春から秋にかけて、イチゴやスモモ、桃にぶどうなど様々な果物の旬が続きますよね。
フルーツに含まれる栄養素は、美容や健康に良いことはよく知られています。
最近の研究でも、中玉のリンゴ1個を毎日食べることで若々しさを保てることが分かっています。これは、アメリカのベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの研究で、果物や野菜に含まれるフラボノイド類に着目し研究が行われました。
具体的には、フラボノイド類の一種であるケルセチンを毎日10㎎(中玉リンゴ1個程度)摂取すると、年を重ねても体や認知の機能が低下しにくいと判明したのだそうです。
また、ケルセチンの他にも、フルーツにはビタミン類も豊富に含まれています。
このように栄養満点の旬のフルーツの魅力をギュッと味わえる場所の一つに、観光農園があります。
果物狩りはもちろん、農園に併設されたカフェでは果物農園ならではの贅沢フルーツ料理やスイーツが楽しめるなど魅力は盛り沢山。
親子で楽しめる体験や学びの場などもありおススメです。
今回は、三次市にある平田観光農園を紹介します。
農園に到着するまでの道には、色とりどりのアジサイが植えられています。
取材に伺ったのは6月の終わりで、満開のアジサイを眺めながら車を走らせました。
園内にはメタセコイア並木もあります。
木立を吹き抜ける風を感じながら、園内を散歩することも可能。
メタセコイアは背が高いので、ちょっとした雨なら雨やどりもできます。
平田観光農園の敷地は広大で、約15ヘクタールもあります。
そこへ様々なフルーツが配置され、次々に楽しめるよう工夫されているのです。
食べ頃の実を楽しむことはもちろん、花を愛でる楽しみもあります。
例えば、春に真っ先に旬を迎えるイチゴ園の近くには桜の園があり、お花見ができます。
また桜やアジサイ以外にも、桃やなし、リンゴなど果物の花も可愛いので要チェックですよ。
取材した日はすももの旬が始まる前で、ちょっと体験させていただきました。
園内には、立派に育ったすももの木がずらりと植えられていたのですが、なんと、全て同じ品種ではなく、20種類もの品種があるのだそうです。
わたしはハニーローザという種類を試食させていただきましたが、上品な甘さで果汁は指を滴り落ちるほど。他にも有名な大石早生や大玉に育つ太陽、すももの女王と言われる黄陽も人気の品種です。
すももの後も、桃、ぶどう、なしと旬は続きます。
ぶどうは、デラウェアやピオーネの2種類ですが、平田農園では日本で唯一の果物狩りシステムである「ちょうど狩り」という方法が8月から11月にかけて楽めます。
「ちょうど狩り」はチケット制の果物狩りで、いろんな種類を食べてみたい人や子どもにも人気です。お土産にもできるそうなので、試してみてはいかがでしょうか。
園内にある古民家カフェnoqooは、カレーとスイーツのお店です。
趣のある古民家は、ダムの底に沈む予定でしたがここへ移築されました。
カレーとリンゴが好相性なことはよく知られていますが、一般的にリンゴはカレーの隠し味に使うといったイメージですよね。
しかしこの「農園フルーツカレー」には、リンゴが小ぶりな一口サイズでゴロゴロ入っており、さすがは果物農園のカレーという感じがします。皿の端にはドライフルーツも添えられていて、リンゴの食感やドライフルーツとの食べ合わせによる味変が楽しめる、シンプルながら味わい深い一皿です。
この他にも、新鮮なフルーツがトッピングされたピンク色のフルーツカレーも人気。
お子様カレーもあるので、親子で楽しめますよ。
また、こちらのお店のスイーツは、固定概念をいい意味で打ち破ってくれます。
パフェと言えば、生クリームたっぷりでアイスやプリンが盛られ、果物は添え物といったイメージですが、平田観光農園のパフェは果物が主役です。
まずパフェの頂上に、桃が丸ごとトッピングされています。
この桃、お皿で切り分けて頂くことができるのですが、なんと中には、カルダモン風味のとろーり滑らかなクリームが詰まっているのです。
桃の下のジェラートや杏仁のパンナコッタもそれぞれ細かな工夫がなされ、果物の多彩な魅力が味わえます。
内容は、季節により変わる可能性がありますので、実際に足を運ばれる際には農園のホームページ等で最新の情報をご確認くださいね。
果物狩りの後に、ダッチオーブンの森で食事をすることもできます。
人気メニューは、「ローストポーク&ハッセルバックポテト」。
家族で薪割り体験をしたら、その薪を使って火を起こし調理をします。
別の場所ではBBQも可能で、手ぶらで出かけても大丈夫なのが忙しいママには嬉しいですね。
メタセコイア並木を歩いていくと、どうぶつ広場があります。
ここでは、ヤギや牛、ポニーがゆったりと草を食んでいます。
餌やり体験は1回100円ですが、わたしも体験させてもらったところ、牛はすぐにやって来てくれました。ちなみに黒毛の牛は和牛で、茶色の牛はブラウンスイス種だそう。
広大な敷地の草刈りは大変なので、彼らが草を食べてくれることでスタッフさんも助かるそうです。
また、動物の糞は肥料として果物栽培にも利用されています。
そして園内では、動物だけでなく生き物に優しい心遣いがあります。
足元に、かたつむりの親子の行進を見守ってという案内板を見つけ、わたしはほっこりとした気持ちになりました。
売店には、ジャムなどの加工品がずらりと並んでいます。
昨年から販売されているチャツネ、果物ソースなどもじわじわ人気が出ているそうです。
私は自宅用に、一番人気の「ストロベリージャム」と「プルーンのドライフルーツ」を購入。どちらも、自然な甘みが活かされ、おいしかったですよ。
何よりドライフルーツは、無添加で安心安全な食材です。
お子さんのおやつにももってこいではないでしょうか。
ちなみに、ドライフルーツ生産の拠点は長野県にあります。これは全国展開を考えた上で、ぶどうの生産高日本一の長野県を軸に生産、販売することにされたのだとか。
実は、平田観光農園は、日本で初めてレーズンを販売し、ドライフルーツのブームを作ったという草分け的な存在なのです。
今年4月から「くだもんがっこう」という学び舎も園内にオープンしています。
ここは子どもたちと一緒に、フルーツについて楽しく学べる場所です。
果物の育ち方や栄養、加工方法などを、香りを抽出する実験をしたり、畑に出て実際に木や実に触ったりする授業内容で、嬉しいお土産も付いています。
平田観光農園の歴史は長く、西日本で初めてリンゴ栽培に成功したのはこの農園です。
果物栽培そして観光農園のパイオニア的な存在なのです。
農園の歴史を振り返りながら、果物狩りに訪れるお客さんの目的が近年変化しているようだと社長の平田さんは話して下さいました。
以前は、食卓にはリンゴは欠かせない存在でした。
食卓のリンゴを買おうと、果物狩りに来られるお客さんが多かったと言います。
しかし今では、果物がどんな風に木になっているのかを子どもと観に来られるようになったそうです。
現代では、食育の必要性がよく指摘されていますが、子どもの中には、果物や肉や魚をスーパーで売られている状態でしか見たことがなく、例えば魚は、切り身のままで海を泳いでいると思い込んでいる子も少なくないと言われています。
平田観光農園の社長さんもこうした状況を憂い、以前のように食卓に果物が常に用意されるようにと情熱を込めて魅力いっぱいの農園を運営しておられます。
ぜひ次の休みに、親子で「果物のテーマパーク」を満喫してみてはいかがでしょうか?
住所 | 三次市上田町1740-3 |
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電話 | 0824-69-2346 |
URL | https://marumero.com/ |
※掲載内容は情報が最新でない場合もあります。詳細に関しては各施設にお問い合わせいただきご確認いただくようお願いします。
幼い頃から書くことや本が好きで、関西の編集プロダクションに勤務し、情報誌の編集に携わる。その後、創作活動を続けながら、介護福祉士を取得し、障害福祉の分野で約10年働く。現在はWEBライターとして、これまでの経験を活かし、福祉関連の記事や趣味である家庭菜園や手作り、飲食店の取材記事、You Tube動画の台本執筆などを執筆中。