市販の歯磨き粉にはどんな種類がある?選び方や注意点を解説

2024/12/18

市販の歯磨き粉にはさまざまな種類があります。

あまりにも種類が多いため、どれを選んだら良いのか迷ってしまう方が多いでしょう。

「いつも使うものだから効果にこだわりたい」「歯医者に行かなくていいように市販の歯磨き粉でケアしておきたい」という方もいるはずです。

今回は、市販の歯磨き粉の種類や効果、選び方を詳しく解説します。

市販の歯磨き粉の主な種類

市販の歯磨き粉には、主に5つの種類があります。1つの効果に特化した歯磨き粉もあれば、複数の効果が期待できる歯磨き粉もあるため、自分に合うものを選ぶことが重要です。

ホワイトニング用の歯磨き粉

市販の歯磨き粉でも歯のホワイトニングができます。主な成分は、ポリリン酸ナトリウムやハイドロキシアパタイトです。

ポリリン酸ナトリウムは、歯の表面に付着した汚れを取り除き、抗菌作用によって口腔内の環境を整える働きをもちます。

ハイドロキシアパタイトは、歯のエナメル質を修復したり、表面を磨いて歯のくすみを取ったりする成分です。

口臭対策用の歯磨き粉

口臭を予防するためには、日頃からのケアがとても大切です。

臭いが気になる方は、ラウロイルサルコシンナトリウムや塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノールなどの殺菌成分が配合された歯磨き粉を選びましょう。

歯周病対策用の歯磨き粉

歯周病を予防するためには、抗炎症成分が有効です。歯周病対策用の市販の歯磨き粉には、グリチルリチン酸ジカリウムやトラネキサム酸などの抗炎症成分が配合されています。なお、歯周病予防ができるのは医薬部外品の歯磨き粉のみです。

虫歯対策用の歯磨き粉

虫歯対策をしたい方は、フッ素が配合された歯磨き粉を選びましょう。種類によってフッ素の濃度が異なるのでよく確認してから購入してください。

フッ素は、虫歯の発生や進行を予防する効果が認められている成分です。薬用歯磨き粉に添加できるフッ素の量は1,500ppm以下と決められています。

年齢によって使用すべきフッ素の濃度が異なるので確認しておきましょう。

年齢 フッ素の濃度 歯磨き粉の使用料
歯が生えてから2歳 900~1,000ppm 米粒程度
3~5歳 900~1,000ppm グリーンピース程度
6歳~成人、高齢者 1,400~1,500ppm 歯ブラシ全体に塗布

知覚過敏用の歯磨き粉

冷たいものや温かいものがしみるときは、知覚過敏になっているかもしれません。知覚過敏のケアができる市販の歯磨き粉には、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムなどが配合されています。

硝酸カリウムは歯髄神経の過敏性を軽減する成分、乳酸アルミニウムは歯に開いた小さな穴を塞ぐ成分です。

市販で購入できる歯磨き粉10選

ここからは、種類別に人気が高い市販の歯磨き粉を10種類紹介します。自分の症状に合うものをぜひ見つけてみてください。

NONIO プラス ホワイトニング ハミガキ

酸化アルミニウムが歯の表面にある細かな穴に入り込み、ステイン汚れをしっかりと落とします。殺菌効果があるラウロイルサルコシンナトリウムも配合されているため、口臭予防にも効果的です。

分類 医薬部外品
有効成分 ●ラウロイルサルコシンナトリウム
●酸化アルミニウム
●フッ素(1,450ppm)
効果効能 口臭の防止、歯を白くする、口中を浄化する、虫歯の発生および進行の予防
香味 フレッシュホワイトミント
アパガードプレミオ

歯をきれいにし、なめらかに整えて丈夫にするハイドロキシアパタイトが主成分として配合されている歯磨き粉です。やわらかいミントの香味なので、清涼感が苦手な方でも使いやすくなっています。

分類 医薬部外品
有効成分 ハイドロキシアパタイト
効果効能 歯を白くする、虫歯の発生および進行の予防、歯肉炎の予防、歯槽膿漏の予防、口中浄化、口中爽快、口臭防止、タバコのヤニ除去
香味 ライトミント
公式サイト:アパガードプレミオ

口臭が気になる方向けの歯磨き粉

デントヘルス 口臭ブロック

殺菌成分であるイソプロピルメチルフェノール、腫れや出血を抑えるトラネキサム酸などが配合された歯磨き粉です。臭いの元からケアする働きがあります。

分類 医薬部外品
有効成分 ●イソプロピルメチルフェノール
●トラネキサム酸
●ビタミンE
●フッ素(1,450ppm)
効果効能 口臭の防止、口中を爽快にする、歯槽膿漏の予防、歯肉炎の予防、出血を防ぐ、虫歯の発生および進行の予防、歯を白くする、口中を浄化する
香味 メディカルクリアミント
クリーンデンタル 口臭ケア

10種類の薬用成分が配合された歯磨き粉です。殺菌成分、抗炎症成分、臭いを吸着する成分などの働きにより、歯を徹底的にケアできます。

分類 医薬部外品
有効成分 ●イソプロピルメチルフェノール
●塩化セチルピリジニウム
●ラウロイルサルコシン塩
●β-グリチルレチン酸
●ε-アミノカプロン酸
●ゼオライト
●塩化ナトリウム
●トコフェロール酢酸エステル
●ポリエチレングリコール400
●フッ素(濃度不明)
効果効能 歯槽膿漏(歯周炎)の予防、歯肉炎の予防、歯石の形成および沈着を防ぐ、口臭の発生の防止、虫歯の発生および進行の予防、歯を白くする、タバコのヤニ除去、口中を浄化する、口中を爽快にする
香味 レモン

歯周病が気になる方向けの歯磨き粉

クリーンデンタルプレミアム

オールインワンタイプの歯磨き粉です。歯周病だけでなく、虫歯予防や知覚過敏症状の予防、口臭予防にも効果があります。

分類 医薬部外品
有効成分 ●塩化ナトリウム
●マクロゴール400
●ゼオライト
●フッ素(濃度不明)
●硝酸カリウム
●ε-アミノカプロン酸
●トコフェロール酢酸エステル
●β-グリチルレチン酸
●塩化セチルピリジニウム
●イソプロピルメチルフェノール
効果効能 歯槽膿漏(歯周炎)の予防、歯肉炎の予防、歯石の沈着を防ぐ、虫歯の発生および進行の予防、口臭の防止、歯を白くする、タバコのヤニ除去、口中を浄化する、口中を爽快にする、歯がしみるのを防ぐ
香味 ペパーミントタイプ、クールミントタイプ
Systema SP-Tジェル

殺菌効果にプラスして、歯茎の防御力を高める成分が配合されています。無研磨ジェルタイプなので弱ってきた歯も優しく磨けます。

分類 医薬部外品
有効成分 ●ビタミンE
●イソプロピルメチルフェノール
●トラネキサム酸
●β-グリチルレチン酸
●フッ素(1,450ppm)
効果効能 歯周炎の予防、歯肉炎のお棒、出血を防ぐ、口臭の予防、虫歯の発生および進行の予防、口中を浄化する、口中を爽快にする
香味 ハーブミント
公式サイト:Systema SP-Tジェル

虫歯対策をしたい方のための歯磨き粉

チェックアップ スタンダード

フッ素が最大濃度配合された歯磨き粉です。フッ素が歯に滞留しやすいようにするグリセロリン酸カルシウムやピロリン酸四カリウムも配合されています。ミントの香味がマイルドなので口の中が清涼感で痛くなることがありません。

分類 医薬部外品
有効成分 フッ素(1,450ppm)
効果効能 虫歯の発生および進行の予防、口中を浄化する、口中を爽快にする
香味 マイルドピュアミント、マイルドシトラスミント
アパガードリナメル

初期虫歯の再石灰化を促すハイドロキシアパタイトが主成分の歯磨き後です。ミクロの傷を埋め、プラークを除去することで虫歯を予防します。また、殺菌成分や抗炎症成分も配合されていることが特徴です。

分類 医薬部外品
有効成分 ●ハイドロキシアパタイト
●ポリビニルピロリドン
●β-グリチルリチン酸
●塩化セチルピリジニウム
効果効能 虫歯予防、歯周病を予防、歯を白くする
香味 ペパーミント
公式サイト:アパガードリナメル

知覚過敏が気になる方向けの歯磨き粉

シュミテクト コンプリートワンEX プレミアム

知覚過敏で歯がしみるのを予防しながら、ホワイトニングや歯周病予防、虫歯予防などもできる歯磨き粉です。オールインワンの歯磨き粉となっているので、これ1つで歯のトータルケアが叶います。

分類 医薬部外品
有効成分 ●フッ素(1,450ppm)
●硝酸カリウム
●ポリリン酸ナトリウム
●ポリエチレングリコール400
●グリチルリチン酸モノアンモニウム
効果効能 口臭予防、虫歯予防、ホワイトニング、歯周病予防、歯茎ケア
香味 ナチュラルミント、フレッシュシトラス
NONIOプラス知覚過敏ケア ハミガキ

硝酸カリウムが歯の表面にイオンバリアを形成し、しみたり痛みが出たりするのを防ぎます。また、高濃度のフッ素が配合されているため、虫歯予防にも有効です。

分類 医薬部外品
有効成分 ●フッ素(1,450ppm)
●ラウロイルサルコシンナトリウム
●硝酸カリウム
効果効能 口臭の防止、歯を白くする、口中を浄化する、虫歯の発生および進行の予防、歯がしみるのを防ぐ
香味 ナチュラルハーブミント

市販の歯磨き粉を使うときの注意点

市販の歯磨き粉には多くの種類があるため、悩みに合わせたケアができるようになっています。しかし、市販品で歯の悩みをすべて解決できるわけではありません。

ホワイトニング用の歯磨き粉を使っても本来の色より白くすることはできない

ホワイトニングができると謳っている歯磨き粉は多くありますが、市販品で本来の色よりも白くすることはできません。

歯磨き粉はあくまでも着色汚れを落として元の色に戻すものです。元の色よりも白くしたい方は、歯医者を受診して相談してください。

虫歯の穴を歯磨き粉で修復することはできない

虫歯用の歯磨き粉は初期虫歯には有効なこともありますが、大きく開いた虫歯の穴を埋めることはできません。市販の歯磨き粉は虫歯を治すのではなく、予防に効果があります。

歯磨き粉は適量を使うことが大切

歯磨き粉の適量は年齢によって異なります。歯が生えてから2歳頃までなら米粒程度、3~5歳はグリーンピース程度、6歳から成人や高齢者の方は1.5~2cm程度が適量です。

歯の健康が気になるときは歯医者を受診しよう

「歯を本来の色よりも白くしたい」
「すでに虫歯がある」
「知覚過敏が治らない」

このような症状があるときは、市販の歯磨き粉で対応するのではなく歯医者を受診しましょう。歯医者でしか使えない薬剤や治療法があるため、より幅広い選択肢の中から適切な治療を受けることができます。

まとめ

市販の歯磨き粉には、次のような種類があります。

  • ホワイトニング用
  • 口臭対策用
  • 歯周病対策用
  • 虫歯対策用
  • 知覚過敏の対策用

歯磨き粉の種類によって得られる効能効果も変わるため、自分に合ったものを選んで使うようにしましょう。

市販の歯磨き粉をしばらく使用しても症状が改善しない場合や、すでに症状が進行している場合は早めに歯医者を受診してください。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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