今年の春にG7サミットが開かれることで話題の元宇品ですが、広島に長く住んでいるという人にとって、元宇品はちょっと不思議な場所ではないでしょうか?
広島市内を地図で見ると、定規で引かれたような海岸線が特徴的なことに気がつきます。そんなところから、ぴょこっと飛び出すように元宇品の島は浮かんでおり、地元住民から見てもちょっと特殊な土地のように見えませんか?
実は元宇品は、広島市内の中では特に歴史の長い土地で、自然の残るパワースポットとしても有名です。
今日はそんな元宇品のお散歩スポットと見どころについて紹介していきます。
意外と知られていない歴史にも触れていくのでぜひ最後までお付き合いください。
まずは元宇品の名前の由来からお話していきます。
宇品は広島市の南部にある、海沿いの港町です。現在陸地になっている宇品はかつてはほとんどが海でした。約400年前の江戸時代から広島の護岸工事が始まり、明治にかけて少しずつ埋め立てが進み今の陸地になりました。
そんな中、現在元宇品と呼ばれているエリアは埋め立てられる前からあった土地で、かつては海に浮かんでおり牛奈島や牛名島と呼ばれる島でした。
埋め立てられる前からあった土地として、明治に元宇品の名前がつけられ今にいたります。
記録では400年以上前から知られる土地で、地質学的にはさらに前からあったとされ少なくとも縄文時代以前から残っていると言われています。
原生林や独特な地形が今も残っていたり、多様な生き物も生息しているので、元宇品を歩くとさまざまな発見があるでしょう。
では早速歩いてみましょう!
今回はG7の開かれるプリンスホテルの左手側から、元宇品の南側を散策してみました。
元宇品の南側は古くからの土地が残っており珍しい岩の形がたくさん発見できます。
広島市内のほとんどは江戸時代以降の護岸工事によってできた埋め立ての土地です。元宇品は埋め立て以前からあるエリアなので、市内では珍しいさまざまな地質的な特徴を発見できます。
この写真はマグマが冷えて固まってできる「節理」と呼ばれるものです。
そしてこちらは地震が起こったことを表す「断層」です。この他にも、ダイナミックな岩肌をたくさん残しています。
また、多様な生き物が生息するエリアでもあります。歩くだけでさまざまな自然を発見ができるのが元宇品の魅力ですね。
南端の海岸の裏手には宇品灯台に続く階段が設置されており、灯台のふもとまで登ることもできます。
宇品灯台は、現在も動いている歴史のある灯台で、もともとは1894年に陸軍の信号塔として建てられました。1950年に改修され、現在の灯台になっています。使用されている光源はフランス製で、日本で宇品灯台にしか使われていない貴重なものだそうです。
灯台は島の山頂に位置しますが、海岸側の階段から登れば5分もかからずに近くまで登れますよ。また、反対側からは車でも登ることができ、駐車場も設置されています。
元宇品からは、広島湾の東側のエリアをのぞむことができます。
広島市に住んでいても、観光地の厳島のある西側の風景しかみたことがないという人も意外と多いのではないでしょうか?
元宇品から向かって南を見た時に左手に金輪島と工場地帯、右手には似島、を見ることができるでしょう。
島のたくさんある瀬戸内海らしく目の前に別の島が見えるのは、他の県からしたら貴重な風景です。県外の人が観光で広島にきた際も、あまり知られていない穴場スポットとして紹介できそうですね。
一度歴史的な話に戻りますが、昭和に入ると急激な産業の発展から、広島湾でも水質の汚染が進みました。
実は元宇品には、かつて広島市内唯一の海水浴場があったのですが、水質汚染により閉鎖されてしまいました。
私が子どものころもこの辺りの水はかなり濁っていたように記憶しています。
しかし現在は水も透き通っていて、海岸では地元の子どもたちが遊ぶ姿もみられます。さらに運が良ければ、海岸からイルカの種類であるスナメリを発見できるかもしれません。
今回、私はこの取材で運よくスナメリを発見することができました!
これがそちらの画像です。
宇品側から元宇品をみた時に発見できました。動画をスクショしたものなので少し荒いかもしれませんが、水面のスナメリの姿を確認できます。
近くにいた地元の釣り人に話を聞くと、たまに近くまでやってくるそうです。ちなみに、スナメリが現れると魚が釣れなくなるそうです(笑)
広島市内からわずか15分程の好立地にありながらさまざまな発見ができる元宇品の景色は、とっても貴重ですね。島をぐるっと回って大体40分ほどの時間なので、散歩コースとしてぴったりですよ。
この記事で紹介した景色が気になるという人は、ぜひ元宇品に行ってみてくださいね。
もしかしたら、スナメリとも出会えるかもしれません。
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『広島在住の30代の専業ライター、趣味は広島市内のカフェ巡りとスポーツ観戦。最近はちょっと足を伸ばして海や山でのリトリートにハマってます。ヨガに挑戦しようか悩み中。』