五十肩に効く市販薬は?痛みを緩和する方法も解説

2024/11/27

「五十肩になってしまって腕を動かせない」 「電車のつり革につかまるのがつらい」

約20~50人に1人の割合で発症するといわれている五十肩は、生活に支障をきたすことから早期の治療が大切です。自然に治ることはあまりなく、放置しておくと症状が悪化してしまいます。

とはいえ、なかなか病院に行けない方もいるでしょう。そこで今回は、五十肩に効く市販薬を紹介します。自宅でできる痛みの緩和方法も紹介しているので参考にご覧ください。

五十肩とは?

五十肩の正式名称は、肩関節周囲炎です。中年以降になると多く見られます。年齢を重ねると膝の調子が悪くなる方がいるように、肩も影響を受けることがあるのです。

五十肩で見られる症状

五十肩では、次のような症状が見られます。

  • 運動痛
  • 夜の痛み

運動痛とは、肩を動かすときに感じる痛みのことです。髪を束ねるとき、電車でつり革につかまるとき、洗濯物を干すとき、着替えるときなどに痛みを感じることが多いでしょう。

夜になると、肩を動かさずじっとしているにもかかわらずズキズキとした痛みが出てくることもあります。人によっては、痛みが強くて眠れないほどです。

五十肩の原因

五十肩は、肩の関節を構成する軟骨や靭帯の老化により肩関節の周りに炎症が起き、炎症が関節包まで広がることで発症します。老化が五十肩の原因だと言われることもありますが、はっきりとした原因はまだ分かっていません。

五十肩と四十肩、肩こりの違い

五十肩と四十肩は、どちらも肩関節周囲炎と呼ばれるもので根本的には同じものです。肩関節周囲炎を40代で発症したら四十肩、50代で発症したら五十肩と呼びます。

五十肩と四十肩は、炎症が原因で発症するものです。一方で肩こりは筋肉が緊張して疲労が溜まることで起こります。肩こりは若い方でも起こりますが、五十肩や四十肩は中年以降に発症することが一般的です。

五十肩の治療法

はっきりとした原因が分かっていない五十肩ですが、放置しておくと症状が悪化して日常生活が困難になることがあります。そのため、早めに治療を行うことが大切です。

運動療法

運動療法は、肩関節をほぐして可動域を広げるための治療法です。難しい運動は必要なく、自宅でも簡単に行えます。

おじぎ運動
  1. 足を肩幅程度に開いて立ちます
  2. 肩の力を抜いて痛みがある方の腕を前に垂らしながらおじぎをします
  3. 軽く痛みが出たらそこで10秒止め、上体を上げて元の位置に戻ってください
  4. これを10回繰り返します
振り子運動
  1. 足を肩幅程度に開いて立ちます
  2. 肩の力を抜いて痛みがある方の腕を前に垂らしながらおじぎをします
  3. 振り子のように体を前後に30秒動かします
  4. これを10回繰り返しましょう

温熱療法

温熱療法は、患部の血行を良くして痛みを緩和する治療法です。医療機関では、マイクロ波を当てたりホットパックを使ったりすることが多いでしょう。自宅では、お風呂でお湯につかって患部を温めたり、蒸しタオルをあてたりすることで治療が行えます。

寒冷療法

五十肩の患部が熱をもっている場合は、冷やして炎症を抑えてあげる必要があります。保冷剤をタオルなどでくるんで患部にあてましょう。冷やしすぎると筋肉が硬くなるので、熱がある程度とれたら冷やすのを止めてください。

薬物療法

五十肩の治療には、薬が用いられることもあります。一時的に痛みをやわらげる湿布薬や塗り薬、炎症を改善する飲み薬などを使うことが多いでしょう。

五十肩に効く市販薬の選び方

五十肩に効果がある市販薬には主に3つの種類があります。

  • 湿布薬
  • 塗り薬
  • 飲み薬

自分の症状や使いやすさに応じて選びましょう。

患部にしっかり効かせたい方は「湿布薬」

湿布薬は、患部に長い時間密着させておけるので効果を発揮しやすいことが特徴です。粘着力が高く薄くてよく伸びるテープ剤、水分を多く含んでおり厚みがあるパップ剤があります。

外出先でも痛みを止めたい方は「塗り薬」

持ち運びに便利なのが、塗り薬です。痛みがあるときにさっとカバンやポーチから取り出して塗ることができます。湿布薬だと剥がれやすい、かぶれてしまうという方でも塗り薬なら使いやすいでしょう。

湿布薬や塗り薬のにおいが気になる方は「飲み薬」

湿布薬や塗り薬は、アイテムによってはどうしてもにおいが気になってしまいます。においが気になる方は、塗り薬を選ぶとよいでしょう。痛みを止める鎮痛薬、血流を促進する生薬入りの飲み薬などいくつか種類があります。

五十肩の治療に使える市販薬

ここでは、湿布薬と塗り薬、飲み薬に分けて五十肩に使える市販薬をそれぞれ紹介します。

五十肩に使える湿布薬

ロキソニンSテープ

1回貼るだけで24時間効果が持続する湿布薬です。テープ剤なので、患部に密着しやすくなっています。錠剤タイプのロキソニンと同じ成分が配合された薬です。

主成分 ロキソプロフェンナトリウム水和物
用法用量 1日1回、患部に貼付する(1日4枚まで)
公式サイト:ロキソニンSテープ
フェイタスZαジクサス

市販薬でもっとも効果が高い鎮痛成分であるジクロフェナクナトリウムが配合された湿布薬です。1回貼ると効果が24時間持続します。微香性なので人前でもにおいが気になりません。

主成分 ジクロフェナクナトリウム
用法用量 15歳以上:1日1回、1回1~2枚を患部に貼付する
公式サイト:フェイタスZαジクサス

五十肩に使える塗り薬

ロキソニンSローションa

塗るタイプの痛み止めです。鎮痛効果の高いロキソプロフェンナトリウム水和物が配合されています。無香料で無色透明なので目立ちません。

主成分 ロキソプロフェンナトリウム水和物
用法用量 15歳以上:1日3~4回、適量を患部に塗布する
ボルタレンローション

鎮痛効果の高いジクロフェナクナトリウムが配合された塗り薬です。素早く患部まで浸透し、つらい痛みを緩和します。

主成分 ジクロフェナクナトリウム
用法用量 15歳以上:1日3~4回、適量を患部に塗布する
公式サイト:ボルタレンローション

五十肩に使える飲み薬

シジラック錠

五十肩に効果を発揮する9つの生薬が配合された飲み薬です。痛みを抑える効果、炎症を抑える効果、血流を良くする効果が期待できます。

主成分 独活葛根湯エキス
用法用量 15歳以上:1日3回、1回4錠
7歳以上15歳未満:1日3回、1回3錠
5歳以上7歳未満:1日3回、1回2錠
公式サイト:シジラック錠
ナボリンS

筋肉疲労を緩和するフルスルチアミン塩酸塩、血行を良くする酢酸d-α-トコフェロール、末梢神経のダメージを修復するメコバラミンなどが配合された飲み薬です。五十肩のほか、眼精疲労や神経痛などにも効果があります。

主成分 ・メコバラミン ・葉酸 ・酢酸d-α-トコフェロール ・フルスルチアミン塩酸塩 ・ピリドキシン塩酸塩
用法用量 15歳以上:1日3回、1回1錠
公式サイト:ナボリンS
ロキソニンS

医療用のロキソニンと同じ成分が同量配合された飲み薬です。眠くなる成分は含まれていません。胃への負担が少ないように作られていますが、できるだけ食後に服用してください。

主成分 ロキソプロフェンナトリウム水和物
用法用量 15歳以上:1回1錠、1日2回まで(再度症状があらわれた場合は1日3回まで)
公式サイト:ロキソニンS

五十肩の痛みを緩和する方法

五十肩の痛みがつらいときは、日常生活でできる対策を行うのもおすすめです。

安静にする

五十肩は、肩に炎症が起きた状態です。無理に動かすと症状が悪化する恐れがあるため、安静にしましょう。

患部を温める

急性期(痛みを感じ始めてから2週間程度)や慢性期(急性期2週間程度が過ぎた後)は、患部を温めることが有効だとされています。湯たんぽやホッカイロを使ったり、湯船につかったりして患部を温めましょう。

ストレッチをする

ストレッチは、五十肩の回復を早める効果があります。無理をしない程度に「おじぎ運動」や「振り子運動」をしてみてください。

市販薬で痛みが改善しないときは医療機関を受診しよう

次のようなときは、整形外科を受診しましょう。

市販薬を使っても症状が改善しないとき 日常生活に支障が出るほど痛みが強いとき 痛みで肩の動きが制限されるとき 痛みが数週間以上続いているとき

まとめ

五十肩に効く市販薬には、湿布薬や塗り薬、貼り薬があります。市販薬を使いながら、患部を温めたりストレッチをしたりして症状を緩和しましょう。

市販薬を使用しても五十肩の症状が気になる場合は、早めに整形外科を受診してください。放置しておくと、さらに状態が悪くなり日常生活への支障が大きくなる可能性があります。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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