2024/11/20

小学校や塾の宿題をなかなかやり始めない、やっと広げたものの気が散ってばかりで終わらない…

そんなお子さんへおすすめの声かけや対処方法を、5つの理由に分けてそれぞれ紹介します。

理由1:取りかかるのに時間がかかる

やり出せばそれなりに進むのに、なかなか取りかかろうとしない。大人だってもちろんそんな日はありますが、これが毎日だと思わず「いいから早くやりなさい!」と言いたくなってしまいますよね。

もし、いつもは「先に宿題をやろうね」「宿題の時間だよ」と声をかけているのであれば、「宿題は何時からやるの?」と子供自身に聞いてみると、意外と「4時から!」と宣言して、ほんとうに始められることもあります。「宿題と犬の散歩どっちを先にする?」のように二択で聞いてみるのもおすすめです。

これは、難しい言葉でいうと「内発的動機」「自己決定理論」などと言われ、子供でも大人でも、自分で選んだことは人から命じられたことよりも守れる確率がずっと高いとされているからです。

時間になったらスマホで好きな音楽が流れるようにしておくと忘れずにすみますし、親子で「今日の曲」を選ぶのも楽しそうですね。

理由2:宿題が難しい

多くの小学校では基本的に全員に同じ宿題が出されます。漢字ドリルや音読などはできるのに、考えるタイプの宿題では時間がかかったり「わかんなーい」とぼやいたりしている様子なら、その分野の理解が進んでいないことが考えられます。

一緒に教科書や参考書を見直してみたり、答えを見ながら解いてみて、どこでつまづいたのか見つけてあげられると良いですね。

最初のうちは分かっていたのに、だんだん宿題が解けなくなってきた、理解が遅れてきた…という場合は、早めに担任の先生に相談してみてもよいかもしれません。算数など個人差の出やすい教科で少人数制授業を取り入れている学校も多いため、理解度に合ったクラスへ移動させてもらえる可能性があります。

理由3:宿題の必要性を感じていない

小学校低学年のうちは特に、学習面で発達に大きな個人差がみられます。成長が早いタイプの子にとっては、授業や宿題が「簡単すぎてつまらない」「やる意味あるの?」と感じることも。

レベルに合わない学習を長期間続けることで学習意欲が下がってしまう例もあるため、いっそやらなくていいよと言ってあげたいところですが、大部分は分かっていても、やはり部分的に知識が抜け落ちている可能性があります。

ママやパパの失敗談として「昔、わかっているつもりで宿題をしなかったら、ちょうどそこだけテストに出て100点が取れず、くやしかったんだよ」のように話してあげると子供も納得するかもしれませんね。

理由4:集中力が続かない

宿題が多い日などは特に、途中で集中力が切れてしまうこともありますよね。そもそも子供の集中力は年齢+1分という説もあるほどで、低学年なら10分取り組めたらほめてあげて良いくらいです。

日頃、気が散り始めるのは開始何分頃なのか様子をみておき、それより少し短めにタイマーをセットして、こまめに休憩タイムをはさんであげるとうまく取り組めることもあります。

視覚的な刺激に反応しやすい子なら、ゲームやおもちゃなどが目に入らないように片付けたり、窓や庭に背を向けて座る、カーテンを閉めるなど、外で遊ぶ子たちが目に入らないようにする方法も。ダイニングテーブルで宿題をやるときは、パーテーションで囲んであげると集中できる子もいます。

理由5:完璧主義の傾向がある

漢字の書き取りで非常に時間がかかる子の中には、漢字の形やトメ・ハネ・ハライなどが理想どおりではないため何回も消して書き直し、いつまでも宿題が終わらないケースもあります。

ノートまとめやイラストなども同様で、中途半端に仕上げることが嫌で何回も最初からやり直し、だんだん機嫌が悪くなってくる…とくれば、ママも「もういいからそれで出しなさいよ!」と言いたくなってしまうかもしれません。

納得するまで取り組む姿勢そのものは素晴らしいことなので、できれば気が済むまでやらせてあげたいですが、本人もイライラしているのであれば、こんな風に声をかけてみては。

「一回最後まで仕上げてみて、まあいいかと思えなかったらやり直すのはどう?」

必ずそうなるとは限りませんが、実際に「まあいいか」と思えたというお子さんもいるそうですよ。

おわりに

近年は1人1人に合った学びの重要性が注目されていますが、まだ毎日の宿題を「十分理解できている子はさらっと、難しい子は少し前に戻って基礎をしっかりと」という具合に柔軟に調整するところまでは進んでいない学校がほとんどです。

また平日はパパもママも仕事が忙しく、お子さんの宿題にじっくり付き合うのが難しいご家庭も多いかと思います。

短期間でサクサク宿題が進む魔法のような方法はないかもしれませんが、今回ご紹介した声かけや工夫も参考に、少しでもお子さんが納得して取り組めるようサポートしていけると良いですね。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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