こんにちは。今回は日常診療でよく出会う疾患の1つであり、実際にお困りの方が多い、便秘症についてお話をさせていただきます。
現在、高齢化社会の影響やコロナ禍での運動不足などから、便秘でお困りの方が増えてきています。また、2012年から便秘の新しいお薬が次々と発売されており、この分野に注目が集まっています。読むとお腹やおしりがムズムズしてくるかもしれませんが、リラックスしてお付き合いいただけたら幸いです。
まず、便秘症は急性、慢性に分類されますが、大部分は慢性の便秘症です。慢性の便秘症は、非高齢者であれば5%前後、高齢者であれば10%以上が罹患しているといわれています。20〜60歳は女性が多く、60歳以降は男女とも加齢に伴って増加し、80歳以上となると男女差がなくなるといわれています。
2017年に「慢性便秘症診療ガイドライン」が出版され、慢性便秘症の標準的な対応が示されました。便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されており、毎日排便があっても苦痛を感じる排便は便秘の可能性があり、逆に週2−3回でも快便であれば便秘ではありません。
なお、急性の便秘で代表的なものは旅行中の便秘などがあります。
便ができるまでですが、食べた物は、口で咀嚼し、食道を通り、胃で溶かされます。次の十二指腸で胆汁や膵液といった消化酵素が混ざりあい、分解され吸収しやすい状態になります。便の色が黄を帯びた茶色となるのは、この肝臓で作られる胆汁のビリルビンが便内に含まれるからです。
逆に胆汁が排泄されていない状態であると白っぽい便になります。小腸では栄養や水分を吸収し、大腸では主に水分が吸収されて便が形成されます。食べてから便が出るまではおおよそ24〜72時間です。便が出るまでの時間が長いと硬くなり、短いと軟らかくなります。
排便には生活習慣、食事、水分摂取、適度な運動、排便姿勢も重要です。3食きっちり間隔をあけて食べていただき、特に朝食を摂ることをお勧めします。多くの人が朝食後に強い腸管の蠕動が起き、それによって溜まった便が進み、排便を促すからです。
食事は1日3食とし、うち1食は主食、主菜、副菜、果物、乳類を揃えることを目指します。食物繊維の摂取は重要です。リンゴなど果物、野菜、海藻などの水溶性食物繊維は便を柔らかくするため排便にいいですが、米やパンなどの穀物、ごぼうやかぼちゃなどの野菜、豆類などの不溶性食物繊維は摂りすぎによって便が硬くなることがありますのでご注意です。排便姿勢は非常に重要で、前傾姿勢(前かがみで約35度)の座位をとり、踵をあげたり、足台を利用することが大事です。
近年は腸内の細菌、腸内の細菌叢(腸内フローラ)も話題になっています。人間の腸内、主に大腸には約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しています。腸内細菌には善玉と悪玉、その中間の菌と3つのグループが存在します。腸内細菌は肥満、糖尿病、大腸がん、動脈硬化などの疾患に関連あり、この悪玉菌が増えることが原因と考えられています。60歳を過ぎると善玉菌が減り始め、悪玉菌が増えていき腸内環境は悪化していきます。
それを防ぐためには善玉菌、プロバイオティクスを含む食品を取る必要があります。食品ではヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、漬物などが善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌を含みますので摂取をお勧めします。さらには、善玉菌を増やすために、プレバイオティクスといったオリゴ糖や食物繊維も摂取することも大切です。食品では大豆、玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく等に多く含まれています。
先ほど述べた生活習慣や食生活、排便姿勢では改善しない場合は下剤が必要となってきます。下剤には大きく分けて2種類、刺激性下剤、非刺激性下剤があります。刺激性下剤はセンノシド、ピコスルファートナトリウム水和物、センナやアロエもこちらに該当します。これらは、長期間の使用で耐性や習慣性があり、屯用で使用することをお勧めします。
先述のガイドラインでも、必要時の屯用、もしくは短期間の使用を推奨しています。非刺激性下剤は、1823年にシーボルトがオランダから我が国に持ち込んだ古典的な酸化マグネシウムをはじめ、近年、ポリエチレングリコール、ラクツロース、ルビプロストン、リナクロチド、エロビキシバット水和物など各種下剤が発売されました。基本的には毎日の服用で効果があり、解消する場合があります。個人差がありますが、便が柔らかくなり、排便を促します。耐性は生じにくいのですが、それぞれ長所短所ありますので担当医と相談いただけたらと思います。
他にも漢方薬といった選択肢もあります。大黄と甘草の摂取量が過剰にならないように、大黄や甘草が含まれる漢方を使用の際は長期連用にはご注意です。
一方、警告症状といって排便習慣の急激な変化、予期せぬ発熱や体重減少、血便、腹部腫瘤などは危険なサインです。大腸の器質性便秘、つまり大腸がんやクローン病、虚血性腸炎など大腸の検査が必要な所見ですので担当医にご相談ください。
警告症状がなくとも、様々な下剤を使用しても効果が低いこともあります。その際は、さらに専門的な排便造影検査や直腸肛門内圧検査、直腸感覚検査などの検査が可能な専門施設にご相談することをお勧めいたします。
以上、便秘についてお話しさせていただきました。便秘は一見簡単なようで奥が深い疾患です。まずは、生活習慣や食生活、排便姿勢が大切ですが、お悩みでしたら担当医に相談していただき、治療や検査をすすめていただけたらと思います。
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はじめまして。
このたび、JR海田市駅の近くの大正町におんじ内科クリニックを開院させて頂くこととなりました。勤務医では一般内科、胃・大腸内視鏡検査、超音波検査、消化器内科を診療し、広島大学病院では消化器内科領域、特に内視鏡検査や治療、超音波検査の臨床研究に携わっておりました。当内科クリニックでは、患者さんの精神的、肉体的に負担の少ない内視鏡検査を行い、がんや大腸ポリープの早期発見や早期治療に心がけていきます。また、東広島、呉市での地域医療の経験を生かし、一般内科や高血圧をはじめ脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の改善にも取り組んでまいります。
地域の皆様のかかりつけ医として身体の不調や健康面のことなどお気軽にご相談ください。
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