2024/08/19

赤ちゃんの離乳食や2歳頃までの幼児食には、基本的には唐辛子やワサビなどの辛い調味料は使いませんよね。

その後、3歳・4歳と成長するにつれ、だんだん大人と同じ食事に近付いていきますが、辛い味付けはいつ頃から、どの程度なら食べられるようになるのでしょうか?

実際にお子さんを育ててきたママ・パパの体験談から、はじめて辛いものに挑戦したタイミングや取り入れ方のヒントを紹介します。

幼児には辛い料理を控えた方が良い理由

「あまり小さいうちから辛いものを食べさせない」というのは、ほとんど全ての親御さんが言われなくても分かっているかと思いますが、それにはこんな理由があります。

大人より味を強く感じる

生まれたばかりの赤ちゃんの舌には味を感じる「味蕾(みらい)」という器官が約1万個ありますが、成長と共に約7,500個まで減ることが分かっています。つまり小さい時ほど、同じ味付けでも強く味を感じるので、大人と同じ味付けでは味が強すぎるのですね。

苦手な味が多い

身体の小さい赤ちゃんや幼児は、もし食材が腐っていたり毒性があったりすると大人よりも少量で生命の危機に陥ってしまうため、それらを表す苦味や辛味・酸味は本能的に避けると言われています。

消化器官が未発達

幼児期はまだ胃腸が発達途中のため、唐辛子やコショウなど刺激の強い食材・香辛料は粘膜がダメージを受け、お腹が痛くなったり下痢をしてしまったりする場合があります。

幼児向けでない食材やレシピが多い

唐辛子を使った料理にはたいてい油や塩分も多く使われています。またワサビを添えるのは刺身やソバなど古くから食あたりやアレルギーになりやすい食材が多く、もともと幼児向きではないという理由も挙げられます。

キムチや辛口カレーなど辛いものデビューの時期は?

夏は、スパイスの効いたカレーや中華・韓国料理など、辛いものが一層おいしい季節。

しかし小さいお子さんのいる家庭では「カレーや麻婆豆腐は子どもに合わせて甘口派」ということも多いのではないでしょうか。

味の好みには個人差があり、大人になったときに何が何でも辛いものを食べられる方が良いわけではありませんが、できれば幅広く色々な味を楽しめるよう、年齢に合わせて少しずつ辛いものにトライする機会は作ってあげたいですね。

具体的に「何歳から何を食べさせて良いか」は母子手帳などにも書かれていないため、経験則やお子さんの様子をみながら少しずつ辛いものの割合を大人に近づけていっているご家庭がほとんどではなないでしょうか。

そこで、現在12歳以上のお子さんがいる先輩ママ・パパ100人にアンケートを実施し、辛いものは何歳頃から取り入れたのか、どんな工夫をしたのか聞いてみました。

その結果、唐辛子・ワサビ・カラシ・胡椒の4つをはじめてお子さんに食べさせたときの年齢はそれぞれ以下がもっとも多いことが分かりました。

【はじめてお子さんが以下を使った料理を食べた年齢】

  • 唐辛子(豚キムチ・パスタ・きんぴらなど)…4歳
  • ワサビ(寿司・刺身・ざるそばなど)…5歳
  • カラシ(おでん・サンドイッチ・しゅうまいなど)…5歳
  • 胡椒(炒め物やソテーの味付けに)…3歳
 ※うっかり食べさせてしまったものは除く

薬味のワサビやカラシは、はじめて食べさせたのが5歳頃からとやや年齢が高め、逆に料理中に調味料として使う胡椒は3歳頃からという人が多かったようです。

とはいえ、いきなり大人と同じ味付けにしたわけではなく「最初は調理時に子どもの分だけ取り分けて少量唐辛子を加え、1年くらいかけて大人と同じものが食べられるようになりました」という声も多く見られました。

お子さんが辛いものに慣れるまでの工夫としては他にこんな声も。

Oさん・3歳児のママ

「私は辛いもの全般が苦手です。母から、私が小さい頃に口にいれてほしくないものを何でも”辛いよ!ダメ!”と叱っていたら、大きくなっても食べられなくなってしまったと聞きました。お店で辛いメニューが食べられなくて残念に思うこともあるので、子どもには、辛いからダメ!じゃなく、もう少し大きくなったら美味しく食べようね、という声がけをしています」

Yさん・4歳児のママ

「子どもに合わせて辛いものを我慢していると時々ストレスがたまってしまうけど、大人用と子供用、何種類もおかずを作るのは大変…。なので、たまにデパ地下で本格的なタイ料理や韓国料理などのお惣菜を少量買って、大人用として楽しんでいます」

子どもに辛いものを食べさせる時期に明確な決まりはないとはいえ、「そろそろ大丈夫…!?」「早すぎて逆に嫌いになったらどうしよう」と不安な場合は、保育士さんや2歳・3歳の検診時に保健師さんに相談し、取り入れてみるのも良いですね。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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