2022/02/04

「なんでジェネリック医薬品を勧めてくるの?」「先発医薬品と何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?薬局に行くと、かなりの確率でジェネリック医薬品を勧められます。

行くたびにジェネリック医薬品を勧められると、人によっては「なんだか怪しい…」と感じてしまうこともあるかもしれません。

そこで今回は、ジェネリック医薬品がなぜ安いのか、使うことでどのようなメリットがあるのかなどを詳しく紹介します。

ジェネリック医薬品とは?先発医薬品との違い

ジェネリック医薬品とは、先発医薬品の特許が切れた後に別のメーカーによって作られる医薬品のことです。先発医薬品と同じ有効成分を含んでおり、安く購入できることが大きな特徴でしょう。

効果は先発医薬品と同じ

「安い分、効果も劣るのでは…」と不安になったことはありませんか?しかし、そんなことは決してありません。ジェネリック医薬品と先発医薬品の効果は同じです。

先発医薬品と同等の有効成分を含んでおり、効能効果も変わりありません。血中濃度の推移が先発医薬品と変わらないことが確認されているため、薬が効きすぎたり効かなかったりすることもないのです。

添加剤は先発医薬品と異なる

効果は同じですが、添加剤についてはまったく同じとは言えません。ジェネリック医薬品を製造しているメーカーが独自に添加剤を使用している場合があります。

添加剤が違うと効果や安全性に違いがあるかのようにも思えますが、ここはしっかりと安全性や有効性が確認されているので安心してください。

ただし、医薬品の添加剤にアレルギーがある方は注意が必要です。先発医薬品とジェネリック医薬品とで使われている添加剤が異なる場合、先発医薬品では問題なかったのにジェネリック医薬品ではアレルギー反応が出てしまう場合があります。

アレルギーがある方は、該当の添加剤が使われていないか事前に確認してから服用するようにしましょう。

なぜジェネリック医薬品は安いの?

先発医薬品に比べてジェネリック医薬品が安いのは、薬を製造するまでにかかる手間が大幅に異なるためです。先発医薬品を開発する場合は約9~17年の歳月が必要になりますが、ジェネリック医薬品はわずか約3~5年で済みます。 また、開発にかかる費用もケタ違いです。先発医薬品は1つの医薬品を開発するのに300億円以上かかるものの、ジェネリック医薬品は約1億円しかかかりません。開発期間が短く、費用も大幅に削減できるため、ジェネリック医薬品は先発医薬品と比べて安く済むのです。

ジェネリック医薬品ってどうなの?効果や信頼性について

先発医薬品と同じだと言われても、ジェネリック医薬品はなんだか不安と感じてしまう方もいるでしょう。「品質が劣っていて、薬局が儲けられるから勧めている」といった声を耳にすることもあります。

有効性や安全性は劣らない

ジェネリック医薬品には、生物学的同等性試験が行われています。これは、ジェネリック医薬品が先発医薬品と比べて生物学的に同等であること、つまり有効性や安全性が同じであることを確認する試験です。

ただし、先発医薬品と比べるとジェネリック医薬品で行われる試験項目の数は少なくなっています。しかし、試験が少ないからといって手を抜いているわけではありません。

ジェネリック医薬品で省略されているいくつかの試験は、先発医薬品ですでに確認が済んでいる内容のみです。そのため、行われている試験が少ない=有効性や安全性が劣っているとはなりません。

「粗悪な原薬を使っている」はありえない

ジェネリック医薬品は、粗悪なものを連想させる「ゾロ品」と呼ばれるケースがあることから、あまりいいイメージをもっていない方がいるのでしょう。粗悪な原薬を使っていると噂されることもありますが、そのようなことは決してありません。

もし純度の低い原料が使用されていたら、有効性や安全性を調べる試験で必ず引っかかってしまいます。そのため粗悪な原薬を使っているということは、あり得ないのです。

品質管理もしっかり行われている

先発医薬品もジェネリック医薬品も、品質管理の差はありません。どちらも医薬品を製造するのに適した基準を満たしている工場で製造されています。安いから雑に扱われているということはないので、安心してください。

ジェネリック医薬品を使うメリット

なぜ、ここまでジェネリック医薬品の使用が推奨されているのでしょうか。処方せんに「ジェネリック医薬品への変更不可」のチェックが入っていなければ、高頻度で「ジェネリック医薬品でもいいですか?」と薬局にいる人から聞かれます。

少ない負担額で済む

患者さまにとってもっとも大きなメリットは、窓口での負担額が減ることです。医薬品により異なりますが、先発医薬品の3~5割くらいの負担で済みます。種類によっては半額近くになるのです。少しでも出費を少なくしたい方にとって、ジェネリック医薬品は大きな味方となるでしょう。

医療費の削減につながる

ジェネリック医薬品が推奨されている一番の理由は、医療品を削減するためです。日本の医療費は、すさまじい勢いで増加し続けていいます。

引用 令和元(2019)年度 国民医療費の概況 厚生労働省

平成元年には19兆7,290億円だった医療費は、令和元年には2倍以上の44兆3,895億円にまで膨れ上がっているのです。このままの勢いで増加を続けたら、国民皆保険制度が破綻してしまう可能性もあると言われています。

将来的には3割負担では医療を受けられなくなるかもしれません。そのような事態を避けるためにジェネリック嫌品が推奨されているのです。

参考

先発医薬品より服用しやすい剤形のものがある

ジェネリック医薬品は、ただ安いだけのお薬ではありません。先発医薬品にはない剤形が揃っている場合があります。もともと錠剤しかなかったお薬がジェネリック医薬品になることで、口の中で溶ける錠剤や粉などバリエーションが増えていることがあるのです。服用しやすくなることで、治療をスムーズに進められるでしょう。

ジェネリック医薬品を使うデメリット

薬局での負担額が減り、医療費削減にもつながるジェネリック医薬品。いいことばかりに思えますが、実はデメリットもあります。

先発医薬品と味が違うことがある

有効成分は同じでも、味まで同じとは限りません。お薬によっては、同じものとは思えないほど味が違うものもあるのです。味が変わることで飲みづらくなることも考えられるでしょう。

外観が違うので「違う薬では?」と思うことがある

これまで飲み慣れたお薬とはパッケージが違うため、「本当に同じ薬?」と思うこともあります。また、先発医薬品とジェネリック医薬品とでは印字や製品名が異なることもあり、不安になってしまう場合もあるかもしれません。

添加剤が違うためまれにアレルギーを発症することがある

先発医薬品とジェネリック医薬品は、添加剤までまったく同じというわけではありません。先発医薬品には使われていない添加剤がジェネリック医薬品に使われていることもあります。

そのため、含まれている添加剤によってアレルギー反応を起こす可能性がゼロではありません。しかし、アレルギーはジェネリック医薬品に限らず先発医薬品でも起こる可能性があるものです。ジェネリック医薬品だからアレルギーが出るというわけではないので注意しましょう。

ジェネリック医薬品で処方してもらうためには?

ジェネリック医薬品で処方してもらう方法は2つあります。1つは医師に頼む方法です。「ジェネリック医薬品でお願いしたいのですが」と頼めば、ほとんどの医師が快く対応してくれるはずです。

もう1つは薬局で頼む方法があります。処方せんに「ジェネリック医薬品への変更不可」にチェックが入っていない限り、ほとんどの場合で「ジェネリック医薬品にしますか?」と聞かれるでしょう。そこでお願いすれば先発医薬品ではなくジェネリック医薬品で調剤してもらえます。

まとめ

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を含んでいながら安く購入できる医薬品のことです。粗悪な原薬を使っていたり有効性や安全性が劣っていたりと言われることもありますが、そのようなことはありません。価格が安いのは製造にかかっている費用が安く抑えられていることが原因です。

有効性や安全性についても先発医薬品と同等であることがきちんと確認されています。薬局の窓口での負担額が減るほか、国の医療費の削減にもつながりますので、とくに先発医薬品にこだわりがなければジェネリック医薬品で調剤をしてもらってみてはいかがでしょうか。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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