理学療法士の就職先には「医療機関」「介護施設」「福祉施設」「教育・研究施設」などが挙げられます。
医療機関のなかでも、理学療法士の就職先として最も多いのが病院です。
理学療法士協会によると、2020年3月末で会員の6割近くが病院に所属しているとのことです。
理学療法士の就職先の大半を占める病院と介護施設では、働き方にどんな違いがあるのか気になりますよね。
実際に10年間の病院勤務と、3年間のデイサービス勤務経験のある筆者の感じるそれぞれのメリット・デメリットを踏まえて紹介していきたいと思います。
病院と介護施設の違いについて紹介する前に、まずは自分が就職先にどのようなことを求めているのかを知ることが大切です。
給料や接遇面はもちろんですが、自分がやりたいことや得意なことが生かせるかもポイントです。
病院と介護施設では、リハビリの対象や目的、内容などが異なります。
それを踏まえた上で、自分にとってどちらが合っているのか考えてみてください。
病院と介護施設ではリハビリの対象が異なります。
介護施設は介護認定を受けた高齢者が対象となりますが、病院は小児から高齢者まで幅広い症例を担当します。
また、病院は急性期から回復期、療養期まで対象の範囲が広く、それぞれリハビリの内容が異なります。
中にはターミナルケアを担当する場合もあるかもしれません。
自分がどの症例を対象としたいのかが重要です。
ここでは、病院で働く場合と介護施設で働く場合の仕事内容について比較しています。
病院と介護施設の仕事内容の大きな違いは、リハビリの指導内容です。
病院では、退院後の生活に向けてリハビリテーションを実施します。
脳梗塞や骨折などにより、今まで通りの生活が難しくなった方への機能訓練と生活指導を行います。
介護施設のリハビリテーションの目的は、日常生活動作の維持です。
対象が高齢者と限局されるので、老化により日常生活動作が低下してしまわないよう、機能維持を目的としたリハビリテーションを提供します。
ここでは、病院と介護施設で働く際に関わるスタッフの違いについて比較していきます。
介護施設でも医師との関わりはありますが、病院と比較すると頻度は少なくなります。
また、病院では介護職員との関わりは少ないですが、介護施設では介護職員や生活相談員、ケアマネージャーとの関わりが重要です。
利用者様の自宅での生活の様子や、入浴介助・トイレ介助時の動作の様子を情報収集することで、必要なリハビリテーションプランを作成していきます。
最近の病院は理学療法士も365日体制となり、日祝関係なく働く職場が増えています。
介護施設でも場所によっては、日曜出勤が必要になるかもしれません。
病院や施設によっては、月に1~2回の夜勤業務がある場合があります。
職場を選ぶ際には、病院や介護施設の規模や、理学療法士の在籍人数を確認することが重要です。
ここでは、病院と介護施設のキャリアアップの選択肢について比較していきます。
病院も介護施設も共通して、リーダーや管理者にキャリアアップします。
その他のキャリアアップの方法として、認定理学療法士などの資格を取得する場合もあります。
ここでは、病院の場合と介護施設の場合のメリット・デメリットを比較していきます。
私が実際に働いて感じた大きなメリット・デメリットは、リハビリスタッフの数です。
介護施設は場合によって、1人職場になる可能性があります。
そんな時、子どもの急な体調不良などで休みを取ると、その日の単位を取ることができないことがあります。
病院では比較的、リハビリスタッフの数が多いため、急な休みでもカバー体制がしっかりできている場合があります。
病院と介護施設では、働き方に多くの違いがあります。
私は病院勤務を経て、現在デイサービス勤務を行っていますが、それぞれの良さを感じています。
デイサービスで務めているからこそ、自宅で生活する患者様や利用者様にとって本当に必要なリハビリが何なのか理解することができました。
しかし、それも病院勤務を経験し、さまざまな症例を担当してきたからこそ気づけたのだと感じています。
病院と介護施設のそれぞれの良さを知って、自分に合った職場選びの参考にしてみてください。
本業では約10年間、病院での理学療法士業務を経験し、現在はデイサービスで機能訓練指導員として働いています。 プライベートでは、小学2年生と3歳の兄弟の子育てに日々奮闘しながら、ライターとしても活躍中です。