「冷湿布と温湿布って、どういうときにどちらを使えばいいの?」「慢性的に肩こりに悩んでいるんだけど、どちらを貼るべき?」
湿布薬には冷感タイプと温感タイプのものとがあるため、どちらを購入するべきか迷ってしまいますよね。使い分けがよくわからず、なんとなく選んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、症状に合わせた冷湿布と温湿布の使い分け方を紹介します。湿布薬の正しい使い方や成分の違いについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
結論からいうと、冷湿布と温湿布に厳密な使い分けはありません。しかし、そう言われても困ってしまう方がほとんどだと思います。
どちらがいいのか迷った場合は次のポイントを参考に選んでみてください。
このような方には、冷湿布のほうが向いています。冷感によって患部にこもっている熱を冷まし、痛みをやわらげる効果が期待できるためです。より強い冷感を求める方は、テープ剤よりもパップ剤のほうがひんやりとした気持ちよさを得られるでしょう。
テープ剤は薄くて伸縮性に富んでいるもの、パップ剤は厚みがあり水分量が多いものです。パップ剤のほうが水分量が多いため、テープ剤よりも冷感が強い傾向にあります。
このような方には、温湿布のほうが向いているでしょう。温湿布にはトウガラシエキスやノニル酸ワニリルアミドなど温感刺激を与える成分が配合されています。
患部の血行をよくしてくれる効果も期待できるため、痛みが慢性化している方におすすめです。
冷湿布と温湿布を厳密に使い分ける必要はないため、貼ってみて心地よく感じるものを使ってもらったら問題ありません。冷やすと痛みが悪化する場合は温湿布を、温めると悪化する場合は冷湿布を選ぶという基準で選んでもOKです。
ちなみにドラッグストアでは、温湿布よりも冷湿布を購入される方のほうを多く見かけます。「どちらか悩んだらひとまず冷湿布」という方も多いようです。
冷湿布と温湿布を比べた場合、配合されている主成分が同じであれば鎮痛効果に大きな違いはありません。参考までに、市販の「フェイタス5.0」を例に成分を見てみましょう。
上記のとおり、温感作用のあるノニル酸ワニリルアミドが入っているか入っていないか、それだけの違いしかありません。ほかの成分はまったく同じため、鎮痛効果に大きな違いはないといえます。
湿布薬を選ぶときは冷湿布か温湿布かという点に加えて、主成分に注目することも大切です。使われている成分によって、湿布薬の鎮痛効果は大きく変わります。また、年齢によっては使えない成分もあるのでそちらも注意が必要です
。市販の湿布薬でもっとも効果が高い成分はジクロフェナクです。医療用のボルタレンと同じ成分が配合されています。1日1回貼るだけで効果が24時間続くため、貼り直しの手間もかかりません。
サリチル酸メチルやサリチル酸グリコールなどのサリチル酸系の成分には年齢制限がありません。インドメタシンは11歳から使用できます。
使用する方の年齢に合わせて、適切な成分のものを選びましょう。なお、ジクロフェナクやロキソプロフェン、フェルビナクは15歳以上からしか使用できません。
湿布薬を使うとよくかぶれてしまうという方もいるでしょう。そのような方は、次のような対策をすることでかぶれを予防できます。
同じ位置に貼らず、少しずつ位置をずらして貼るようにしましょう。まったく同じ位置に貼っていると、常に湿布薬が皮膚に触れている状態になりかぶれやすくなります。
患部が塗れている場合は、しっかり水気を拭き取ってから湿布薬を貼るようにしてください。塗れたまま貼るとかぶれやすくなります。お風呂上がりや運動の後に貼り直す際はとくに注意しましょう。
貼るタイプの湿布薬は皮膚と接触している時間が長くなるため、それだけかぶれるリスクが高まります。ジェルやクリームのような塗るタイプであれば接触時間が短くなるので、お肌の負担を減らせるでしょう。
温湿布に含まれているノニル酸ワニリルアミドやトウガラシエキスでお肌が刺激を受けてしまう方もいます。温湿布でかぶれてしまった方は、冷湿布にすることでかぶれにくくなるかもしれません。
湿布薬は、気になる部位の痛みをすぐに取り除いてくれる便利なアイテムです。しかし、ドラッグストアで誰でも気軽に購入できることもあり、間違った使い方をしている方も少なくありません。使い方によっては副作用が出ることもあるため、今一度正しい使い方について確認しておきましょう。
冷感や温感がなくなったからといって、貼り替える必要はありません。貼ってから時間が経つと冷感や温感はどうしてもなくなっていきますが、効果は持続しています。湿布薬の種類によって持続時間が異なるため、用法用量に従って貼り直しを行ってください。
市販の場合、鎮痛成分の入った内服薬と湿布薬は併用しないことが基本です。どちらも同じような成分が入っているため、副作用が出やすくなる可能性があります。
どうしても併用したい場合は、医療機関で相談してみてください。医療機関では内服薬と湿布薬を併用して治療を進めていくケースがあります。
光線過敏症に注意が必要なのはケトプロフェン、ピロキシカム、ジクロフェナクの3つです。とくにケトプロフェンとピロキシカムではよく見られます。
ジクロフェナクは「光線過敏症の可能性がある」という程度ですが、念のため湿布を貼っている部分が日光に直接当たらないよう衣服で覆ったりサポーターをつけたりして対策をしましょう。
なお、ケトプロフェンとピロキシカムは湿布薬を剥がした後も最低4週間は患部を紫外線に当てないように注意してください。
貼っていい枚数は、商品によって異なります。たとえばロキソニンテープなら1日あたり4枚までとなっています。また、枚数には制限がないものの、貼り替え回数は1日に2回までのように決まっているものもあるため、用法用量をしっかり確認して使用しましょう。
温湿布に配合されている温感成分が刺激となり、ヒリヒリすることがあります。入浴の1時間前には剥がしておくことで、ヒリヒリ感の予防が可能です。また、入浴後すぐに温湿布を貼るのもヒリヒリの原因となるため、30分ほど経ってから貼るようにしましょう。
傷がある部位には使用できません。また、目や粘膜の周り、顔などにも貼れないので注意しましょう。湿疹やかぶれがある場所も避けて使用してください。
次のような症状がある方は、市販の湿布薬では対処が難しいと考えられます。
ビリビリと電気が走るような痛みがあるような神経痛には、湿布薬では十分な効果が出ません。医療機関で神経痛専用の薬を処方してもらえるので、そちらを使用したほうが痛みはやわらぎやすいでしょう。
また、痛む範囲が漠然としており広範囲に広がっている場合、脚やお尻にしびれがある場合は何かしらの疾患が原因で痛みが出ていることがあります。漠然とした痛みが広範囲に出ている場合は、なるべく早めの受診をおすすめします。
冷湿布は患部が熱をもっていたり腫れていたりする方、温湿布は痛みが慢性的に続いている方に向いています。「こういう症状のときはこっちを使うべき」といった厳密な決まりはないため、使っていて心地よく感じるほうを選んでもらえば問題ありません。
冷湿布か温湿布かということ以外にも、どのような成分が入っているのか、何歳から使えるのかなども確認することが大切です。湿布薬は気軽に購入できるため安易に使用する方もいますが、使い方を誤れば副作用が出ることもあるため、しっかりと用法用量を守って使用しましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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