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自律神経を整える市販薬はある?効果的な漢方薬や注意点を紹介

2024/06/07

「自律神経のバランスが乱れている気がする」「なんとなく体調が優れない」とお悩みではありませんか?

とくに原因がないのに体調不良が続く場合は、自律神経に原因があるかもしれません。

自律神経を整える薬は、市販薬にもあります。今回は、自律神経に効く市販薬について詳しく見ていきましょう。薬を使わずに自律神経を整える方法も紹介しているので参考にしてみてください。

そもそも自律神経とは?

自律神経とは、交感神経と副交感神経のことです。交感神経と副交感神経がバランス良く働くことで、血圧や呼吸などさまざまなプロセスを調節しています。

交感神経は緊張時に働く

交感神経は、体が緊張しているときに働く神経です。

血管収縮する
散瞳する
唾液腺ネバネバした唾液が出る
気管弛緩する
心臓心拍数が増加する
胃腸活動が低下する
膀胱弛緩する

副交感神経はリラックス時に働く

一方で、副交感神経は、リラックスしているときに働きます。交感神経とは逆の働きをすることが特徴です。

血管拡張する
縮瞳する
唾液腺サラサラした唾液が出る
気管収縮する
心臓心拍数が減少する
胃腸活動が促進する
膀胱収縮する(排尿促進)

自律神経のバランスが乱れる原因

自律神経は、寝る時間が不規則だったり食事の時間がバラバラだったりするとバランスが乱れやすくなります。また、ストレスも自律神経のバランスが乱れる原因です。

ストレスを抱えた状態が長く続くと、交感神経の働きが優位になって血圧が上がりやすくなったりイライラしやすくなったりします。

また、交感神経の働きが優位になっているときは副交感神経の働きが落ちているため、睡眠の質が低下したり胃腸の調子が悪くなったりする原因にもなります。

自律神経のバランスが乱れるとあらわれる症状

自律神経のバランスが乱れることで見られる症状はさまざまです。代表的なものに、次のような症状があります。

  • 動悸
  • 発汗
  • めまい
  • ほてり
  • 頭痛
  • 胃痛
  • 腹痛
  • 下痢
  • 吐き気
  • 息切れ
  • 食欲不振
  • 倦怠感

明らかに体調に異変があるにもかかわらず、特に病気が見つからない場合は自律神経失調症と診断されることがあります。自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経のバランスが乱れて体のコントロールがうまくいかなくなる病気のことです。

自律神経を整える効果がある市販薬

自律神経の乱れは、漢方薬を服用することで整えられる可能性があります。漢方薬にはいくつか種類があるので、自分の症状に合うものを見つけてみてください。

桂枝加竜骨牡蛎湯

不眠症や眼精疲労、神経症などの症状が気になる方に用いられる漢方薬です。体力が中等度以下の方に向いています。神経の高ぶりを抑えて気や血を補うことで自律神経のバランスを整えるものです。神経の高ぶりを抑える効果があることから、小児の夜泣きや夜尿症にも使用されます。

公式サイト:桂枝加竜骨牡蛎湯

半夏厚朴湯

喉が詰まったような感じがする方、動悸やめまいがある方に使われる漢方薬です。気のめぐりを良くし、症状を改善していきます。体力が中等度の方向けです。不安神経症や神経性胃炎の治療にも用いられます。

公式サイト:半夏厚朴湯

加味帰脾湯

加味帰脾湯は、不眠症状に悩んでいる方によく用いられる漢方薬です。漢方では、血が足りていないと昼夜のメリハリがつかず眠りが浅くなると考えられています。加味帰脾湯には血を増やしたり補ったりする働きがあるため、不眠の改善に効果的です。体力が中等度以下の方に向いています。

公式サイト:加味帰脾湯

当帰芍薬散

女性に良く用いられる漢方薬です。月経異常や冷え症のほか、めまいや肩こり、耳鳴りや動悸などさまざまな症状に効果を発揮します。体力が虚弱な方向けです。血行を良くし、さらに水分代謝を整えることで症状を改善します。

公式サイト:当帰芍薬散

加味逍遥散

冷え症や虚弱体質、不眠症などの治療に用いられる漢方薬です。体にたまった熱を冷やし、血を補うことでバランスを整えます。更年期の症状にも有効です。女性ホルモンの変動によって起こるさまざまな症状の緩和にも用いられます。

公式サイト:加味逍遥散

自律神経を整える効果がある市販薬を服用するときの注意点

漢方薬は、正しい使い方をしなければ十分な効果が出ないことがあります。ここで正しい服用方法や注意点について押さえておきましょう。

漢方薬は食前もしくは食間に服用する

漢方薬は、基本的に食前もしくは食間の服用が推奨されています。食事と混ざると効果が落ちたり、胃に食べ物がある状態だと漢方薬の吸収が悪くなったりすると言われているためです。しかし、食前や食間に飲み忘れてしまった場合は、食後に服用しても構いません。

漢方薬も薬なので副作用が起こることがある

「漢方薬は副作用がない」と思われている方もまれにいますが、これは誤りです。漢方薬も薬のため、体に合わず副作用が起こることがあります。

特に注意したい副作用が偽アルドステロン症です。多くの漢方薬には甘草が含まれており、過剰摂取すると高血圧やむくみなどの副作用が起こることがあります。

副作用を避けるためにも、用法用量は必ず守って服用してください。また、複数の漢方薬を服用する場合は医師や薬剤師などに相談しましょう。

効果が出るまで時間がかかることがある

自律神経のバランスを整える目的で漢方薬を服用する場合は、効果が出るまでに時間がかかることがあります。服用してすぐに症状が落ち着く場合もありますが、基本的には長期的な治療が必要になると考えておきましょう。

薬を使わずに自律神経を整える方法

自律神経の乱れは、必ずしも薬を使わないと治らないわけではありません。生活習慣に起因して自律神経に影響が出ていることもあるため、睡眠時間や食事の見直しも大切です。

睡眠時間を確保する

まずは、睡眠時間をしっかりと確保しましょう。必要な睡眠時間は人によって違うため、一概に何時間以上の睡眠が必要だと言うことはできません。

翌日にうとうとすることがない程度に睡眠をとることが推奨されています。毎日できるだけ同じ時間に起床して同じ時間に寝ることで、体内時計が整い睡眠の質を高めることが可能です。

寝る前にスマートフォンを見ない

スマートフォンなどから発せられるブルーライトには、体内時計を遅らせる働きがあると言われています。そのため、寝る前にスマートフォンを見るのはできるだけ控えましょう。

寝る前に明るい光を浴びると睡眠の質が下がることも分かっているため、ダラダラとスマートフォンを見る習慣がある方は注意してください。

朝食を摂る

朝食を摂ると、副交感神経が優位な状態から交感神経が優位な状態に切り替えることができます。朝から大量に食べる必要はありませんが、少量でも良いので何か口にするようにしましょう。

朝起きたら日光を浴びる

朝日を浴びると、体内時計のズレがリセットされます。朝起きたらカーテンを開けて、少しの時間でも良いので日光を浴びるようにしてみてください。

自律神経失調症との違いに注意!起立性調節障害とは?

自律神経失調症と間違われやすい病気に、起立性調整障害というものがあります。起立性調整障害は、起立したときにめまいや動悸、失神などの症状が起きる病気です。

この場合は、十分な水分や塩分を摂ったり適度な運動をして下半身の筋肉を増やしたりすることで症状を改善できると言われています。

自律神経失調症とは治療法が異なるため、めまいや動悸、失神などの症状が気になるときは循環器内科や脳神経内科などを受診しましょう。

気になる症状があったら医療機関を受診しよう

自律神経の乱れは、誰に起こってもおかしくないものです。しかし、自律神経の乱れが原因だと思っていた症状が、実はほかの病気が原因で起こっていることもあります。

自律神経失調症と似たような症状を来す病気には、起立性調整障害のほかにPMSや更年期障害など多くあるため、気になる症状が出た場合は原因を明らかにするためにもまずは医療機関を受診しましょう。

まとめ

市販薬にも自律神経の乱れに効く薬があります。主に漢方薬を使った治療となるため、自分の症状や体質に合ったものを選ぶようにしましょう。漢方薬は食前または食間に服用することが大切です。

また、すぐに効果が出ないこともあるため、体調をよく観察しながら服用を続けることが大切です。自律神経の乱れ以外の原因で体調に影響が出ることもあるため、体の不調が続く場合は早めの受診をおすすめします。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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