2024/09/24

赤ちゃんのしゃっくりがなかなか止まらず心配になったことはありませんか?

長いときには1時間ほど続くこともありますが、多くの場合、あまり心配はいらないと考えられています。

今回は、しゃっくりの原因や一般的な止め方、赤ちゃん向けの対処方法を紹介します。

しゃっくりの仕組みや原因

しゃっくりは医学用語では「吃逆(きつぎゃく)」と呼ばれ、胸の下あたりにある「横隔膜(おうかくまく)」がとつぜん収縮して息を吸い込んでしまう現象のことです。

なぜそんなことが起きるのでしょうか?

実はいまだに原因は不明なのだそう。しかし、血液中の二酸化炭素濃度低下・胃の膨満・飲酒・刺激物の摂取などがきっかけではないかと推測されています。

基本的には生理的な現象として放っておいても問題ありませんが、長時間続く場合は「持続性吃逆」(48時間以上1ヶ月未満)や「難治性吃逆」(1ヶ月以上)と呼ばれます。

上記のように48時間を超えても止まらない場合は、まれに内臓や神経系の病気の可能性もあるため、医療機関の受診が推奨されています。

赤ちゃんのしゃっくりが多い理由

赤ちゃんは、大人と比べてよくしゃっくりをします。

「そういえばお腹の中でもしゃっくりをしていた」という子も多いのではないでしょうか。

なぜ赤ちゃんがよくしゃっくりをするのかは完全に分かっていませんが、おもに次の2点が理由だと考えられています。

理由1:刺激に対して敏感だから

赤ちゃんはいろいろな部分が未熟ですが、横隔膜もその1つとされています。

特に生後半年頃までは、ちょっとした刺激で横隔膜がけいれんを起こしてしまうこともあるそう。

たとえば「ミルクを飲んで胃がふくらんだ」「授乳時に飲み込んだ空気が胃の中で動いた」「寒くて震えた」などがきっかけでしゃっくりが出てしまうのではないかと考えられます。

理由2:神経伝達のしくみが未発達だから

ヒトの脳内で分泌される脳内物質「ガンマアミノ酪酸(通称:GABA)」は、しゃっくりをはじめ自分の意志でコントロールできない動きを抑える働きがあるそうです。

赤ちゃんは、こういった脳内物質の分泌量が大人より少ないため、反射的な動きを抑制できないともいわれています。大きな物音でビクッと手を広げる「モロー反射」などもその1つですね。

大人も同様に、お酒を飲みすぎると脳内で抑制が効かなくなり「ウィー、ヒック」としゃっくりが出やすくなるのだと考えられています。

しゃっくりを止める方法は?

ただちに身体に害はないとしても、なかなかしゃっくりが止まらないと不快ですよね。

そこで昔から、民間療法やほとんどおまじないに近いものまで、さまざまなしゃっくりを止める方法が言い伝えられています。

代表的なものは「大きく息を吸い込んで止める」「わっと驚かせる」ではないでしょうか?

その他にも、以下のような方法を聞いたことがある人も多いかもしれません。

  • コップ1杯の水をいっきに飲む
  • 冷たい⽔を少しずつ飲む
  • うがいをする
  • ザラザラした食品(砕いた氷、パンくず、グラニュー糖など)を飲み込む
  • 舌をひっぱる
  • まぶたの上から眼球をさする など

これらの行為は、上半身に走っている「迷走神経」に刺激を与えることで、しゃっくりをリセットできるのではないかと考えられています。

  • 前かがみになるむ
  • 膝をかかえてしゃがむ

こうすると横隔膜が動きにくくなり、しゃっくりを抑えられるのではないかと考えられます。

その他では「ビニール袋に自分の息を吐いて吸い込む」という方法があり、意外にもこの方法は研究で「効果がある」と実証されているそうです。

息を止める方法も同様で、酸素を吸い込む量が減って血中のCO2濃度が上がると、脳が「窒息のおそれあり」と判断して神経の活動をセーブしはじめるため、しゃっくりを誘発する神経も抑制されるのではないかといわれています。

赤ちゃんのしゃっくりは止めるべき?

赤ちゃんが小さな身体でずっとしゃっくりをしていると「なんとか止めてあげられないだろうか」と思いますよね。

しかし上記のような方法は、赤ちゃんや小さな子には使えないものがほとんどです。

子どもが息を止めていられるようになるのは3~4歳以降とされていますし、ビニール袋は窒息などのおそれもあります。

ザラザラした食品を飲み込むのは気管への吸い込みや粘膜を傷つける危険性がありますし、驚かせる方法は、びっくりして泣き出すときに「憤怒けいれん」を起こしてしまう可能性も。

そのため、赤ちゃんに使えそうなしゃっくりの対処方法としては「ほ乳びんで少しずつ水を飲ませる」くらいしかありません。またしゃっくりを予防するためにも、授乳後は毎回ていねいにゲップを出させてあげると良いですね。

48時間以上しゃっくりが止まらない場合や、他にもいつもと違った様子がみられる場合には受診をおすすめしますが、そうでなければ、自然に止まるまで気長にを見守ってあげるのが良さそうです。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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