健康診断などで「血糖値が高めですね」と言われた方も多くいるのではないでしょうか。
平成9年度と少し古い調査ではありますが、厚生労働省が行った「糖尿病実態調査」によると、糖尿病の可能性を否定できない方は日本全国に1,370万人もいるそうです。
血糖値を指摘されたものの、仕事や家事が忙しくて医療機関に通えない方もいるかと思います。そのようなとき、市販薬に血糖値を下げる薬があると便利ですよね。
この記事では、市販の血糖値を下げる薬や、日々の生活で血糖値を下げる方法などについて詳しく解説します。
血糖値とは、血液中にあるブドウ糖の濃度のことです。食前の血糖値は、約70~100mg/dlの範囲なら正常だと言われています。食後の場合は、食事から2時間後の血糖値が140mg/dlなら正常です。140mg/dlを上回っている場合は食後高血糖となります。
通常は、血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌されるため、過度に血糖値が上がることはありません。インスリンは血液中のブドウ糖を細胞に取り込んで血糖値を下げるホルモンです。細胞に取り込まれたブドウ糖は、エネルギー源として利用されます。
健康診断で血糖値が高いと指摘された場合は、糖尿病である可能性があるので早めに内科や糖尿病内分泌科などを受診しましょう。
血糖値が上がる原因には、大きく分けて2つあります。1つはインスリン抵抗性が高まることです。インスリン抵抗性とは、インスリンの効きが悪くなることを指します。インスリンは分泌されているのに効きが悪いため、血糖値が下がりません。
もう1つはインスリンの分泌量そのものが減っていることが挙げられます。ではインスリン抵抗性やインスリンの分泌量の低下はどのようにして起こるのでしょうか。
運動不足の状態が続くと、血糖値が上がりやすくなります。インスリン抵抗性が高くなり、インスリンの効きが悪くなって血糖値が下がりにくくなるのです。インスリン抵抗性が高くなると、分泌されたインスリンがブドウ糖を細胞内に取り込む働きが弱まり、高血糖の状態になります。
ある調査では、よく動いている方はそうでない方と比べると35%糖尿病になりにくいそうです。逆に言えば、体をあまり動かさないだけで糖尿病のリスクが大きく増加します。
糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。このうち、生活習慣が大きく関係しているのは、2型糖尿病のほうです。糖尿病を発症する原因にはさまざまなものがありますが、なかでも肥満は糖尿病と大きな関係があると言われています。
厚生労働省が行った「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」によると、肥満者(BMI25以上)の割合は男性で33.0%、女性で22.3%でした。
なぜ肥満になると糖尿病になりやすいのかというと、インスリン抵抗性が高くなることが原因です。いくらインスリンを分泌しても血糖値が下がらず、最後には膵臓がオーバーワークになることで働きが落ちてしまいます。その結果、血糖値が上がりやすくなるのです。
一見すると何の関係もないように思えるかもしれませんが、ストレスも血糖値を上げる原因になります。
ストレスを感じると、交感神経が活発になってグルカゴンやアドレナリン、甲状腺ホルモンなどの分泌量が増え、結果として血糖値が上昇しやすくなってしまうのです。また、ストレスを受けることによって分泌されるコルチゾールも血糖値を上昇させる原因となります。
糖尿病は遺伝する病気です。100%遺伝するわけではありませんが、糖尿病の発症には遺伝的素因が関係していることが分かっています。
糖尿病は生活習慣病としても知られていますが、実は食生活や運動習慣に関係なく発症することもあるのです。2型糖尿病をもつ両親から生まれた子どもは、そうでない子どもと比べて糖尿病を発症する確率が3~4倍高くなることが分かっています。
年齢を重ねると、膵臓から分泌されるインスリンの量が減少します。また、筋肉量が低下したり内臓脂肪が増加したりすることから、インスリンの効きが悪くなるのも特徴です。このことから、高齢の方では若い方よりも血糖値が上昇しやすくなります。
血糖値を下げる市販薬はそこまで数が多くありません。糖尿病は医療機関で治療することが基本のため、そもそもあまり販売されていないのです。ここでは2種類の血糖値を下げる市販薬を紹介しますが、どちらも一般的に医療機関で使われている糖尿病治療薬とは異なります。
「血糖値が高め」と指摘された場合は、市販薬に頼らず早めに医療機関を受診しましょう。医療機関では、どのタイミングで血糖値が上がりやすいのか、どれくらい血糖値が高いのかに合わせて適切な治療を受けられます。
AJD糖解錠は、10種類の生薬を使った市販薬です。生薬の働きで血糖値を穏やかに低下させます。糖尿病による口渇や頻尿、多尿の改善にも効果的です。医師の治療を受けている方、妊娠または妊娠している可能性がある方、高血圧の方などは医師や薬剤師などに相談してから服用してください。
威徳は、糖尿病だけでなく膵臓炎の炎症寛解にも効果がある市販薬です。人参や甘草、猪苓や石膏など10種類の生薬を独自に配合して作られています。医師の治療を受けている方や胃腸虚弱で冷え症の方、高齢者の方は医師や薬剤師に相談してから服用してください。
糖尿病は生活習慣病のため、日々の生活習慣を改めることが治療につながります。血糖値を下げるためには、食事療法や運動療法も組み合わせて行うことが大切です。
食事療法は糖尿病の管理に有効です。エネルギーの摂取量を適正にし、体重を減少させることで糖尿病の発症リスクが低下します。総エネルギーの摂取量は、目標とする体重や病態によって変わります。食事療法を行うときは、以下のことに気をつけましょう。
糖尿病だからといって食べてはいけないものはありませんが、適正なエネルギー摂取量を守って食事を続けていくことが大切です。
運動療法を行うと、インスリン抵抗性が改善されるためインスリンが効きやすくなります。おすすめは、有酸素運動です。1回10~30分の運動を1週間に3~5日行ってください。
ウォーキングやジョギング、サイクリングや水泳など全身を使った運動を行いましょう。運動の強度は、「ややきつい」もしくは「楽である」と感じる程度が適切です。
薬物療法では、インスリン抵抗性を改善する薬やインスリンの分泌を促す薬、糖の吸収をゆるやかにする薬などを用いて血糖値のコントロールを行います。代表的な経口血糖降下薬は次の通りです。
どのタイミングで血糖値が上がりやすいのか、どれくらい血糖値が高いのかに合わせて適切な薬を選択します。
糖尿病に効果がある市販薬は販売されていますが、糖尿病の恐れがあるのに市販薬を使うのはおすすめできません。市販されている血糖値を下げる薬は、その人に合ったタイミングで血糖値を下げることができないうえに、適切な血糖コントロールができるものではないからです。
医療機関での治療が必要ない程度の方でしたら服用しても問題ありませんが、受診を勧められている場合は市販薬を使用せず内科や糖尿病内分泌科などを受診しましょう。
市販でも血糖値を下げる薬の取り扱いがあります。しかし、血糖値を市販薬でコントロールしようとするのはおすすめできません。血糖値が高めだと指摘されたら、早めに医療機関を受診してください。
血糖値が高い状態を放置しておくと、細い血管が脆くなってしまいます。網膜症や腎症、神経障害などの合併症を起こすこともあり、非常に危険です。
血糖値が上がる原因としては、運動不足や肥満、ストレスや遺伝、加齢などが挙げられます。食事療法や運動療法なども取り入れながら、うまく血糖値をコントロールしていきましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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