2024/07/12

何をしても子どもが薬を飲まないとお悩みではありませんか?粉薬は飲めるけど錠剤はダメ、とにかく全部の薬を拒否するなど、子どもによって「飲まない」の程度はさまざまです。

あの手この手で子どもに薬を飲ませようと試してみたものの、なかなかうまくいかないという方もいるでしょう。そこで今回は、子どもが薬を飲まないときの基礎的な対処法や、薬を飲みやすくするための便利グッズを紹介します。

子どもに薬を飲ませるときに親が気をつけること

子どもが薬を飲むか飲まないかは、性格によるところも大きくあります。また、子どもが薬に対してどのようなイメージをもっているかも大きく影響するでしょう。

「薬を飲みたくない」と子どもに思われないようにするためにも、親が気をつけたいことがいくつかあります。

「薬は嫌なもの」という印象を植え付けない

子どもの治療を円滑に進めていくうえで大切なのは、「薬は怖いもの」「苦いもの」「飲みたくないもの」などマイナスのイメージを植え付けないことです。

薬を子どもに飲ませるときに「薬は嫌だよね」「苦いもんね」などの声掛けはできるだけ避けるようにしましょう。いつもと違う雰囲気を親が作ってしまうと、子どもはそれを察して薬を嫌がるようになることがあります。

嫌がっているのに無理やり飲ませない

どうしても飲ませないといけない薬があるのに子どもが嫌がって飲まないとき、無理やり口に入れてしまうことがあるかもしれません。

なんとか口の中に入れることができたとしても、子どもにとっては嫌な思い出として残ることがあります。「病気のときだけ親が怖い」と思われ、余計に薬を嫌がるようになってしまうこともあるのです。

時間がかかってしまうかもしれませんが、長期的な目で考えると嫌がっている子どもに無理やり薬を飲ませるのは避けたほうがよいでしょう。大事なのは、薬を嫌がる原因を取り除いてあげることです。

子どもが薬を嫌がる原因

まずは、なぜ子どもが薬を嫌がっているのかを把握しましょう。嫌がる原因として、主に次の4つが挙げられます。

薬の味が苦手

子どもが薬を飲まない原因としてもっとも多いと言われているのが、薬の苦みです。とくに抗生物質は、苦みのあるものが多く存在します。

薬の食感が苦手

口に残る薬の食感が苦手で飲まないようになる子どももいます。たとえば粉薬は口の中にザラザラとしたものが残ってしまい、嫌だと感じる子どももいるでしょう。

体調が原因

体調が優れない影響で薬を飲めないこともあります。のどが痛くて飲み込めなかったり、吐き気が強かったりする場合は、薬を飲んでくれないことが少なくありません。

吐き気がある子どもに無理やり薬を飲ませると、薬ごと吐いてしまうこともあります。すると、薬を飲む=吐くという意識が植え付けられ、薬に対する苦手意識が高まる可能性もあるので注意が必要です。

粉薬を子どもに飲ませるコツ

小さな子どもの場合は、錠剤を飲み込めないので粉薬が処方されることがあります。味が口の中に残ったり口がザラザラしたりすることから、苦手意識をもつ子どももいるようです。

少量の水で練って上顎につける

乳児に粉薬を飲ませるときは、薬を少量の水で練って上顎や頬の裏側につける方法を試してみてください。その後、ミルクや母乳、湯冷ましなどを飲ませるとうまく飲み込んでくれます。

母乳やミルクに混ぜる

苦みの少ない薬であれば、母乳やミルクに混ぜて飲ませる方法もあります。ただし、子どもによっては、母乳やミルク嫌いになることがあるので積極的におすすめできる方法ではありません。

ジュースに混ぜる

ジュースや練乳、ジャムなどに薬を混ぜると飲んでくれることがあります。しかし、子どもが2~3歳くらいになると、親が何かに薬を混ぜて飲ませようとしていることを察知して不信感を抱かれることもあるので要注意です。

薬を混ぜていることを隠さず飲ませましょう。「今日は何に薬を混ぜて飲む?」と子どもに選んでもらうのもおすすめです。

水剤を子どもに飲ませるコツ

シロップなどの水剤は、甘みがあり比較的飲みやすい薬です。しかし、この甘みが原因で子どもが薬を飲まないことがあります。

水で薄めて甘さを緩和する

甘すぎることが原因で飲まない場合は、水で薄めて飲ませてみてください。ただし、雑菌の繁殖を防ぐために1回分ずつ薄めるのが原則です。のどに痛みがある子どもは、シロップの甘みで痛みが助長されて飲まないこともあるので、薄めてあげると飲みやすくなるかもしれません。

ジュースに混ぜる

シロップを1回分とり、そのままジュースに混ぜるのもよいでしょう。この場合も、シロップ全量をジュースに混ぜるのではなく、1回分ずつ混ぜるようにしてください。

錠剤を子どもに飲ませるコツ

個人差はありますが、4~5歳頃から錠剤が飲めるようになるといわれています。しかし、のどに引っかかる感じが苦手だと感じる子どもも多いようです。

やや下を向いて飲ませる

上を向いて口の中に錠剤を入れて飲ませると、喉に引っかかりやすくなります。やや下を向かせて飲ませることで、スムーズに飲み込みやすくなるでしょう。

砕いて粉状にしてから飲ませる

どうしても錠剤を飲み込めない場合は、錠剤を半分に割ったり砕いたりして飲ませてみてください。スプーンを使うと砕きやすいでしょう。

ただし、薬の種類によっては割ったり砕いたりしてはいけないものもあります。徐放錠や腸溶錠と書かれている薬は砕いたり割ったりしてはいけません。また、糖衣錠を砕くと苦みが出やすくなることがあるので、こちらも避けましょう。

子どもに薬を飲ませるときの注意点

子どもが薬を飲んでくれるように、いろいろなものに混ぜて飲ませることがあるかと思います。しかし、混ぜるものの相性によっては、苦みが出たり味がまずくなったりするものもあるので注意しましょう。例として、抗生物質と相性の良くないものを紹介します。

薬の名前 相性の良くないもの
オゼックス バニラアイス、ヨーグルト、スポーツ飲料
クラリス スポーツ飲料、果汁ジュース、いちごジャム
ケフラール スポーツ飲料、お茶、果汁ジュース
フロモックス スポーツ飲料、乳酸菌飲料、プリン
メイアクト スポーツ飲料、乳酸菌飲料、プリン
ワイドシリン スポーツ飲料、乳酸菌飲料

ここで挙げたものは一例です。ほかにも相性が良くないものもあります。薬を受け取る際に何に混ぜれば良いのか薬剤師に尋ねておくとよいでしょう。

子どもが薬を飲まないときは服薬補助グッズを使ってみよう

服薬補助グッズを活用すると、子どもが薬を嫌がらずに飲んでくれることがあります。ドラッグストアや薬局などで購入できるので、一度試してみてはいかがでしょうか。

にがいのにがいのとんでいけ

苦い薬を飲みやすくするチョコレートです。1回分ずつ小分けになっているので、無駄なく使用できます。チョコレートに粉薬を混ぜて、スプーンですくって飲ませてください。

おくすり飲めたね

薬をスムーズに飲めるようにするための服薬専用ゼリーです。粒状のゼリーになっていて喉通りが良いため、つるんと飲み込めます。錠剤やカプセル剤、粉薬などさまざまな剤形の服薬補助に使用可能です。

公式サイト:おくすり飲めたね

らくらく服薬ゼリー

錠剤がのどに引っかかる感じがしたり、粉薬が口の中に残ったりするのを防ぐのに役立ちます。のどに張り付かない適度な流動性をもつように作られているため、飲み込みやすくなるでしょう。

公式サイト:らくらく服薬ゼリー

おくすりパクッとねるねる

薬を楽しく飲めるようにと開発された服薬補助食品です。お菓子のねるねるねるねのように水と粉を混ぜて作るので、作る工程を楽しみながら薬を服用できます。1回使い切りなので、長期間の保存も可能です。

子どもが薬を飲まないときは医師に相談してみるのもおすすめ

子どもが薬を飲まない場合は、飲むのを嫌がった薬の名前を記録しておきましょう。なぜ飲めなかったのか、理由も分かる場合は一緒にメモをしておきます。

病院にかかるときに「錠剤は飲み込めないので粉にしてほしい」「シロップの甘さが苦手みたいなので違う薬にしてほしい」など医師に相談すると、対応してもらえるでしょう。

まとめ

子どもが薬を飲まないために頭を悩ませたことがある方は多いでしょう。薬を嫌がる原因はいろいろあるので、まずは原因を探ってみてください。原因が解決できれば、薬を飲んでくれるようになるでしょう。

剤形が原因で飲まない場合は、医師に相談して薬の形を変えてもらうのも一つの方法です。今は服薬補助グッズも多くあるので、うまく活用しながら子どもが薬を飲みやすい環境を作ってみてください。

  • カテゴリー:育児・子育て 薬・市販薬 
  • こども

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

 関連記事

column/btn_column_page
トップ