2024/03/22

ミヤBM錠は、医療機関でよく処方される整腸剤の一つです。

「市販薬でも取り扱いはあるの?」と気になっている方が多いのではないでしょうか。下痢や便秘、腹部膨満感などの消化器症状があるとき、ミヤBM錠が手元にあると安心ですよね。

この記事では、市販薬でミヤBM錠の取り扱いがあるのかについて解説します。腸内環境を整える方法も紹介しているので参考にご覧ください。

ミヤBM錠ってどんな薬?

ミヤBM錠は、整腸剤のなかでも特に処方頻度が高い薬です。ビフィズス菌が配合されたビオフェルミンと並んで市場のシェアを獲得しています。

ミヤBM錠の成分

ミヤBM錠の有効成分は、酪酸菌です。宮入菌とも呼ばれている成分で、1錠あたり20mgの宮入菌末が含まれています。酪酸菌は、生きたまま腸に届くことが特徴です。

大腸に到達した酪酸菌は、酪酸を作り出すことで腸内を弱酸性にし、悪玉菌の増殖を抑えます。この酪酸は、酪酸菌にしか作り出せません。

ミヤBM錠の効能効果

ミヤBM錠には「腸内細菌叢の異常による諸症状の改善」という効能効果があります。具体的には、次のような症状に効果的です。

対象疾患 改善率
胃腸炎 75%
腹部症状 75%
下痢 97%
便秘 67%
交替性便通異常 80%
軟便 59%

このほか、コレラ菌や赤痢菌、腸炎ビブリオ菌、サルモネラ属菌、腸管病原性大腸菌、腸管毒素原性大腸菌、腸管出血性大腸菌などの各種菌の発育を抑制する効果も確認されています。

ミヤBM錠はどんなときに使われる?

ミヤBM錠は、お腹の調子が優れないときに使われる薬です。服用すると、腸管内で発芽、増殖し、酪酸などを産生して腸内環境を整えます。通常、乳酸菌などは抗生物質と一緒に服用すると、死滅してしまうことがデメリットです。

しかしミヤBM錠の有効成分である酪酸菌は、芽胞を形成するため抗生物質と一緒に服用しても死滅しません。そのため、抗生物質による胃腸症状を軽減する目的で処方されることも多くあります。

ミヤBM錠は市販されているの?

ミヤBM錠と同じ酪酸菌が配合された市販薬はいくつか存在します。医療機関を受診する時間がないときや、薬を切らしてしまったときなどは市販薬を購入するのもよいでしょう。

なお、処方薬にはミヤBM錠とミヤBM細粒の2種類がありますが、剤形が違うだけで効能効果に大きな違いはありません。

ミヤBM錠の主成分と同じ「酪酸菌」を含む市販薬

ここからは、ミヤBM錠の主成分と同じ酪酸菌を含む市販薬を3つ紹介します。配合成分や効能効果などをそれぞれ解説していくので、こちらを参考に自分に合う市販薬を探してみてください。

強ミヤリサン

9錠(15歳以上の1日量)あたり270mgの宮入菌末が配合された市販薬です。服用することにより腸内で発育し、酪酸や酢酸、ビタミンB群を産生してビフィズス菌や乳酸菌の発育を助けます。

また、有害細菌の発育を抑制する効果があることも特徴です。強ミヤリサンは5歳以上から服用できます。医師の治療を受けている方や強ミヤリサンを1か月程度服用しても症状が良くならない場合は、医師や薬剤師などに相談するようにしてください。

配合成分 宮入菌(酪酸菌)末
効能効果 整腸(便通を整える)、軟便、便秘、腹部膨満感
用法用量 15歳以上:1日3回、1回3錠
11歳以上15歳未満:1日3回、1回2錠
5歳以上11歳未満:1日3回、1回1錠
使用可能な年齢 5歳以上

ビオスリーHi錠

ビオスリーHi錠は、ミヤBM錠にも配合されている酪酸菌のほか、ラクトミンと糖化菌も配合された市販薬です。ラクトミンは小腸から大腸にかけて働き、乳酸を産生して腸内フローラを整えたり酪酸菌を増やしたりする働きがあります。

糖化菌は、小腸で働く菌です。乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やします。小さな子どもに服用させたい場合は、散剤タイプの「ビオスリーH(散剤)」もおすすめです。こちらは3か月以上から服用できます。

配合成分 酪酸菌、ラクトミン、糖化菌
効能効果 整腸(便通を整える)、便秘、軟便、腹部膨満感
用法用量 15歳以上:1日3回、1回2錠
5歳以上15歳未満:1日3回、1回1錠
使用可能な年齢 5歳以上
公式サイト:ビオスリーHi錠

太田胃散整腸錠

酪酸菌のほかに大腸で働く代表的な善玉菌であるビフィズス菌、小腸で働いて悪玉菌の増殖を抑えるラクトミンが配合されています。

このほか、大腸や小腸の蠕動運動を調節するゲンノショウコエキス、胃腸の粘膜を修復するアカメガシワエキス、胃の働きを高めるゲンチアナ末、でんぷんやたんぱく質の消化を助けるビオヂアスターゼ100も配合された整腸剤です。

乳酸菌と生薬成分をWで配合することで、胃腸の調子を総合的に整えます。

配合成分 ビフィズス菌、ラクトミン、酪酸菌、ゲンノショウコエキス、アカメガシワエキス、ゲンチアナ末、ビオヂアスターゼ100
効能効果 軟便、整腸(便通を整える)、便秘、腹部膨満感
用法用量 15歳以上:1日3回、1回3錠
8~14歳:1日3回、1回2錠
5~7歳:1日3回、1回1錠
使用可能な年齢 5歳以上
公式サイト:太田胃散整腸錠

腸内環境を整えるためにしたい3つのこと

腸内環境が優れないと感じるときは、日常生活に気をつけることも大切です。これから紹介する3つの方法を取り入れて、快適な毎日を手に入れましょう。

プロバイオティクスやプレバイオティクスを摂る

腸内環境を整えるためには、腸内に存在する善玉菌の割合を増やすことが大切です。善玉菌を増やす方法には、プロバイオティクスを摂取する方法とプレバイオティクスを摂取する方法があります。

プロバイオティクスとは、生きた善玉菌のことです。ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆や漬物などが該当します。

プレバイオティクスとは、善玉菌を増やす働きがあるもののことです。オリゴ糖や食物繊維などが該当します。プロバイオティクスやプレバイオティクスを摂ることで腸内環境を整えることが可能です。

適度な運動を行う

適度な運動も腸内環境を整えるのに効果的です。運動を行うと全身の血流が良くなり、さらに自律神経が整うことで腸内バランスが良くなります。

ウォーキングやジョギングなど、軽い運動で構わないので毎日の習慣にしてみてください。なお、激しい運動はかえってストレスを溜める原因となるので注意しましょう。

質の良い睡眠をとる

睡眠障害が腸内環境に影響を及ぼすことが分かっています。睡眠時間が短い方ほど腸内細菌叢が乱れて不調を来してしまうのです。適度な運動を行い、眠りやすい温度や湿度などの環境を整えることで質の良い睡眠を取りやすくなります。

お腹の調子が気になるときは内科や消化器内科を受診しよう

お腹の調子が気になるときは、ミヤBM錠と同じ成分を含む整腸剤を使用して様子を見ても構いません。

ただし、市販薬を1か月程度使用しても症状が改善しない場合は、内科や消化器内科を受診して検査をしてもらいましょう。腸の調子は生活習慣やストレスなどに大きく左右されますが、まれに病気が隠れていることがあります。

ミヤBM錠に関するQ&A

最後に、ミヤBM錠に関してよく聞かれる質問にお答えします。

錠剤が飲みにくいときは噛んで服用してもいいですか?

錠剤を飲み込みにくいときは、噛んで服用しても構いません。噛んでも効果が落ちることはないとされています。

ミヤBM錠で痩せるって本当ですか?

ミヤBM錠の主成分である酪酸菌は、脂肪の蓄積を抑える短鎖脂肪酸を作り出します。そのため、ミヤBM錠を服用すると痩せると言われているのです。しかし、ミヤBM錠を服用するだけで大幅に痩せることはありません。体重を減らしたい場合は適切な食事管理を行いましょう。

ミヤBM錠に副作用はありますか?

ミヤBM錠の副作用に関して、特に添付文書には記載がありません。そのため、特筆すべき副作用はないと言えるでしょう。ただし、人によっては体に合わない可能性もあります。

ミヤBM錠とビオフェルミンの違いはなんですか?

ミヤBM錠とビオフェルミンは、配合されている菌の種類が異なります。ミヤBM錠に配合されているのは酪酸菌、ビオフェルミンに配合されているのは乳酸菌とビフィズス菌です。

酪酸菌は酪酸を産生して悪玉菌の増殖を抑制します。乳酸菌やビフィズス菌は病原菌に感染するのを防いだり細菌の増殖を抑えたりする成分です。

まとめ

市販薬にもミヤBM錠と同じ成分を含む整腸剤があります。ミヤBM錠の主成分は酪酸菌(宮入菌)です。市販では、強ミヤリサンやビオスリーHi錠、太田胃散整腸錠などに酪酸菌が配合されています。

腸内環境を整えるためには、プロバイオティクスやプレバイオティクスを摂ったり、適度な運動を行ったりすることが大切です。お腹の不調が長く続く場合は病気が隠れている可能性もあるため、内科や消化器内科を受診しましょう。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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