市販にはダイエット向けのお薬がいくつもあります。
なかでも有名なのが防風通聖散でしょう。防風通聖散を飲むだけで痩せるようなイメージをおもちの方も多いかと思います。
しかし、本当にダイエットの効果はあるのでしょうか。今回は防風通聖散の効果的な飲み方やダイエットに使える市販薬の違い、肥満の解消方法などを紹介します。
日本肥満学会が作った肥満度分類によると、BMIが25以上になると肥満です。
BMI | 肥満度の判定 |
---|---|
< 18.5 | 低体重 |
18.5 ≦ BMI < 25.0 | 普通体重 |
25.0 ≦ BMI < 30.0 | 肥満(1度) |
30.0 ≦ BMI < 35.0 | 肥満(2度) |
35.0 ≦ BMI < 40.0 | 肥満(3度) |
40.0 ≦ BMI | 肥満(4度) |
BMIとはBody Mass Indexの略で、次の式によって求められます。
ただし、BMIは体脂肪率を考慮していません。そのため、筋肉量が多く体脂肪が少ない方でも数字上は肥満と出る場合があります。
筋肉量が少なくBMI25を超えている方は肥満に該当するので、ダイエットを検討してみましょう。ちなみに肥満が問題視されるのは、糖尿病や脂質異常症、高血圧などの疾患リスクが上がるためです。自分の健康を守るためにも体重は適正値で維持しておくことが望まれます。
市販でダイエットを目的に販売されているお薬には、主に4つの種類があります。体質や悩みによって自分に合うお薬が変わるので、合うものを選びましょう。
ダイエットに使う薬のなかでもとくに名前が知られているのが防風通聖散でしょう。代謝を上げて脂肪の燃焼を促進する働きがあります。主に肥満改善のために使われている漢方薬です。体力がある肥満気味の方に用いられます。
誰でも使えるようなイメージがありますが、体が冷えやすく虚弱な方の使用は向いていません。また、脂肪太りではなく水太りの方にも使えないお薬です。便秘気味でない方が使うと、下痢になることがあるでしょう。
大柴胡湯は、脂質の代謝を高める働きがある漢方薬です。イライラしやすく、ストレスの影響で過食しやすい方に向いています。防風通聖散と同様に、体力がある方向けです。
がっしりとした体格で便秘しやすい方で効果が出やすいでしょう。肥満のほかに、便秘や胃炎、気管支喘息などにも使われています。
下半身のむくみが気になる方に使われる漢方薬です。色白でぽっちゃりとしており、汗かきで体の表面がやわらかい方に向いています。体にたまっている余分な水分を減らし、代謝を上げて脂肪を燃やすお薬です。関節や神経の痛み、多汗症や腎疾患などにも使われています。
体力があまりなく、冷え性で貧血の傾向がある方に使われる漢方薬です。脂肪を落とすのではなく、むくみや冷えを改善するのがメインの働きとなります。体を温めて血行を促進し、むくみを取ってすっきりさせるものです。
どちらかというと、女性によく使用されています。むくみを取る以外に、月経異常や更年期障害など婦人科系の疾患に使われることが多いでしょう。
ダイエットに使える市販薬にはいろいろと種類がありますが、認知度がもっとも高いのは防風通聖散です。さまざまなメーカーから防風通聖散の市販薬が販売されているため、どれを購入したらよいのか迷ってしまう方もいるかもしれません。
製品によって、配合されている防風通聖散の成分量が異なります。少ないものだと3,000mg前後、多いものだと6,000mgほどと倍以上の差があるのです。基本的に成分量が多いものほどダイエットの効果も高まると考えられます。
成分量が多いものほど高い効果も期待できますが、下痢をしやすくなるので注意しましょう。防風通聖散はもともと便秘がちでない方が使うと下痢することがある漢方薬です。普段から下痢をしやすい方が使うのにはあまり向いていません。
もし防風通聖散を飲み始めてから下痢の頻度が高くなったようであれば、防風通聖散が体に合っていない可能性が考えられます。下痢を予防するためにも、まずは成分量が少ないもので様子を見るのがおすすめです。
防風通聖散は飲み始めてすぐに効果があるお薬ではありません。数字として変化が現われるまでには、2~3か月ほど見ておきましょう。
ただし、2~3か月経たないと体重がまったく減らないわけではないので安心してください。早い方だと服用を始めて2週間ほどで変化を感じています。
とはいえ、防風通聖散を飲んでいるからと暴飲暴食をしていては減るものも減りません。「飲んでいるからどれだけ食べても太らない」という魔法の薬ではないので注意してください。
好きなものを好きなだけ食べて痩せられたらどんなに嬉しいことか、と思いますよね。しかし、人間の体は余分なものを脂肪としてためこむように作られているため、好きなだけ食べても太らない体には残念ながらなれません。
繰り返しになりますが、防風通聖散を飲んでいるからといって暴飲暴食をしていれば痩せることはできないでしょう。理想は食事や運動にも気を遣った上で防風通聖散を使うこと。あくまで防風通聖散はダイエットのサポート役として使うのです。
ダイエットに使える薬と聞くと夢のようなものに思えますが、飲むだけでどんどん痩せる薬があったらむしろ体にとっては毒といえます。
摂取カロリーが消費カロリーを上回れば太り、下回れば痩せます。防風通聖散を飲むと代謝が上がって脂肪の燃焼が促進されるものの、摂取カロリーが多ければ痩せません。1日にどれくらいのカロリーを摂取しているのかを計算しておくと、食べ過ぎの防止になります。
筋トレのような無酸素運動とウォーキングやジョギングのような有酸素運動を組み合わせることで脂肪を消費しやすい体にすることも大切です。
楽に痩せたいという気持ちはわかりますが、ダイエットを成功させるためにはバランスのよい食事と適度な運動を欠かすことはできないでしょう。
BMIが35以上ある方は、肥満の解消を目的とした肥満外来に通うのも検討してみてはどうでしょうか。食事療法や運動療法などを指導してもらえるほか、食欲を抑える効果のある薬を処方してもらえます。医師の指導のもと無理なく体重を減らしていけるので、体に大きな負担をかけません。
肥満だとなぜいけないのでしょうか。ぽっこりお腹が気になる方もいれば、好きな服を着こなせないことが気になる方もいるでしょう。しかし、肥満でいることのもっとも大きなリスクは、疾患にかかる可能性が高くなるということです。
肥満や喫煙、飲酒などの生活習慣が原因で起こる生活習慣病は、日本人の死因の約6割を占めています。つまり、肥満を放っておくことで生活習慣病になりやすくなり、時には命にも関わることがあるということです。
肥満に該当する方は、自分を守るためにもダイエットを始めてみてください。挫折しやすい方、少しでも効率的にダイエットを進めていきたい方は防風通聖散をはじめとしたお薬を利用するのもよいでしょう。
BMIが25以上になると肥満です。肥満の状態が続くと生活習慣病になりやすくなるため、体重を落とすことを検討しましょう。ダイエットのサポート役として使えるのが、市販にある防風通聖散や大柴胡湯などの漢方薬です。体質によって自分に適したものが異なるため、合うものを選んでみてください。
約2~3か月続けて服用することで効果を数字で実感しやすくなります。お薬を使うのもよいですが、基本はバランスのよい食事と適度な運動です。お薬を使っているからといって暴飲暴食はしないようにしましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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