ご飯づくりは面倒なものです。コンビニの普及やスーパーマーケットのお総菜売り場の拡張ぶりを見ても如何に多くの方が、中食と呼ばれる出来上がった調理品を買って食べているのかが分かります。
その証拠に1~2年前に中食産業が10兆円を超えたという記事を読みました。
平成時代の初めの頃は、まだまだ調理品を買って食べるには不便な時代で、夜に研修会や食事会などで家を空ける時は大変でした。前日からおでんを仕込んだり、カレーライスが何度も出てきたり、こども3人と夫の4人分の準備は結構しんどいものでした。その頃は出かけることに罪悪感があって、留守番をさせるのだから満足のいく食事を準備しようと気合が入っていたのでしょうね。今ならもっと肩の力を抜いてササッと準備できたかなと思います。
中食産業に関する調査を見ていると、利用する店はコンビニが1位で、2位が専門店、3位が食品スーパーと続くようです。そして購入する中身はと言うと米飯類が圧倒的に1位で、次が一般総菜、3位が袋物総菜ということです。コロナ禍で外食がグッと減った分、この調査はどのように変わったのか知りたいところです。
私が「食事を作りましょう」と提案しているのは、別に買い食いがいけないというわけではなく前回でも少し書いたかと思いますが、外食や中食が頻繁になるとお財布が厳しくなることは元より、調査にもあったようにむすびやお寿司と言ったご飯ものが主体になることが多く、
これらのことは結果的にメタボの人を増やすことになったり、糖尿病や高血圧と言った生活習慣病を増やすことにつながります。 そこで、今回も簡単に電子レンジとフライパンがあればバランスよく食事ができる一皿料理について書きたいと思います。これは高齢者や若者(もう男女差は関係ないようです)にも作っていただけるものを考えてみました。
私は本来丼ものが好きではありません。これは味が濃いのとご飯の量が多すぎるからです。似たようなものの中で、一皿でバランスが取れるお料理としてガパオライスを参考にしてみました。これはタイのお料理ですが同じようなものが東南アジアやイスラムなどのご飯圏にもあるようです。米と鶏などを最初から炊き込むのはハードルが高いので、予め炊いて小分けした冷凍ご飯を使って作ってみました。
ここで、前回の食事を作る際の取り決め(前回コラム:食事をつくりましょう!)を再度掲載します。
以上を頭に入れて作ります。
本場では鶏のミンチらしいのでミンチにしましたが、鶏肉や豚肉のコマ切れを使っても良いでしょう。タイのガパオライスを食べたことがないのですが、ホーリーバジルをたっぷり入れるようです。パクチーがどっさり載っていたというのも聞いたことがあります。毎年バジルを育てていますが、季節外れなのでスーパーで手に入る大葉を刻んで載せたら爽やかでした。
フライパンに油を熱して、ニンニクの香りを出します。そこへ鶏のミンチを加えて、刻んだ玉ねぎ、パプリカ、サッと茹でたなばなを加えて、ナンプラーとオイスターソースで控えめに調味します。辛いのが好きな方は唐辛子を加えても良いでしょう。ご飯に目玉焼きを加えて出来上がりです。直ぐに火が通るのであっという間に出来上がります。
このガパオライスもどきは作るのも簡単で、すぐに出来上がりましたが、食べるのも丼ものを食べるようにあっという間で、鶏ミンチは今一つ食べた感がありませんでした。
そこで、今度は八宝菜ならぬ五目炒めという感じですが、野菜を大きめに切って炒め煮にして、ご飯と別々に食べてみました。
フライパンにごま油を入れ、しょうがの薄切りを加えて香りを立たせます。次に豚肉と大きめに切った野菜と戻した干しシイタケを加えて炒め、少ししんなりしたらむきエビ、調味料を加えて電子レンジで作った鶏ガラスープ100ccを加えます。片栗粉で少しとろみをつければできあがりです。
ご飯とおかずを別々に盛り付けたら、野菜が大きめなこともあり、食べるのに時間がかかり満足感が増します。
以前『タニタ食堂』が話題になって、メタボ改善のためにタニタ食堂のご飯を真似するのが流行りましたが、あのメニューは野菜が多くてバランスが良いのに加え、実は材料を大きく切ってありました。しっかり噛んで時間をかけて食べるためには大きめに切る習慣も案外役に立つのではないでしょうか?
高齢で少し噛みにくい場合は蓋をして蒸し煮にし、柔らかめに仕上げれば良いのですから。
このようにして、我が家の(自分流の)定番をいくつか作っておけば簡単に食事の用意ができます。
次回は春から一人暮らしの方もいらっしゃるでしょうから、朝食・昼食・夕食と押さえておきたい注意点を挙げながら少しごはん作りについて書いてみたいと思います。
長年、管理栄養士として病院の給食管理・栄養管理に従事後、現在、内科糖尿病専門医院にて糖尿病を中心とする生活習慣病、高齢者の低栄養等の栄養食事指導をしています。
ライフワークとして「あなたの体は、あなたの食べたものでできている」ということを意識した「食」の啓発活動を行なっています。
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