2021/11/24

公園の砂場や自宅で子供たちが遊んでいるとき、おもちゃの貸し借りでケンカになることがありますよね。

「どうしたらスムーズに貸して・いいよができるの?」

「他の子はできるのにウチの子はなかなかおもちゃが貸せない…」

といった悩みに対し、年齢別のおすすめの対処法や、子供への声かけのポイントをお伝えします。

1~2歳頃までの子にはどう教える?

赤ちゃんが1人歩きできる年頃になると、そろそろ公園の砂場や支援センターなどでおもちゃの取り合いが始まります。

1~2歳の子たちは、パッと見には一緒に遊んでいるように見えますが、まだまだ自分のやりたいことをたまたま並んでやっているだけの「並行遊び」がメインです。

ひとたび目に入ったおもちゃに興味関心が湧くと、それを使っている子がどうなるのか、どう感じるか…ということは想像できないため、気の向くままに取りに行き、取り合いになってしまうのですね。

まだ言葉が話せない子も多いため、練習として、おうちの人がかわりに「貸して」と頼んだり、「いいよ」「どうぞ」と貸す見本を見せてあげるのは良い方法です。

ただ、子供が泣いて嫌がっているのに、無理に「いいよ」と譲る必要はありません。

大人は相手の子や保護者に気を使ってしまいがちですが、まだ遊んでいる最中なら、「もう少し遊びたいから待っててね」と頼み、気が済んだ頃に交替すればOKです。

また、貸してあげられた時は「お友だち、喜んでるね!貸してあげてよかったね」とほめてあげると良いですね。

3~4歳の子が「貸して」「いいよ」を言えるには

3~4歳になると次第に社会性が芽生えてくるため、家庭や園、友達関係の中にはルールがあることを理解し始めます。

また、自他の区別がつき、他の子にはそれぞれ自分とは異なる気持ちがあることも想像できるようになってきます。

とはいえ「このおもちゃで遊びたい!」という欲求をコントロールするのは3~4歳の子にはまだとても難しいこと。

「貸して」と言えずにいきなり取り上げてしまったり、せっかく家に遊びに来てくれたお友だちに1つもおもちゃを貸せなかったり…時にはケンカになったり、相手を押したりしてしまうこともあるかと思います。

逆に、自分のおもちゃは貸してあげるのに相手のおもちゃは貸してもらえない、「貸して」と言われたら、本当はまだ遊びたいのにNOと言えずにいつも我慢する立場…という子もいるかもしれません。

そんな場面を見かけたら、どちらも、子供自身や相手の子の気持ちを言葉にして伝えてあげられると良いですね。

取り上げて泣かせてしまったら、一緒に謝ったあと、「○ちゃんがもし、こうやっておもちゃを取られたら悲くて嫌だよね」「どうしたらいいと思う?」と聞いてみましょう。

強引に取り上げられてしまった子には「もっと遊びたかったよね」「嫌だったね」と子どもの気持ちに寄り添ったあとで「今度は、もう少し遊びたいから待っててねって言ってみようか」と提案してみるのがおすすめです。

どちらの場合も、その子の「遊びたい」という気持ちをはっきり言葉で伝えること、「待ってね」と言えること、言われたら待てること…をゴールに、少しずつ社会性を育てるサポートをしていきましょう。

ママ・パパによる「うまくいった言葉かけ」とは

現役のママやパパたちは、お子さんのおもちゃの貸し借りで困ったとき、どんな風に声をかけていたのか、いくつか体験談も紹介します。

Hさん・当時2歳の男の子のママ

「支援センターなどで、あまり遊んでいないおもちゃなのに貸してといわれたら貸せない…そんなときは、相手の子に、ウチの子が興味を持ちそうなおもちゃを渡して、かえっこしてみようと提案してみるとうまくいくことが多かったです。貸せたらよかったね!えらいね!と大げさにほめてました」

Hさん・当時3歳の女の子のママ

「初めてお友だちが家に遊びに来たとき、その子が手に取ったおもちゃを次々に取り上げてしまうので、きつく叱ったらウチの子もお友だちも泣いてしまってバツが悪いやら申し訳ないやら…。あとで子供によく理由を聞いてみると、お気に入りのものは壊れたらどうしようと心配でどうしても貸せないと言うので、それはそれでモノを大切に思っているんだなと考え、次回から、貸せないおもちゃは先に片付けておくようにしました。事前に子供自身が選んでいるので、納得して貸せるようでした」

Kさん・3年生と1年生のパパ

「子供たちが小さい頃はきょうだいでおもちゃの取り合いが多かったので、よく時計を使ってました。なんとか数字は読めるので、長い針がどこまで来たら貸せる?交替できる?と聞くと、子供たちが6!とか8!とか決めてましたね」

おわりに

おもちゃの貸し借りは、絵本や知育アニメなどでは簡単そうに見えますが「自分の気持ちに正直に、かつルールを守りつつ、相手の気持ちも考える」という、実は大人でも難しいようなスキルです。

すぐにできなくても当たり前。そんなスタンスで気長に教えていきたいですね。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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