2024/03/19

めまいは多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。

目が回るようなめまい、体がふわふわした感じになるめまい、くらくらして立っていられなくなるめまいなど、さまざまな種類があります。

めまいの裏には病気が隠れていることもあり、市販薬では対処できないケースもあるので注意が必要です。今回は、めまいの種類や原因となる病気、めまいに効く市販薬などについて詳しく紹介します。

めまいには種類がある

めまいは大きく次の3つの種類に分けられます。

  • 回転性めまい
  • 動揺性めまい・浮動性めまい
  • その他のめまい

まずは、それぞれの特徴について見ていきましょう。

目が回るめまい(回転性めまい)

目がぐるぐる回るようなめまいを、回転性めまいと呼びます。自分は動いていないのに周りが回っているように感じるため、とても不快な気分になることが多いでしょう。吐き気や冷や汗を伴うこともあります。

ふわふわするめまい(動揺性めまい、浮動性めまい)

ふわふわするめまいは、動揺性めまいや浮動性めまいと呼ばれています。目が回る感じはないものの、体がふわふわ浮くような感覚に襲われることが特徴です。自律神経の乱れやストレス、薬の副作用などが原因になりやすいと言われています。

くらくらするめまい

お風呂からあがったときや急に立ち上がったときなどにくらくらするめまいが起こることがあります。これは耳に原因があることが多い回転性めまいとは違い、脳の血液量が一時的に不足することが主な原因です。

めまいを引き起こす主な病気

めまいは何らかの病気が原因で起こっている可能性もあります。病気が原因の場合は、市販薬では改善できないことがほとんどです。次に紹介するような病気が疑われるときは、耳鼻咽喉科を受診して検査をしてもらいましょう。

メニエール病

メニエール病は、激しいめまいが突然起こる病気です。詳しい原因についてはまだ分かっていませんが、内リンパ液の産生と吸収のバランスが崩れることが関係しているのではないかと考えられています。

ぐるぐると自分や周りが回っているような回転性めまいに襲われ、吐き気や嘔吐を伴うことも少なくありません。耳鳴りを生じたり難聴になったりすることもあります。

突発性難聴

突発性難聴とは、耳の聞こえが突然悪くなる病気のことです。原因はまだはっきりと分かっていませんが、ストレスや過労、睡眠不足や糖尿病などが原因で起こりやすいと考えられています。

40~60歳代の方で発症することが多く、聞こえづらさは人によってさまざまです。音がまったく聞こえなくなる方もいれば、高音だけ聞こえなくなる方もいます。

前庭神経炎

前庭神経炎とは、強い回転性めまいが突然起こる病気です。吐き気や嘔吐を伴うことも多くあります。動くとめまいが悪化するものの、安静にしてもなかなか治まりません。

原因は、内耳にある前庭や半規管、前庭神経や脳幹などの障害です。命に関わる病気ではありませんが、非常に強いめまいを起こすため、救急搬送される方も多くいます。

良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症は、頭を動かしたときにめまいが起こる病気のことです。剥がれ落ちた耳石が三半規管に入り込むことで発症します。

耳石は通常、耳石膜と呼ばれるゼラチン質の構造をしたものの上に乗っていますが、これが落ちて三半規管に入るとリンパ液の流動を起こしてめまいが引き起こされるのです。耳石が剥がれ落ちる原因については、まだよく分かっていません。

めまいが起きたときの対処法

めまいが起きたときは、次のような対処法を行ってみてください。症状が楽になることがあります。

  • 無理に動かず楽な姿勢をとって安静にする
  • めまいが起こらない頭の位置を探す
  • 吐き気や嘔吐があるときは、冷たいタオルでみぞおちを冷やす
  • 光や振動が苦痛に感じるときは静かな環境を整える
  • 急に立ち上がったり頭を動かしたりしない

めまいに効く市販薬6選

めまいの種類ごとに市販薬を紹介します。自分の症状に合わせて選んでみてください。

回転性めまいに効く市販薬

トラベルミン

処方薬のトラベルミン配合錠と同じ成分が配合された市販薬です。自律神経に働きかけて症状を緩和するジフェンヒドラミンサリチル酸塩、揺れによって起こる感覚の混乱を抑えるジプロフィリンが配合されています。眠気が出やすいので、注意しましょう。

有効成分 ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジプロフィリン
服用回数 1日3回まで
公式サイト:トラベルミン
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

苓桂朮甘湯は、回転性めまいの改善に有効な漢方薬です。漢方では、水の代謝が悪くなって気の巡りが妨げられることでめまいが起こると考えられています。苓桂朮甘湯は気を補い、水を取り除くことでめまいや立ちくらみなどの症状を改善します。

有効成分 日局ブクリョウ、日局ケイヒ、日局ソウジュツ、日局カンゾウ
服用回数 1日2回

動揺性めまい、浮動性めまいに効く市販薬

アネロンニスキャップ

1日1回の服用で効果が持続するタイプの市販薬です。嘔吐中枢の興奮を抑えるマレイン酸フェフェニラミン、吐き気を抑えるアミノ安息香酸エチル、自律神経の興奮を抑えるスコポラミン臭化水素酸塩水和物などが配合されています。

有効成分 マレイン酸フェニラミン、アミノ安息香酸エチル、スコポラミン臭化水素酸塩水和物、無水カフェイン、ピリドキシン塩酸塩
服用回数 1日1回
公式サイト:アネロンニスキャップ
サンワロンS顆粒 真武湯(しんぶとう)

体力が虚弱で冷えや疲労感、倦怠感がある方に向いている漢方薬です。水の滞りを改善し、めまいやふらつき、むくみや冷えなどを改善します。15歳以上から服用可能です。

有効成分 サンワロンS水製エキス、ブクリョウ、シャクヤク、ショウキョウ、ソウジュツ、加工ブシ末
服用回数 1日3回

その他のめまいに効く市販薬

ラムールQ

ラムールQは、ホルモンバランスの乱れや更年期による症状に有効な薬です。生薬成分のほか、日局ニコチン酸アミドや日局チアミン硝化物などのビタミンも配合されています。めまいの症状以外に、動悸や息切れ、不眠や疲労感にも効果的です。

有効成分 日局エンゴサク、日局カノコソウ、日局シャクヤク、日局トウキ、日局ケイヒ、日局センキュウ、日局ボタンピ、日局ブクリョウ、日局ソウジュツ、日局ジオウ、日局チンピ、日局カンゾウ、日局コウブシ、日局トウニン、日局オウレン、日局ショウキョウ、日局チョウジ、日局ニンジンなど
服用回数 1日2回
公式サイト:ラムールQ
奥田脳神経薬M

3種類の洋薬と7種類の生薬、ルチンを配合した薬です。ストレスや疲れが原因で起こるめまいや不安感などの症状を改善します。15歳以上から服用可能です。

有効成分 チョウトウ末、ニンジン末、サンソウニン、テンナンショウ末、シンイ末、インヨウカク末、サイシン末、ルチン、カフェイン水和物、ブロモバレリル尿素、グリセロリン酸カルシウム
服用回数 1日2回
公式サイト:奥田脳神経薬M

めまいに似た症状に要注意

めまいのような症状が出ていても、ほかの病気が原因のことがあります。服用している薬が原因のこともあるため要注意です。

起立性低血圧

急に立ち上がったり起き上がったりしたときに立ちくらみを起こすことです。ふらっとくるのでめまいを起こしていると思われることがありますが、脳への血液循環の減少が原因です。

脳疾患

めまいの症状に加えて手のしびれやものが二重に見えるなどの症状があるときは、脳疾患が原因の可能性があります。このような症状があるときは、すぐに神経内科や脳神経外科などを受診しましょう。

薬の副作用

めまいは薬の副作用でも起こります。糖尿病の治療薬で低血糖になったとき、高血圧の治療薬で低血圧になったときなどは症状が起こりやすいでしょう。また、副作用でめまいが起こることのある抗生物質もあります。

めまいが気になるときは医療機関を受診しよう

めまいは誰にでも起こり得るものですが、原因については医療機関で検査をしてもらわないと特定できないケースが多くあります。めまいが気になるときは、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

手のしびれやものが二重に見えるなどの症状があるときは、脳疾患の可能性があるので神経内科や脳神経外科を受診してください。

まとめ

めまいが起こる原因はさまざまです。メニエール病や突発性難聴、前庭神経炎、良性発作性頭位めまい症などが原因の可能性もあります。

めまいの種類によって適切な治療方法が変わるため、症状が続くときは早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。市販薬で対応できるめまいもありますが、医療機関を受診して検査をしてもらうのがベストです。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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