2025/01/22

顔に湿疹やかゆみが出たとき、役立つのがステロイドです。

しかし、市販薬のステロイドには、顔に使えるものと使えないものがあります。そのため、「どのステロイドなら顔に使ってもいいの?」と気になっている方も多いでしょう。

そこで今回は、顔にも使える市販薬のステロイドを紹介します。顔用のステロイド薬を購入するときの注意点や正しい使い方も解説しているので参考にご覧ください。

顔に使える市販薬の選び方

顔に使える市販のステロイドには、以下のようにいくつか種類があります。

  • ステロイド成分だけが配合されたもの
  • かゆみ止めの成分も配合されたもの
  • 抗生物質も配合されたもの

なんとなくパッケージのイメージだけで市販薬を選ぶのではなく、自分の症状に合わせてきちんと選択することが重要です。

湿疹や炎症には「抗炎症成分」

湿疹や炎症があるときは、抗炎症成分が配合された市販薬を選びましょう。抗炎症成分の代表がステロイドです。ステロイドは、強さに応じて5段階にランク分けされています。

  • ストロンゲスト(最も強い)
  • ベリーストロング(とても強い)
  • ストロング(強い)
  • ミディアム(普通)
  • ウィーク(弱い)

このうち、市販薬にあるのはストロング、ミディアム、ウィークの3種類のみです。それぞれ、以下のような成分が該当します。

ストロング ●ベタメタゾン吉草酸エステル
●フルオシノロンアセトニド
ミディアム ●プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
●トリアムシノロンアセトニド
●クロベタゾン酪酸エステル
●ヒドロコルチゾン酪酸エステル
ウィーク ●プレドニゾロン
●ヒドロコルチゾン酢酸エステル
●デキサメタゾン酢酸エステル
●プレドニゾロン酢酸エステル

強いかゆみには「かゆみ止めの成分」

強いかゆみがあるときは、ステロイド成分に加えてかゆみ止めの成分も配合されているものが適しています。代表的なかゆみ止めの成分は以下の通りです。

  • クロタミトン
  • リドカイン
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩

化膿には「抗生物質」

患部が化膿しているときは、抗生物質が含まれているものを選びましょう。化膿は、炎症を起こした部位や傷口に細菌が感染して起こるものです。抗生物質を使うと、細菌を殺菌できるので化膿を緩和できます。代表的な成分は以下の通りです。

  • クロラムフェニコール
  • フラジオマイシン硫酸塩
  • パシトラシン
  • オキシテトラサイクリン塩酸塩

市販のステロイド薬を顔に使うときの注意点

  • 顔に使っても良いかパッケージを確認する
  • 目の周りを避けて使用する
  • ニキビの治療には使用できない
  • 広範囲には塗らない

顔に使っても良いとされている市販薬のステロイドは限られています。購入するときはパッケージをよく見て、顔にも使用できるか確認しましょう。

市販薬のステロイドにはストロング、ミディアム、ウィークと3種類のランクがあります。いずれのものでも、目の周りを避けて使用してください。

また、ニキビにステロイドは使用できません。日本皮膚科学会が発行している「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」では、ニキビにはステロイド外用を推奨しないとはっきりと書かれています。

ニキビにステロイドが効く根拠がなく、ステロイドにニキビを誘発する作用があるためです。また、顔にステロイドを使う際は広範囲に塗らないようにしてください。範囲が広い場合は皮膚科の受診をおすすめします。

顔に使えるステロイドの市販薬

顔に使えるステロイドの市販薬を4種類紹介します。それぞれステロイドのランクや他の成分の配合の有無が異なるため、よく確認して自分に合うものを選びましょう。

3コートf MD軟膏

コートf MD軟膏は防腐剤や香料、着色料が無配合のステロイド薬です。ウィークに分類されるプレドニゾロンが配合されています。効き目がマイルドなため、顔にも使用できます。乾燥している患部にもジュクジュクの患部にも使用可能です。

分類 指定第2類医薬品
有効成分 ●プレドニゾロン
●グリチルレチン酸
ステロイドのランク ウィーク(弱い)
効能効果 湿疹、皮膚炎、かぶれ、かゆみ、虫さされ、あせも、蕁麻疹、しもやけ
用法用量 1日1~4回、適量を患部に塗布してください。
公式サイト:コートf MD軟膏

オイラックスA

ウィークに分類されるヒドロコルチゾン酢酸エステルが配合されたステロイド薬です。ステロイドの他にかゆみを抑えるクロタミトンやジフェンヒドラミン塩酸塩、炎症を抑えるグリチルレチン酸、殺菌成分のイソプロピルメチルフェノールなどが配合されています。

分類 指定第2類医薬品
有効成分 ●クロタミトン
●ジフェンヒドラミン塩酸塩
●ヒドロコルチゾン酢酸エステル
●グリチルレチン酸
●アラントイン
●イソプロピルメチルフェノール
ステロイドのランク ウィーク(弱い)
効能効果 湿疹、かぶれ、虫さされ、かゆみ、蕁麻疹、しもやけ、皮膚炎、あせも
用法用量 1日1~3回、適量を患部に塗布して下さい。
公式サイト:オイラックスA

イハダ キュアロイド軟膏

無香料、無着色のステロイド薬です。アンテドラッグとなっているので、ステロイドが患部で働いた後は体内で分解されて活性が低くなります。ベタつかずテカリにくいので日常使いもしやすいでしょう。

分類 指定第2類医薬品
有効成分 ●プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
●ジフェンヒドラミン
●イソプロピルメチルフェノール
●リドカイン
●トコフェロール酢酸エステル
ステロイドのランク ミディアム(普通)
効能効果 皮膚炎、湿疹、かゆみ、かぶれ、あせも、蕁麻疹、虫さされ
用法用量 1日数回、適量を患部に塗布してください。

ベトネベートN軟膏AS

ストロングに分類されるベタメタゾン吉草酸エステルに加え、抗生物質であるフラジオマイシン硫酸塩が配合された市販薬です。化膿している患部にも使用できます。顔は皮膚が薄いため、広範囲の使用は避けてください。症状が出ている範囲のみ使用しましょう。

分類 指定第2類医薬品
有効成分 ●ベタメタゾン吉草酸エステル
●フラジオマイシン硫酸塩
ステロイドのランク ストロング(強い)
効能効果 ●化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、蕁麻疹
●化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)
用法用量 1日1~数回、適量を患部に塗布して下さい。
公式サイト:ベトネベートN軟膏AS

顔に使える非ステロイドの市販薬

ステロイドが配合されていないものでも、顔の皮膚症状に使用できる市販薬があります。

新レスタミンコーワ軟膏

抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミン塩酸塩が主成分として配合されている市販薬です。かゆみや湿疹の原因となるヒスタミンの働きを抑えて効果を発揮します。やわらかく伸びやすいので、使用感が良いことが特徴です。

分類 第3類医薬品
有効成分 ジフェンヒドラミン塩酸塩
効能効果 湿疹、皮膚炎、かゆみ、かぶれ、あせも、ただれ、しもやけ、虫さされ、蕁麻疹
用法用量 1日数回、患部に適量を塗布してください。

メンソレータム カユピットb

かゆみ止め成分のジフェンヒドラミンとリドカイン、炎症を抑えるアラントインとグリチルリチン酸二カリウムが配合された市販薬です。顔用のかゆみどめとして販売されています。デリケートな顔にも使いやすい処方です。

分類 第2類医薬品
有効成分 ●ジフェンヒドラミン塩酸塩
●リドカイン
●アラントイン
●グリチルリチン酸二カリウム
効能効果 かゆみ、湿疹、皮膚炎、かぶれ、蕁麻疹、ただれ、あせも、虫さされ、しもやけ
用法用量 1日数回、適量を患部に塗布してください。

キュアレアa

小さな子どもから使用できる市販薬です。おむつかぶれにも効果があります。非ステロイド性の抗炎症成分であるウフェナマートがかゆみや湿疹などの症状を抑えます。こちらも顔のかゆみやかぶれ用に販売されている塗り薬です。

分類 第2類医薬品
有効成分 ●ウフェナマート
●ジフェンヒドラミン
●グリチルレチン酸
効能効果 かゆみ、湿疹、皮膚炎、ただれ、あせも、かぶれ、おむつかぶれ
用法用量 1日数回、適量を患部に塗布してください。
公式サイト:キュアレアa

トレンタムクリーム

非ステロイド性の抗炎症成分であるウフェナマートが配合された市販薬です。かゆみどめのリドカイン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、皮膚の血行を改善するトコフェロール酢酸エステルも配合されています。子どもの皮膚にも使用できることが特徴です。

分類 第2類医薬品
有効成分 ●ウフェナマート
●リドカイン
●クロルフェニラミンマレイン酸塩
●トコフェロール酢酸エステル
効能効果 皮膚炎、かゆみ、湿疹、かぶれ、おむつかぶれ、ただれ、あせも
用法用量 1日数回、適量を患部に塗布してください。
公式サイト:トレンタムクリーム

症状が改善しないときは皮膚科を受診しよう

症状が顔の広範囲に出ているとき、市販薬を1週間程度使用しても改善が見られないときは早めに皮膚科を受診してください。

このような場合は市販薬では対応できない疾患である可能性があります。症状が改善しないにもかかわらず市販薬を使い続けると、悪化にもつながるため注意してください。

まとめ

顔に使えるステロイドは市販薬にもあります。ステロイドのみが配合されたもの、かゆみ止めや抗生物質が配合されたものなど種類がありますので、自分の症状に合うものを選びましょう。

ステロイドが配合されていないタイプの市販薬で顔に使えるものもあります。症状が広範囲のときや、市販薬を使用しても症状が改善しないときは皮膚科を受診して医師の診察を受けましょう。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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