10~20代にかけて発症することの多い片頭痛(偏頭痛)。
全国に約840万人の患者がいると言われています。ズキンズキンと脈打つような強い頭痛が起こるため、つらい思いをしている方が多いのではないでしょうか。
医療機関を受診している方もいるかと思いますが、なかには市販薬で対処したいと考えている方もいるでしょう。そこで今回は、偏頭痛に効果がある市販薬について紹介します。偏頭痛の予防法についても解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
「これって片頭痛なの?それとも普通の頭痛?」とお悩みの方もいるかと思います。そこでまずは、片頭痛とはどのような頭痛なのかという点について解説していきましょう。
片頭痛とは、ズキンズキンと脈打つような強い痛みが数時間から数日にわたって続く頭痛のことです。頭の両側が痛むこともありますが、片側のみが痛むケースが多く見られます。強い痛みが出るだけでなく、前兆が見られることがあるのも特徴です。
視界がギザギザしたり視野が欠けたりなどの症状が見られます。片頭痛が起きると、吐き気や嘔吐を伴い、光や音に過敏になることが少なくありません。
片頭痛が起こる原因については、いまだに確定していません。現時点では、大脳皮質ニューロンの過剰な興奮が関係する神経説、脳血管が収縮した後に拡張することが原因だとする血管説、セロトニンの欠乏が関係しているセロトニン説、三叉神経が刺激されることが原因だとする三叉神経説が有力です。
このほか、チョコレートやチーズ、ストレスやアルコール、喫煙なども片頭痛を引き起こす要因となることで知られています。
片頭痛は拍動性の痛みが生じることが特徴です。こめかみから目のあたりが痛むことが多く、両側ではなく片側のみ痛む方がよく見られます。人によっては前兆が起きることもあり、片頭痛が起こる前に視界がギザギザしたり見えづらくなったりなどの症状が代表的です。
前兆が起こる前にイライラしたり情緒不安定になったりする方もいます。片頭痛が起こると、光や音に敏感になり、吐き気や嘔吐を伴うこともよくあることです。
片頭痛専用の薬は、残念ながら市販では販売されていません。そのため、市販薬で片頭痛に対応する場合は、一般的な解熱鎮痛剤を使用することになります。
できるだけ鎮痛効果の高い薬を市販で購入したい方には、ロキソプロフェンが主成分のものがおすすめです。痛みを引き起こす原因物質であるプロスタグランジンの産生を抑え、片頭痛の痛みを緩和します。
ロキソプロフェンナトリウム水和物が主成分の解熱鎮痛剤です。医療機関で処方されるロキソニンとまったく同じ成分が同じ量だけ含まれています。眠くなる成分は含まれていません。
ロキソプロフェンナトリウム水和物が主成分として配合されています。これ以外の成分は含まれていないため、服用しても眠くなることはありません。
胃の負担が少ない解熱鎮痛剤をお探しの方には、アセトアミノフェンが配合されたものがおすすめです。アセトアミノフェンは市販されている解熱鎮痛剤のなかでもっとも胃の負担が少ない薬として知られています。
アセトアミノフェンのみが配合された解熱鎮痛剤です。15歳以上から服用できます。空腹時でも服用できますが、風邪による悪寒や発熱があるときはできるだけ食後に服用してください。
7歳から服用できるタイプの解熱鎮痛剤です。アセトアミノフェンのみが配合されています。なるべく空腹時を避けて服用してください。
「頭痛の診療ガイドライン2021」によると、片頭痛急性期における治療薬において、エビデンスの確実性と推奨の強さは次のように示されています。
薬剤 | 推奨の強さ | エビデンスの確実性 |
---|---|---|
アセトアミノフェン | 強い | A |
アスピリン | 強い | A |
イブプロフェン | 強い | A |
ロキソプロフェン | 強い | C |
市販で手に入る解熱鎮痛剤では、上記のように分類されています。矛盾しているようですが、鎮痛効果が高いとされるロキソプロフェンは、エビデンスの確実性がCとなっているのが現状です。
推奨の強さに関しては、どの解熱鎮痛剤も「強い」となっており変わりません。そのため、市販薬で片頭痛に対応する場合は、飲み慣れたものを選んでもらって構わないと考えられます。
医療機関では、解熱鎮痛剤やトリプタン系、片頭痛の予防薬などが使われます。
市販にもロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛成分がありますが、医療機関では次のようにこれ以外の成分も処方されます。
トリプタン系の薬は、医療機関でしか処方されません。セロトニンの作用に関わり、脳内で血管が拡張しないようにする薬です。片頭痛の痛みだけでなく光や音に敏感になったり吐き気がしたりするのも改善する働きがあるとされています。
片頭痛が起こらないように予防する薬も医療機関では使われています。代表的な薬は次の通りです。
予防薬を使うことで、月に何度も片頭痛に悩まされていた方が毎日を快適に送れるようになることもあります。あまりに高頻度に片頭痛が起こる場合は、予防薬の使用も検討してみましょう。
片頭痛は日々の生活でも予防ができます。ちょっとしたことに気をつけるだけでも片頭痛は起こりにくくなりますので、片頭痛が起きやすい方は以下のことに気をつけて過ごしてみましょう。
疲れたりストレスが溜まったりしたと感じた場合は、なるべく早めに休息を取ります。疲れやストレスは片頭痛を引き起こす引き金となりやすいため、こまめに体を休めてあげましょう。
食事を1日3食きちんと食べることも大切です。片頭痛は血糖値の低下が原因で起こることもあります。不規則な生活を送っていると血糖値が下がりやすくなるため、できるだけ規則正しい食事を摂るようにしましょう。
チョコレートやコーヒー、アルコールやワインは片頭痛を誘発しやすいことで知られています。片頭痛を起こしやすい方は、これらの飲食物はできるだけ避けるようにしましょう。
片頭痛は市販の解熱鎮痛剤でもある程度の痛みであれば抑えることができます。しかし、治療薬の選択肢が非常に少ないため、つらいときは医療機関を受診するのがおすすめです。
片頭痛が気になる場合は、
などを受診しましょう。頭痛外来は頭痛を専門に診ているところですので、悩んだときはこちらを受診すると安心です。
トリプタン系や片頭痛の予防薬は、医療機関を受診しないと手に入りません。片頭痛は通常の解熱鎮痛剤では効果が弱いと感じる方もいるため、効き目が不十分なときは早めに医療機関を受診しましょう。専用の薬を使うことで生活に支障が出るほどの片頭痛から解放されたという方も大勢います。
市販では、一般的な解熱鎮痛剤が片頭痛に用いられています。ロキソニンやアセトアミノフェンなど、使い慣れたものを選ぶとよいでしょう。
市販薬で効果が不十分な場合は、医療機関を受診してトリプタン系や予防薬などを処方してもらうのをおすすめします。
市販薬ではあまり効かなかった方でも、処方薬なら効果があったと言われる方が意外と多いものです。受診することで治療の選択肢が大きく広がりますので、片頭痛にお悩みの方は早めに受診しましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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