次の4つです。性感染症が疑われる場合は、市販薬で治療することはできません。早めに医療機関を受診しましょう。
カンジダ菌が異常に増殖することで発症します。患者の多くは女性ですが、まれに男性で発症することもある感染症です。亀頭を中心に発赤や湿疹、苔のようなカスが出るなどの症状が見られ、かゆみや違和感を伴います。
日本でもっとも患者数の多い性感染症が性器クラミジアです。クラミジア・トラコマチスという細菌が増殖することで発症します。感染しても無症状の方も多いのですが、人によっては陰部にかゆみを伴うこともあるものです。男性の場合はかゆみのほかに排尿痛が出ることもあります。
ヘルペスウイルスが原因で、性器が赤くただれたり、水ぶくれができたりなどの症状が代表的です。性行為が感染経路となることがほとんどですが、感染者が使用した物を介して感染することもあります。
小さな水ぶくれから始まり、痛みを伴うことが少なくありません。ヘルペスウイルスは一度感染すると症状が治ることはあっても、完治することはない感染症です。
ケジラミが陰毛に寄生することで激しいかゆみが生じます。人によってはそこまでかゆみを感じない方もいるようです。湿疹のように、肉眼で確認できる皮膚の変化はほぼ見られません。ケジラミの排泄物が下着に茶色くついているのを見て感染に気づくケースもあります。
陰部のかゆみは、蒸れや乾燥で起こったり性感染症で起こったりと原因はさまざまです。かゆみが起こる原因はいくつも考えられますが、どのように市販薬を選べばよいのでしょうか。
「できれば病院に行かず市販薬で治したい」と思われる方も多いでしょう。しかし、市販薬で対応できる陰部のかゆみは次の4つのみです。
そのほかのものが原因の場合は、医療機関を受診する必要があります。市販薬を1週間以上使っても症状が改善しない場合、また治ったり悪化したりを繰り返している場合も市販薬で対応できない可能性が高いでしょう。
かゆいからといって、デリケートゾーン用のかゆみ止めをなんとなく選んでいませんか?かゆみ止めを使えば症状は一時的に治るかもしれませんが、かゆみの原因によってはただの一時しのぎにしかなりません。自分の症状に合っている市販薬を選ぶことが大切です。
かゆみを抑えるジフェンヒドラミン塩酸塩、炎症を抑えるグリチルレチン酸、殺菌作用のあるイソプロピルメチルフェノールなどの成分が配合されています。ベタつきがなくサラっとした使い心地です。
局所麻酔作用のあるリドカインがかゆみを素早く鎮めてくれます。そのほか、ジフェンヒドラミン塩酸塩やイソプロピルメチルフェノールなども配合されている塗り薬です。
白癬菌を殺菌するテルビナフィン塩酸塩や炎症を抑えるグリチルレチン酸などが配合されています。皮膚をやわらかくする尿素も配合されているため、患部がかさついている方に適しているでしょう。
局所麻酔作用のあるジブカインが配合されているため、かゆみがとくに強い方に向いています。そのほか、白癬菌を殺菌するブテナフィン塩酸塩やかゆみどめのクロルフェニラミンマレイン酸塩などが配合されている塗り薬です。
ケジラミやアタマジラミなどを駆除するフェノトリンが配合されています。陰毛にパウダーが十分にいきわたるようにし、1時間程度経ったら洗い流してください。3日に1回使い、これを3~4回繰り返すことでケジラミを駆除できます。
今回はベタつきが少なく伸びのよいクリーム剤を中心にご紹介しましたが、市販薬にはクリームや液体、スプレーなどさまざまな剤形のものがあります。手を汚さずに使いたいのなら液体やスプレータイプを選ぶのもよいでしょう。
また、よりサラっとした塗り心地を好む方はジェルタイプもおすすめです。ただし液体やスプレーは人によってしみてしまうこともあるので注意してください。
陰部は場所が場所なだけに強いかゆみがあっても人前ではなかなかかけません。毎日のようにかゆみに悩まされながら生活するのはとてもつらいものです。できるだけかゆみが起きないように日頃から対策しておくことで予防ができます。
このような症状がある場合は、市販薬で対応できない可能性が高いと考えられます。放っておくとパートナーに感染症をうつしてしまうおそれもあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
また、市販薬を使用しても症状が治らなかったりなんどもぶり返したりしている方も、原因を特定して適した治療を受けるために受診するようにしてください。
陰部のかゆみは蒸れや乾燥、いんきんたむしや性感染症などが原因で起こります。蒸れや乾燥などによるかゆみは市販薬でも対応できますが、性感染症や疥癬などが疑われる場合は市販薬では対応できません。
誤った市販薬を使うことで感染を悪化させてしまうこともあるため、早めに受診するようにしましょう。症状が皮膚だけの場合は皮膚科、排尿痛や尿道の違和感などもある場合は泌尿器科を受診することが一般的です。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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