化膿止めは、怪我したときや火傷したときなどに使われる薬です。市販では数多くの化膿止めが販売されています。
「化膿しているけど化膿止めを使うべき?」「市販ではどの薬を買えばいいの?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、どのようなときに化膿止めを使うべきなのか、市販にはどのような薬が販売されているのかを紹介します。怪我したときの正しい対処法や受診の目安についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
化膿止めは、名前の通り化膿を治すための薬です。しかし、市販薬を実際に見てもらうとわかりますが「化膿止め」という名前で販売されている薬はありません。
「化膿止め」と言われることが多いですが、実は化膿止め=抗生物質の入った塗り薬のことです。通常、傷口の周りに細菌がいたとしても自然治癒力によって感染を防げるため、化膿を起こすことはありません。
しかし、なんらかの原因で細菌が感染すると炎症を起こして化膿してしまうのです。抗生物質には細菌の働きを抑える効果があるため、使用することで化膿を食い止めることができます。
次のような症状が見られる場合は、化膿止めを使用したほうが良いと考えられます。
このような場合は、細菌が感染している可能性が高いと言えるでしょう。傷口から液体が出ている場合はすでに化膿を起こしています。赤く腫れているのは化膿を起こすサインです。
なお、化膿しているときは無闇に絆創膏を貼ってはいけません。乾いた傷なら湿潤療法によって治りが早くなりますが、化膿しているときはかえって傷が悪化する可能性があります。
市販で購入できる化膿止めは、塗り薬のみです。医療機関では飲み薬の化膿止めが処方されることもありますが、市販はされていません。飲み薬の化膿止めが必要な場合は、医療機関を受診しましょう。
塗り薬であれば市販でも購入できるので、まずは市販薬で様子を見て、治りが悪いようでしたら受診するという流れがおすすめです。なお、受診したからといって必ずしも化膿止めの飲み薬が処方されるわけではありません。飲み薬になるか塗り薬になるかは医師の判断によって異なります。
怪我をしたら傷口を洗って消毒して…というのは古い知識です。傷口が化膿しないように消毒している方もいるかもしれませんが、消毒薬は細菌だけでなく傷口から分泌されている浸出液まで破壊してしまうことがあります。
そのため、現在は消毒薬を使用しないことが一般的です。では、どのように対処したら良いのか、正しい方法を見ていきましょう。
まずは傷口についた砂や泥などの汚れをきれいに洗い流します。水道水で構いませんので、しっかりと汚れを落としましょう。洗っても汚れが落ちなかったり傷口に異物が入ったりしている場合は、整形外科を受診してください。傷口を洗った後は、清潔なガーゼなどで水気を拭き取ります。
出血している場合は止血の処置も必要です。清潔なガーゼなどを傷口に当てて圧迫してください。出血量が多い場合は、傷口を心臓の位置より高くすると止まりやすくなります。
止血が済んだら傷口の保護をしましょう。ワセリンや化膿止めを傷口に塗り、ガーゼや絆創膏で覆います。絆創膏を貼りっぱなしにしておくと傷口が不衛生になって化膿しやすくなるため、1日に1回は新しいものに貼り替えましょう。
市販には数多くの化膿止めが存在します。今回は3つに絞って商品をピックアップしました。それぞれに含まれる成分や特徴を紹介しているので、自分に合う化膿止め選びの参考にしてみてください。
主成分としてコリスチン硫酸塩とバシトラシンが配合された化膿止めです。2種類の成分を配合することで、より幅広い細菌に対応できるようになっています。コリスチン硫酸塩はグラム陰性菌や緑膿菌、バシトラシンはグラム陽性菌やグラム陰性菌に有効です。1日に1~3回、患部に塗布して使用してください。
こちらは、ステロイド成分であるヒドロコルチゾンと、抗生物質のオキシテトラサイクリン塩酸塩が配合された市販薬です。抗生物質だけでも化膿止めの役割ははたしてくれるのですが、ステロイド成分が加わることでより強力に症状を抑えてくれるようになります。
テラ・コートリル軟膏aは黄色い軟膏ですので、衣類に付着しないよう気をつけて使用してください。
ベトネベートN軟膏ASもステロイドと抗生物質の両方が配合された市販薬です。市販薬のなかではもっとも強いランクであるstrong(強い)に該当するステロイド成分であるベタメタゾン吉草酸エステルが配合されています。
しっかりと皮膚の炎症を沈め、抗生物質であるフラジオマイシン硫酸塩が細菌の発育や増殖を抑えてくれるため、化膿した傷口にもぴったりです。
化膿止めは、正しく使わなければ十分な効果が発揮されません。傷口の治りを早くするためにも、正しい使い方を知っておきましょう。
化膿止めを使用する前に、必ず手や患部を清潔にしてください。とくに患部には砂や泥などの汚れが付着していることが多いため、しっかりと洗い流します。洗い方が不十分だと細菌に感染するリスクが高まるので気をつけましょう。
また、手についている見えない雑菌が化膿の原因となることもあるため、必ず手も清潔にしてください。
患部と手を清潔にしたら、化膿止めを傷口にたっぷりと塗ります。以前は薄く塗るのが主流となっている時期もありましたが、現在は厚めに塗るのが正しい方法です。しっかり塗ることで成分が傷口に浸透し、同時に患部を保護することもできます。
軽い化膿であれば、市販の化膿止めでも対処できます。しかし、次のような症状がある場合は早めに医療機関を受診するようにしてください。
では、最後に市販の化膿止めに関して良く聞かれる質問にお答えします。
オロナインには化膿を防ぐ効果はありますが、化膿止めとして使うのは難しいと考えられます。化膿止めではなく、傷口の消毒に適した薬です。
市販で化膿止めの飲み薬は販売されていません。購入できるのは塗り薬のみです。
歯専用の化膿止めはありませんが、歯肉炎や歯槽膿漏に使える市販薬ならあります。炎症を抑える成分や殺菌成分が配合されているものが一般的です。
化膿止めとは、抗生物質が配合された薬のことです。市販薬では塗り薬のみ取り扱われています。怪我したときは患部を水道水で良く洗い、汚れをしっかり落としてから止血し、化膿止めやワセリンを塗って保護してください。
傷口に木片やガラスが残っていたり、傷が深かったりする場合は早めに医療機関を受診しましょう。市販薬を使って1週間ほど経っても症状が改善しない場合も受診して診てもらうようにします。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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