2023/04/21

肥満を解消したい、痩せたいと思ってもなかなか続かない方が多いのではないでしょうか。

そのような方におすすめなのが、市販のダイエット薬です。簡単に痩せられる魔法の薬ではありませんが、肥満解消のサポートをしてくれます。

しかし、ダイエットに使われている市販薬には多くの種類があるため、どれが自分に合っているのか迷っている方もいるでしょう。

そこで今回は、ダイエットに効果的な市販薬の種類や選び方、新しく販売される「内蔵脂肪減少薬」について紹介します。

ダイエットに効果的な市販薬の種類

現在販売されているダイエットに効果的な市販薬は、すべて漢方薬です。次の3種類がダイエットによく用いられています。

  • 防風通聖散
  • 防已黄耆湯
  • 大柴胡湯

防風通聖散は有名なので、知っている方も多いのではないでしょうか。まずは、それぞれの漢方薬の特徴について紹介します。

代謝を改善する「防風通聖散」

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、代謝を良くする効果がある漢方薬です。基礎代謝を上げて痩せやすい状態にしてくれます。

また、腹部の脂肪を低下させる効果もあるため、内臓脂肪でお腹がぽっこりしている方の肥満解消に効果的です。防風通聖散は、次のような方に向いています。

  • 体力が比較的ある方
  • 便秘しやすい方
  • むくみやすい方

便通を良くする効果があるため、便秘しがちな方にぴったりです。防風通聖散はどなたでも使えるイメージがあるかもしれませんが、体力が比較的ある方向けの漢方薬なので注意しましょう。

むくみを改善する「防已黄耆湯」

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、体に溜まった余分な水分を排出する効果がある漢方薬です。体の水分バランスを整えて、むくみを改善します。そのため、水太りの傾向がある方によく使われるものです。防已黄耆湯は次のような方に向いています。

  • 体力が中等度以下の方
  • 汗をかきやすい方
  • 筋肉にしまりがなく水太り気味の方

消化吸収のサポートをしながら胃腸の機能を整えることにより、余分な水分を排出します。汗をかきやすく筋肉にしまりがない方にぴったりです。水分の調節を行う働きがあることから、多汗症の治療にも用いられることがあります。

ストレス太りを改善する「大柴胡湯」

大柴胡湯(だいさいことう)は、ストレスを抱えると太りやすい方向けの漢方薬です。ストレスが溜まると、ホルモンバランスが乱れて脂肪の代謝が落ちてしまいます。大柴胡湯は自律神経を整えることで脂肪の代謝を改善し、さらに排便を促すことでダイエットをサポートするものです。次のような方に向いています。

  • 便秘しがちな方
  • 体格がガッチリしており体力が充実している方
  • ストレスでたくさん食べてしまう方

大柴胡湯は、ガッチリとした体型の方向けです。また、体力が充実している方に使用されます。

そもそもなぜ肥満になるの?

運動しても食事量を減らしてもなかなか痩せない。そのような悩みをもっている方は多いでしょう。肥満のなりやすさは遺伝も関係しているといわれていますが、重要なのはエネルギーの摂取量と消費量です。

エネルギーを摂り過ぎている

摂りすぎたエネルギーは、脂肪として体に蓄積されていきます。そのため、摂取エネルギーが消費カロリーを上回る状態が長く続くと、脂肪が溜まって肥満になってしまうのです。

消費カロリーが少なすぎる

消費カロリーが摂取カロリーより少ない場合も脂肪はどんどん溜まっていきます。ずっと座りっぱなしの方、階段を使わずエレベーターやエスカレーターに頼りがちな方は消費カロリーが少なくなっている可能性があります。

肥満の定義

肥満とは、体脂肪が過剰に蓄積した状態のことです。肥満の判定にはBMIがよく用いられており、BMIが25以上になると肥満と定義されます。BMIは以下の式で計算することが可能です。

BMI=[体重(kg)]÷[身長(m)2]

たとえば、身長160cmで体重が50kgの場合は、50÷(1.6)2でBMIは約19.5となります。

参考

適正なエネルギー摂取量の求め方

「自分が摂るべき適正なエネルギー量が分からない」という方もいるかと思います。そのような方は、次の式でエネルギー摂取量を計算してみましょう。

エネルギー摂取量(kcal)=標準体重(kg)×身体活動量(kcal)

身体活動量(kcal)は、以下の表の数字を目安に計算してみてください。

軽労作座っていることが多い
デスクワーク中心
25~30kcal
普通の労作立ち仕事が多い30~35kcal
重い労作力仕事が多い35kcal~

標準体重は「身長(m)」2×22で求められます。標準体重が50kgでデスクワーク中心の方の場合、エネルギー摂取量は1,250~1,500kcalが適正となります。

参考

内臓脂肪減少薬「アライ」が市販で購入できるようになる

現在、市販のダイエット薬としておすすめできるものは防風通聖散や防已黄耆湯などの漢方薬しかありません。そのようななか、新たなダイエット薬である「アライ」が厚生労働省に承認され注目を集めています。

アライは脂肪の吸収を抑える薬

アライは主成分にオルリスタットを含む薬です。オルリスタットは、脂肪の吸収を抑える働きがあります。脂肪の吸収を行うのに必要なリパーゼという酵素の働きを抑えることで、摂取した脂肪の一部を排出する新しいダイエット薬です。

アライの服用が適用となるのは腹部が太めな方のみ

アライを購入できるのは、腹部が太めな方のみです。具体的には、腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上ある方が対象となります。販売時期は2023年3月時点で未定です。要指導医薬品として販売されるため、本人が薬剤師から対面で説明を受けることで購入できます。

参考サイト

ダイエットに使える!市販で購入できる薬3選

では、市販で購入できるダイエット薬について、具体的な商品を紹介しましょう。

新・ロート防風通聖散錠満量

1日分あたり5,000mgの防風通聖散エキスが配合された、満量処方の市販薬です。体に溜まった脂肪を落とし、燃焼を助ける働きがあります。代謝と排泄をサポートすることでダイエットを促す薬です。

コッコアポL錠

防已黄耆湯が主成分として配合された市販薬です。むくみやすい方、水太りしやすい方に向いています。錠剤がフィルムコーティングされているので、漢方薬の風味が苦手な方でも飲みやすいでしょう。代謝を上げてしまりのない脂肪を燃焼させます。

公式サイト:コッコアポL錠

コッコアポG錠

大柴胡湯が主成分の市販薬です。ストレスで太りやすい方を対象とした漢方薬で、自律神経を整えることでダイエットをサポートします。肥満のほか、頭痛や便秘、神経症にも効果的です。

公式サイト:コッコアポG錠

どうしても肥満を解消できない方は肥満外来も検討しよう

肥満外来では、医師や管理栄養士などの指導のもとダイエットに取り組むことができます。食事療法や運動療法を行いつつ、医学的なサポートを受けながら健康的に痩せることが可能です。

どうしても痩せられない、何をやっても体重が減らないという方は、肥満外来の受診も検討してみるとよいでしょう。

市販のダイエット薬に関するQ&A

では、最後に市販のダイエット薬に関する質問にお答えします。

アライはいつ販売になりますか?

アライの発売日は、2023年3月時点で未定です。アライは大正製薬から販売されますので、気になる方は大正製薬のページをチェックしておくとよいでしょう。

防風通聖散を飲むとお腹が痛くなるのですが?

防風通聖散には便通を促す効果があるため、人によってはお腹が痛くなることがあります。エキス量が少ないものから試してみると、腹痛を防げるでしょう。

薬だけで痩せられますか?

薬のみで痩せることは難しいと考えられます。あくまでもダイエット薬は肥満解消のサポート役です。バランスの良い食事と適度な運動をベースにダイエットを行っていくようにしてください。

まとめ

ダイエットに用いられる市販薬には、防風通聖散や防已黄耆湯、大柴胡湯などがあります。

代謝を上げて脂肪の燃焼を促進したい方は防風通聖散、水太りしやすい方は防已黄耆湯、ストレスで太りやすい方は大柴胡湯がおすすめです。

どうしても自分一人では痩せられないという方は、肥満外来を利用するのもよいでしょう。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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