「頭痛薬を飲む回数がどんどん増えてきた」「頭痛薬を飲んでもあまり効かなくなってきた」
このような症状がある方は、もしかしたら頭痛薬そのものが頭痛の原因となる「薬物乱用頭痛」になっているかもしれません。今回は、薬物乱用頭痛がどのようなものなのか、どうすれば治療できるのかなどを解説します。
薬物乱用頭痛とは、頭痛薬を服用しすぎることで起こる頭痛のことです。日本にどれくらいの患者がいるかはわかっていませんが、海外での有病率は年間約1~2%だといわれています。そのうち、約70%が女性です。
薬物乱用頭痛の原因は、頭痛薬の使いすぎです。以下の薬剤が原因になることで知られています。
頭痛くらいで病院に行くのは気が引けると感じ、市販の頭痛薬に頼っている方はとても多いかと思います。ドラッグストアでもロキソニンやイブなどの頭痛薬が売れない日はありません。
簡単に購入できる薬のためついつい常用しがちですが、頭痛薬の使用が頭痛を引き起こす可能性があることは覚えておきましょう。
ちなみに、薬物乱用頭痛の原因となりやすいのは処方薬ではなく市販薬です。どなたでも簡単に購入できてしまうため、乱用につながりやすいと考えられます。
そのほか、処方が必要なエルゴタミンやトリプタン製剤も薬物乱用頭痛を引き起こす原因の一つです。
このような症状がある場合は、薬物乱用頭痛の可能性があります。慢性的な頭痛がある方は頭痛薬を使う頻度がどうしても高くなるため、とくに注意してください。頭痛があるから薬を飲み、薬が原因で頭痛が起こるという悪循環に陥ることがあります。
薬物乱用頭痛の診断には、次の基準が用いられることが一般的です。
偏頭痛や緊張性頭痛、群発頭痛などの慢性的な頭痛が月に15日以上あることが、診断基準の一つとなります。
このような頭痛がある方は、頭痛薬を使う頻度が高くなるため必然的に薬物乱用頭痛になる可能性が高くなるのです。
市販の頭痛薬は、一つの薬にさまざまな成分が配合されているものが少なくありません。そのような頭痛薬を1か月に10日以上使用しており、なおかつ3か月以上その状態が続いている場合は要注意です。
また、1つの成分しか入っていない頭痛薬や乱用の可能性が低い成分の薬でも1か月に15日以上服用する状態が3か月続いていたら薬物乱用頭痛の可能性があります。
頭痛薬を飲んでもかえって症状が悪化するというのは、薬物乱用頭痛の代表的な症状です。次第に頭痛薬が効きづらくなってくるという症状もよく見られます。
薬物乱用頭痛の治療方法にはおもに次の3つがあります。
このうち、頭痛薬の服用を中止するのは、医療機関に行かなくてもすぐに実行しやすいものです。
ただし、服用の中止により頭痛が起きることもあるため、完全に頭痛薬を断つのは意外と簡単ではありません。そのため、医療機関を受診して適切に治療を進めていくことが大切です。
薬物乱用頭痛は頭痛薬の乱用が原因となっているため、服用をやめることが基本となります。一見すると「やめれば頭痛もよくなると」というのは単純であり当たり前のことのように思えるかもしれません。
しかし、頭痛薬を中止するとリバウンドが起きて頭痛がさらにひどくなったり、頭痛薬を飲めない不安からなかなかやめられなかったりする方も多いものです。
リバウンドによる頭痛は、服用を中止してから1週間ほど続くといわれています。この1週間をどう耐え抜くかが鍵となるでしょう。
頭痛薬をやめたことによって頭痛が起こるリバウンドをただただ耐えるのは多くの方が苦痛を感じるかと思います。そのため、リバウンドによる頭痛をいかに対策するかが薬物乱用頭痛の治療が成功するかのポイントです。
リバウンドを軽くする治療薬としては、トリプタンやナプロキセン、ステロイドなどが有効だといわれています。これらの治療薬は市販での取り扱いがないため、リバウンド対策がつらくて頭痛薬の服用をやめられない方は医療機関を受診して相談してみてください。
なお、トリプタンやナプロキセンがどの程度リバウンドの頭痛に効果的なのか、明確なデータはまだわかっていません。
頭痛が起きるから頭痛薬を飲み、頭痛薬のせいで頭痛が悪化するという悪循環を断つためには、予防薬を使うのも効果的です。薬物乱用頭痛の原因となっている頭痛薬をやめる前から予防薬を使うことで、頭痛が起こる日数を減らす効果があるといわれています。
薬物乱用頭痛の方はもともと偏頭痛をもっていることが多いため、偏頭痛の方に対して次のような予防薬が使われることが一般的です。
このうち、バルプロ酸とロメリジン、プロプラノロールは保険適用が認められています。これらの予防薬も、市販では購入できませんので医療機関の受診が必要です。
薬物乱用頭痛になると、頭痛がひどいのに頭痛薬が使えない・効かないというとてもつらい状況になります。このような状況を避けるためにも薬物乱用頭痛にならないよう日頃から予防しておくことが大切です。
市販の頭痛薬は気軽に購入できてしまうため、頭痛が続いても市販薬で済ませようとする方も多いかと思います。しかし、薬物乱用頭痛の大きな原因は市販薬の服用です。頭痛が起きたら市販薬と安易に服用するのではなく、頭痛の種類や原因に応じて適切な治療を始めるように心がけてください。
とくに偏頭痛もちの方は市販の頭痛薬に頼りすぎないように注意しましょう。「慢性頭痛の診療ガイドライン2015」によると、偏頭痛の治療で医療機関を受診している方は全体の2.7%しかいないとされています。
偏頭痛専用の薬は市販薬での取り扱いがありません。最近では「エムガルティ」という月に1回の注射で偏頭痛の発症を予防できる新しい薬も出てきました。偏頭痛が原因で頭痛薬を飲む回数が増えている方は、まずは偏頭痛の治療を始めるところから行っていきましょう。
頭痛ダイアリーとは、頭痛が起こった日付や時間帯、どのような痛みが起きたのかなどを記録していくものです。女性で月経がある方は、月経があった日付も記載していきます。
頭痛の正確な状況を医師に伝えるのに役立つため、適切な治療を受けやすくなることが大きなメリットです。頭痛ダイアリーは日本頭痛学会のページからダウンロードできるので、気になる方はぜひ活用してみてください。
頭痛が続くときは、頭痛が起こる原因そのものに対処していく必要があります。頭痛薬を飲めば一時的に楽になるかもしれませんが、根本的な解決にはつながりません。
市販の頭痛薬は月に10日以内の服用が目安となっているため、これ以上服用しないといけない状況が続いている場合は医療機関での治療が必要です。
薬物乱用頭痛とは、頭痛薬を使いすぎることで起こる頭痛です。頭痛薬を飲んでも痛みが引かない方、飲むとかえって痛みが悪化する方は薬物乱用頭痛になっている可能性があります。原因となる薬のほとんどは市販の頭痛薬です。
市販の頭痛薬は月に10日以内の使用が望ましいとされています。薬物乱用頭痛かもしれないと思った方は、頭痛外来や脳神経外科、内科などを受診して早めに適切な治療を始めましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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