2022/03/25

前回の記事では、呼吸運動について紹介をいたしましたが、今回は呼吸トレーニングの方法を紹介いたします。

呼吸トレーニングは大変!?

年齢とともに腹筋や骨盤底筋は衰えてくるので、呼吸も浅くなってしまうのは当然です。では、毎日しっかりと鍛えないといけないのでしょうか?

そんなことはありません!汗をかくような運動を行わなくても、呼吸筋を鍛える方法があります。しかも、1日2~5分間 仰向けに寝るだけで横隔膜呼吸のトレーニングになるのです。

横隔膜呼吸トレーニングの方法

用意するもの

柔らかいゴムボール(ソフトテニスボール等)、バスタオル2~3枚、椅子

セッティング

  1. 椅子の上に両足をのせるようにして仰向けに寝ます。
  2. 膝がなるべく90度になるように椅子の座面に両足をのせます。椅子の座面が低い場合は、折りたたんだバスタオルをふくらはぎ下へ敷いて調整してください。
    (椅子を使用することが難しい場合は、ソファの座面に足をのせたり、クッション等で代用してみたりしてください。)
  3. バスタオルを1~2枚使用して高さ5~10cm程度とし、お尻の下へ敷きます。
    (バスタオルの高さは、無理のない範囲に調整してください)
  4. 柔らかいゴムボールを左右の肩甲骨上部の真ん中(第3胸椎)へ置きます。

方法

「鼻から吸って・鼻から(可能であれば口から)吐く」を、頑張らずゆっくりと気持ち良い程度に10~15回程度行います。

なぜ、お尻を持ち上げるのでしょうか?

バスタオルを敷いてお尻を持ち上げることで内臓に圧をかけることができます。その状態が横隔膜にとってはラッキーなのです。息を吸うときに横隔膜が下がり、吐くときに上がることで肺に空気が出入りします。つまり、この姿勢で呼吸を繰り返すと内臓によって横隔膜の上下運動がより大きくなり、さらには肩甲骨上部の真ん中に置いたボールで肋骨の動きが大きくなります。その結果、肺に空気が入りやすくなり胸郭を大きく動かせるようになります。

立ち上がったら元に戻るの?

「仰向けに寝ているときは深呼吸ができるけど、立ったり歩いたりしたら元に戻るのでは?」と思われるかもしれませんが、横隔膜が動きやすい環境(姿勢)を作ってあげるとカラダが「あっ!これが呼吸だ!」と学習するので、毎日少しずつ続けていると立ち上がっても歩いても、正しい呼吸を持続させることができるのです。

猫背やぽっこり下腹にも有効!

猫背の原因は色々とあるのですが、呼吸運動による胸郭の膨らみが十分でなく背中が丸まっていることが少なくありません。また、ぽっこり下腹になるのは腹横筋や骨盤底筋の筋力低下が影響することがあります。

この横隔膜呼吸トレーニングの方法は縮こまっている肋骨や背骨を動かすことができます。さらには横隔膜や腹横筋、骨盤底筋の力を使いやすいので、姿勢改善も期待できます。

1か月間、トレーニングしました!

トレーニングしたと言っても、仰向けに寝て呼吸運動を行っただけです。

トレーニング前後で姿勢を比較してみます。

側面からみると、頭の位置が正中位に近づいてきました。鎖骨の辺りがふっくらしてきています。若干ではありますが、ヒップアップも出来ています。さらに、上半身が動かせるようになったことで、背すじが伸びています。
後方からみると、左右の肩甲骨の位置が背骨に近づき、巻き肩が改善しています。

トレーニングを行っていた時の感想。

トレーニングを行ったのは1日1~2回、5~10分前後です。初日はゴムボールを置いた場所や腕が伸びて気持ちがいいな、と感じました。 開始して4日目に「あれ?!背中がほぐれて肩甲骨まわりが楽になっているかも」と思いました。

10日目に「首こりや肩こりが減ってきている気がする」と思いました。

15日経過した頃、横隔膜呼吸トレーニングを行っているときに感じていた肋骨の動きや腹横筋の働きを座った姿勢でも感じられるようになりました。

20日過ぎてからは、座った姿勢でも立った姿勢でも呼吸が楽になってきて「仰向けに寝てトレーニングを行わなくてもいいかも!」って思えるくらいになりました。

28日目、とにかく体が軽くなり楽になりました。その日の活動量によって、体の疲れは出ますがそのような日には寝る前に少し長めに横隔膜呼吸トレーニングを行って寝ると翌朝にはスッキリしていました。

まずは3日間継続!

残念ながら、1回行っただけでは劇的な効果は期待できません。1日10~15回、仰向けに寝て横隔膜呼吸のトレーニングを行いながらリラックスする時間をまずは3日間継続してみてください。開始してから14日過ぎると体に変化がでる可能性が高くなりますよ。

横隔膜呼吸は大切

1日に行う呼吸数は約2万回です。その中で、横隔膜呼吸を行える回数が増えるとカラダが楽になり姿勢改善の効果も期待できます。見た目が変わるだけでなく、免疫力が高くなったり血流が良くなったりと様々なメリットがあります。1日1回、ご自身の呼吸に意識を向けてみませんか?

コラムニスト

理学療法士  上野 恵理 

私は、小・中・高校時代はサッカー部に所属していました。
高校時代は、平日は練習をして週末は試合や遠征へ行く、というスケジュールでサッカー漬けの生活だったため、怪我をすることも多くその都度病院にお世話になっていました。そのときに日々のケアや怪我をしない体づくりが大切であることを知り、人間の身体に興味を持つようになりました。
身体に不調があると人生楽しくありません。
年齢を重ねるとどこかに不調が出てくるものですが、それでも「どうすれば心豊かに楽しく過ごすことができるようになるの?」をモットーとして個々人にあった運動方法が提供できるよう努めています。

 関連記事

column/btn_column_page
トップ