2023/04/19

皆さんの中に、ペットと暮らしながら子育てしているお宅はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

ペットはいないという家庭でも、お子さんが3~4歳から小学校低学年くらいになると、お友達の家や絵本・アニメなどの影響で「ワンちゃんを飼いたい」と言い出したり、ショッピングセンターのペットコーナーで見かけたネコちゃんを欲しがったりするかもしれません。

ママ・パパにペットと暮らした経験がない場合、はたしてちゃんと世話ができるのか自信がありませんよね。

しかし子供の情操教育にペットはとてもよい影響を与えるという話はとてもよく聞きます。

思い切って飼うべきか、思いとどまるべきか……。

今回はペットが小さい子にどのような影響やメリットをもたらすのか、逆に注意するべき点はあるのかを解説します。

ペットは子供のすばらしいパートナー

結論からいうと、ペットはきちんとお世話をすれば、ほとんど全ての子供にとてもよい影響をもたらします。

もちろんペットの種類やお子さんの年齢などにより影響やメリットは変わりますが、具体的には次のような力が育まれたり、効果が得られたりするといわれます。

責任感

自分の気まぐれで世話をしたりしなかったりではなく、面倒くさくても必ず毎日お世話をしなければいけないため、責任感が身につきます。

社会性

「他者(ペット)は自分とは違う感情や意志を持っている」と早い段階で理解でき、言葉が通じないぶん一生懸命相手の気持ちを考えるようになります。

絆やパートナーシップ

犬は人間の3~5歳くらいの精神年齢であるといわれています。犬以外の生き物でも、その多くは子供にとって大切な仲間や家族・きょうだいのような存在として絆が育まれます。

生活習慣やリズム

毎日決まった時間に水やエサを用意したり、犬なら散歩に連れて行ったりすることで、生活にリズムが生まれ、毎日のルーティンを忘れずに行う習慣が身につきます。

自己有用感

最近よく聞く「自己肯定感」と言葉は似ていますが少し違うものです。

自己肯定感は子供自身が「失敗したり短所もあるけど自分は自分でOKなんだ」と思えること。

いっぽう「自己有用感」とは、ペットのお世話をがんばることで元気にペットが暮らせて家族から感謝された時の「人の役に立ててうれしいな」という感覚をいいます。

ストレスケア

イルカや馬・犬などの生き物と触れあうことで心が安定し、幸せな気持ちになれる「アニマルセラピー」という活動の手法があるように、ペットとのスキンシップは子供の心によい影響を与えます。園や学校で嫌なことがあっても、ペットがなぐさめるように側にいてくれたおかげで元気になれた…という経験のある人もいるのでは。

ペット(または人やぬいぐるみなど)のように温かく柔らかいものをなでていると、別名「幸福ホルモン」と呼ばれる「オキシトシン」や、心地よさをもたらす「ドーパミン」が分泌されることも分かっています。

参考

知的好奇心

「エキゾチックアニマル」とも呼ばれる、トカゲなどの爬虫類やあまり人には慣れないとされる動物でも、動きや生態を観察することで子供の知的好奇心が成長することもあります。

もちろん昆虫やザリガニと心を通わせてかわいがる子もいます。それも素晴らしいことですよね。

命の大切さ

どんなにかわいがっていても、多くのペットは子供よりも先に寿命を終えます。その時の悲しみと引きかえに、ペットたちは限りある命の大切さや、生きて共に過ごす時間を大切にすることを教えてくれます。

ペット選びの注意点

小さな子は将来を見通す力が発達していないため、ひとたびペットが欲しいと思ったら「絶対にお世話をするから飼いたい!」と言い、その時は本気でそう信じています。

しかしまずは次のような観点で、本当に責任を持って迎えることができるのか考えてみる必要があります。

  • 親にとって子育てとペットのお世話が両立できるのか
  • 家族がアレルギーだった場合や発症した場合どうするのか
  • 転勤先が動物を飼えない住宅だったらどうするのか

いざとなった時に譲り受けてもらえる先がない場合は「安易に迎え入れられない」と子供にも分かることばで説明する必要があります。

迎え入れを決めた場合は、家族で誰もペット経験者がいないのであれば、飼いやすさや育てやすさを考慮して選ぶのが望ましいでしょう。

レトリーバーやハスキー犬など大型の犬種は力が強く声も大きいため、散歩や来客時に制御できないこと、食費がかかること、老衰時のお世話も重くて大変なことなどの理由から、初心者は避けるほうが安心です。

いっぽう猫も見た目だけで選ぶと、改良や血統保持を優先してきた結果、特有の病気にかかりやすいなどの特徴を持っていることがあります。

そして、人間側だけでなくペットの安心安全ももちろん保ってあげなくてはいけませんよね。

ペットを飼うと決まったら、次のようなことをお子さんと約束し、一度ではなく何度も話してあげましょう。

  • 近くで大声を出さない
  • しっぽや毛をつかむ・上に乗るなど乱暴に扱わない
  • エサは決まった時間と量を守る
  • 人間の食べ物を食べさせない
  • 安全な居場所を確保する

おわりに

命あるペットは、その健康や幸せに責任を持たなくてはいけないため、お子さんが今とても欲しがっていたとしても、よく考えて決める必要があります。

いっぽうで、「今まで何をやっても長続きしなかったわが子が、散歩を欠かさず頑張るようになった」「かけがえのない友達ができたよう」といった言葉もたくさん耳にします。

まずは、ママやパパがしっかりとメリットや注意点を把握し、責任を持ってペットを迎えられるかどうか判断できるようになるとよいですね。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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