手荒れに使える市販薬は?原因や症状、予防方法などを解説

2022/11/07

「手の洗い過ぎで手荒れしてしまった」「手荒れに効く市販薬はある?」

手荒れがあると、痛みやかゆみが出たり見た目が気になったりしますよね。しつこい手荒れに悩まされ、市販薬で治せないかなと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

今回は、手荒れが起こる原因や治療に使える市販薬、手荒れの予防方法などについて詳しく解説します。

手荒れで見られる原因や症状

手荒れといっても、人によって症状や原因はさまざまです。ここでは、代表的な症状や原因について見ていきましょう。

手荒れが起こる原因

手荒れが起こる原因には、「物理的な刺激」と「化学的な刺激」によるものとがあります。

〈物理的な刺激〉
  • 空気の乾燥
  • 皮膚のこすれ・摩擦
〈化学的な刺激〉
  • 洗剤
  • シャンプー
  • アルコール
  • パーマ・カラー液

空気が乾燥すると皮膚から水分が失われやすくなり、カサつきが原因で手荒れを起こしやすくなります。

摩擦やこすれも手荒れの原因です。皮脂を奪いやすい洗剤やシャンプー、アルコールで手荒れしやすいと感じる方も多いでしょう。パーマ液やカラー液は皮膚に刺激を与えるため、使う機会が多い方は手荒れしやすくなります。

手荒れで見られる症状

  • 乾燥
  • ひび割れ
  • あかぎれ
  • 湿疹

初期の段階では、手が軽く乾燥するだけで済みますが、ひどくなると、あかぎれになったりひび割れができたりします。皮がむけてヒリヒリすることもあるでしょう。

手荒れの治療に使える市販薬

手荒れの症状は人それぞれです。症状によって適した成分が異なります。では、実際にどのような市販薬があるのか、症状別に見ていきましょう。

症状成分
乾燥ヘパリン類似物質、ワセリン
ひび割れ・あかぎれビタミンE(トコフェロール)、アラントイン、パンテノール
湿疹ステロイド

手の乾燥

手が乾燥している場合は、内側まで保湿成分を補給するヘパリン類似物質が配合されたものや、皮膚の表面を覆って水分の蒸発を防ぐワセリンがおすすめです。

白色ワセリン

皮膚を保護する力が強く、手の乾燥以外に傷口や唇の保護にも使われています。赤ちゃんからでも使える保湿剤です。ベタつきが気になる方は、寝る前のみに使用したり手の甲側だけ塗るようにしたりするとよいでしょう。

成分(1g中)日局白色ワセリン 1g
効能効果手足のひび、あかぎれ、皮膚の荒れ、その他皮膚の保護
用法用量患部に薄く塗ってください
HPクリーム

優れた保湿力をもつヘパリン類似物質が主成分として配合された塗り薬です。ヘパリン類似物質はうるおいを与えることでバリア機能も高めるため、手が荒れやすい方にはぴったりでしょう。血行を促進したり炎症を抑えたりする効果もあります。

成分(100g中)ヘパリン類似物質 0.3g
効能効果 手指の荒れ
ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症
手足のひび・あかぎれ
乾皮症
小児の乾燥性皮ふ
しもやけ(ただれを除く)
きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり(顔面を除く)
打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛
用法用量1日1回~数回、患部にすりこむかガーゼなどに伸ばして貼ってください

ひび割れ・あかぎれ

ひび割れやあかぎれは、手の乾燥が進むことで起こる症状です。保湿成分のほかに、角質をやわらかくする尿素や血行をよくするビタミンE、組織を修復するアラントインなどが含まれた塗り薬を選ぶとよいでしょう。

ヒビケア軟膏a

ヒビケア軟膏aは、ひび割れやあかぎれのほか、手荒れやかゆみにも対応できる塗り薬です。かゆみを抑えるジフェンヒドラミン、組織の修復を助ける成分としてアラントインとパンテノールなどが配合されています。しみにくくベタつきも少ないため、日常使いでもストレスを感じません。

成分(100g中)アラントイン 0.2g
パンテノール 1.0g
トコフェロール酢酸エステル 0.2g
グリセリン 40.0g
ジフェンヒドラミン 0.5g
効能効果 ひび
あかぎれ
しもやけ
用法用量1日数回、適量を患部に塗布してください。
ヒビエイド

組織を修復するパンテノールが多く配合されている塗り薬です。炎症を抑えるグリチルレチン酸も配合されています。かゆみが強い方はヒビケア軟膏a、炎症が気になる方はヒビエイドを選ぶとよいでしょう。

成分(100g中)アラントイン 2.0g
パンテノール 5.0g
トコフェロール酢酸エステル 2.0g
グリチルレチン酸 0.3g
グリセリン 40.0g
効能効果 ひび
あかぎれ
しもやけ
用法用量1日数回、適量を患部に塗布してください。

湿疹

手に湿疹ができていたり赤みがあったりする場合は、ステロイドが配合された塗り薬が向いています。ステロイドには炎症を抑える効果があるため、湿疹や赤みに効果的です。

メディクイック

手湿疹用のメディクイックには、クリームタイプと軟膏タイプとがあります。ベタつきにくいほうがいい方はクリーム、皮膚に優しいものがいい方は軟膏がおすすめです。メディクイックには、炎症を抑えるステロイドと殺菌成分、かゆみ止めや組織の修復成分などが配合されています。

成分(100g中)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 1.5mg
イソプロピルメチルフェノール 1mg
リドカイン 10mg
クロタミトン 50mg
アラントイン 2mg
効能効果 湿疹
かぶれ
かゆみ
皮膚炎
じんましん
あせも
虫さされ
用法用量1日数回、適量を患部に塗布してください。
オイラックスDX軟膏

ステロイドのほか、炎症を抑えるグリチルレチン酸も配合された塗り薬です。患部がカサカサしていてもジュクジュクしていても使えます。使用年齢に制限がなく、小さな子どもから使用可能です。

成分(100g中)デキサメタゾン酢酸エステル 0.025g
グリチルレチン酸 0.5g
クロタミトン 5g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
イソプロピルメチルフェノール 0.1g
アラントイン 0.2g
効能効果 湿疹
かぶれ
皮膚炎
かゆみ
しもやけ
じんましん
虫さされ
あせも
用法用量1日数回、適量を患部に塗布してください。

手荒れを防ぐために日常生活で意識したいこと

手荒れは日常で少し気をつけるだけでも予防できます。荒れやすい方は予防も心がけましょう。

手を洗い過ぎない

手を洗う回数が多いほど、皮脂が奪われて乾燥しやすくなります。乾燥するとバリア機能が低下して手荒れを起こしやすくなるため、洗い過ぎには注意しましょう。

手を頻回に洗う必要がある方は、小まめにハンドクリームなどを使って保湿を行うことが大切です。

刺激をできるだけ避ける

洗剤やシャンプーは皮膚の刺激となります。油分が奪われて乾燥することもあるため、洗浄力が強すぎるものはできるだけ避けてください。手荒れしやすい方は、ゴム手袋をして洗剤を使うとよいでしょう。

乾燥しないように保湿を心がける

皮膚の乾燥はバリア機能の低下を招くため、手荒れを起こしやすくなります。手が荒れやすい方は、こまめな保湿を心がけてください。ハンドクリームでも構いませんし、ヘパリン類似物質のクリームやワセリンを使ってもOKです。

このような症状があるときは医療機関を受診しよう

  • 手荒れ以外に熱や息苦しさがある
  • 手以外に粘膜にも荒れが見られる
  • 皮膚が真っ赤になって腫れ上がっている

このような症状がある場合は、市販薬を使用せずすぐに医療機関を受診してください。何らかの感染症やアレルギーなどの可能性があります。

手荒れに関するQ&A

最後に、手荒れに関してよく聞かれる質問にお答えします。

ハンドクリームで手荒れは治りますか?

ハンドクリームは基本的に保湿をするものであり、手荒れを治すものではありません。保湿することで治りやすくなったり手荒れの予防になったりすることはありますが、荒れがひどい場合は塗り薬も使用するのをおすすめします。

主婦湿疹に効く市販薬はありますか?

主婦湿疹=手湿疹です。炎症を抑える働きのあるステロイドが配合された市販薬が使えます。

手の皮がむけるのですが、いい市販薬はありますか?

手の皮がむける原因として、乾燥や汗疱、水虫などが考えられます。乾燥にはヘパリン類似物質やワセリンなどの保湿剤、汗疱にはステロイドが配合された塗り薬が有効です。水虫が疑われる場合は市販薬での対処は難しいので、皮膚科を受診してください。

値段が高い保湿剤ほどよく効きますか?

値段が高い=効果も高いとは限りません。保湿力の高いヘパリン類似物質などの成分が入っているか、ベタつきが少なく使いやすいかなどの観点から選びましょう。

ステロイドを使うと色素沈着になると聞いたので不安です

皮膚が黒くなるのは、ステロイドの影響ではなく皮膚を何度もこすったりかいたりする影響によるものです。ステロイドが色素沈着の原因となるわけではありません。

まとめ

手荒れは、摩擦や刺激、乾燥や洗剤などが原因で起こるものです。荒れの原因を取り除くことがまずは大切ですが、症状がひどい場合は市販薬を使って治していきましょう。

乾燥にはヘパリンやワセリン、ひび割れやあかぎれにはビタミンEやアラントイン、湿疹にはステロイドが向いています。

手を洗いすぎないようにし、刺激を避け保湿を行うことで予防できますが、手荒れがよく起こる方や症状がなかなか治らない方は皮膚科を受診するようにしてください。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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