理学療法士と聞くと、交通事故に遭われた方のリハビリや、高齢の方へのリハビリを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
実は、理学療法士は「発達障害」の分野でも活躍しているのです。
今回は、子どもの発達障害分野での理学療法士の役割について紹介していきたいと思います。
この記事では
これらについて詳しく説明していきます。
発達障害の方は、小さい時から同年代の子たちに比べて苦手なことが多くあります。
発達障害の特徴には、以下の症状が挙げられます。
このような症状は、以下のような原因が考えられます。
多くの親御さんが3~4歳頃に違いを感じて「発達傷害」あるいは「発達性協調運動障害」と診断される場合が多いようです。
発達障害のイメージとして「対人関係の困難さ」が印象深いかもしれません。
しかし、運動機能が未熟なため「姿勢が悪い」「まっすぐに座れない」「転びやすい」などの、運動能力の遅れが目立つ方もいらっしゃいます。
運動機能が未熟なため自信を無くしてしまい、日常生活に支障をきたすこともあります。
日常生活の困難さだけではなく、それが引き金に引きこもりになってしまうなど、悪循環に陥ってしまう方も多くいます。
そうならないためにも、早い段階から理学療法士が運動療法を行い、運動機能の支援を行っていく必要があります。
発達障害は個人差が大きいため、個々の障害の状況を専門的に理解して支援にあたることが非常に重要です。
理学療法士が行う運動療法とは、以下のようなものがあります。
「発達障害かもしれない」と心配されるケースの多くが、小学校入学前です。
小学校入学前の時期では、以下の機関を通して理学療法士のサービスを受けることができます。
それぞれのサービスの内容を詳しく説明していきます。
各市区町村では、保健師や臨床心理士などの専門家が発達の遅れた、または疑いのある子どもへの相談を行っています。
理学療法士が相談機関に在籍していることもあれば、相談機関から依頼される場合もあります。
相談機関とは、子育て支援センターや市区町村の福祉関係の窓口のことです。
保健医療機関では、お子さまへの接し方などの相談や、日常生活の中での体の動かし方を教えてもらうことができます。
まずは、かかりつけの医者に相談してみてください。
発達障害の診断後、理学療法の処方が出され運動療法を受けることができます。
福祉機関には、児童発達支援事業所や児童発達支援センターが挙げられます。
福祉機関でのサービスを受けるには、市区町村の窓口で障害者福祉サービス受給者証の申請を行う必要があります。
受給者証を受け取り、事業所と利用契約を結ぶことで、運動療法を受けることが可能となります。
小学校に通いながらでも、福祉機関での支援を継続することは可能です。
放課後デイサービス事業所では、放課後の生活の中での経験学習を行います。
保健所等訪問支援では、学校での支援を相談することができます。
いずれも、受給者証を取得し通所の申し込みを行うことで、1割負担でサービスを受けることが可能です。
または、自宅に訪問し運動療法を受けることができる、訪問看護・リハビリテーション事業所もあります。
訪問看護ステーションでは、医師の指示書の発行が最長で半年に一度必要となります。
訪問リハビリテーションでは、事業所が所属する医療機関への受診と指示書の発行が、毎月必要となるので注意してください。
小学校入学後には、学校で理学療法士が支援を行うこともあります。
理学療法士が介入することで、体格に合った椅子と机を選んだり、苦手な運動課題に対してアドバイスを行ったりすることが可能となります。
発達障害かどうかの自己判断はせず、気になる症状がある場合は、かかりつけ医や専門の機関に相談することが重要です。
理学療法士の支援を受けることで、気になる症状が改善されたケースもあります。
お子さんがのびのび成長できるように、運動療法を受けて可能性を広げていきましょう。
本業では約10年間、病院での理学療法士業務を経験し、現在はデイサービスで機能訓練指導員として働いています。 プライベートでは、小学2年生と3歳の兄弟の子育てに日々奮闘しながら、ライターとしても活躍中です。