2021/07/21

生活困窮者自立支援制度の中でも、健康的な生活になくてはならない、医・食・住についての具体的な支援について

前回、生活困窮者支援制度についてご説明しました。
これは、コロナ禍により仕事を続けられなくなった方や、収入が減ったことで、生活するために必要な支払いが出来なくなったという方にも使用できる制度になります。
実際にコロナ禍により、どんな相談が多いかといいますと、今日は、生活困窮者自立支援制度の中でも、健康的な生活になくてはならない、医・食・住についての具体的な支援について、ご紹介したいと思います。

「医療」の支援制度

まず、医・食・住の「医」、医療についてです。
日本は医療保険制度があり、大変医療にかかりやすいシステムを持つ国だと思います。しかし、生活困難な状況に陥ると、つい健康面は後回しにしてしまい、更に体調を悪化させ、仕事や生活に悪影響を及ぼすという悪循環に陥ってしまう事があります。何事も体が資本だという事を忘れないで欲しいと思います。

そうは言っても、お金がないので少しの医療費も払っていられないという方に、「無料低額診療」についてご紹介します。
「無料低額診療」は、社会福祉法にある「生計困難者のために、無料または低額な料金で診療を行う事業」に関わるものです。
対象には、

  • 低所得で生計困難な方
  • 生活保護受給前で生活困難な方
  • 保険証を使用できない方(DV等の被害者)

など様々な状態にある方で、幅広い方が対象になります。
注意していただきたいのは、この無料定額診療を行う医療機関は限られています。また、該当する医療機関によって、診療回数が決まっているなど、問われる個人の収入額の上限が異なりますので、下記のようなサイトを調べた上で利用してみて下さい。

「食」の支援制度

次に、医・食・住の「食」についてです。言うまでもなく、食事は体力、気力を培うためには、必ず重要なものになります。
最近では、地域で交流できる場として、「こども食堂」や「〇〇食堂」などを目にする事があります。こういった場所では、ワンコイン、或いは無料で食事を提供しておられます。「こども食堂」と言っても、子供たちだけが利用できるのではなく、親子で利用できるところも多くありますので、食事をとってお腹いっぱいにするという目的だけでなく、そこで子供も大人も会話を交わしたり、一緒に遊んだり、勉強したりする事で、交流して心を満たすことも出来るような場所になっています。そういう場が近所にある場合は、一度利用されることをお勧めしますが、近所にそういう場所が無い場合、お住まいの地域にある社会福祉協議会を訪ねてみて下さい。
広島市であれば、各区にありますし、広島県であれば、各町にあります。社会福祉協議会は、住民が安心して暮らすために地域福祉を推進する事を目的としており、暮らしの相談窓口(多くは、くらしサポートセンター等の名称になっています)を訪ねて、そこの相談員さんに食事のこと、食品提供の場についての情報を相談してみられるといいと思います。

また、最近は食品ロス削減のために、フードバンクという活動があります。これは、食品を扱う事業者や不要になった食品を抱える家庭から、賞味期限は切れていないが、廃棄処分されそうな食品を引き取り、必要とされる団体や個人などに提供するところです。
広島市には現在、3カ所のフードバンクがあります。それぞれの団体によって、扱う食品や提供の方法等が異なりますので、問い合わせてから利用されることをお勧めします。

広島市環境局業務部業務第一課のホームページで、フードバンクの紹介もされています。

「住居」の支援制度

最後に、医・食・住の「住」、住居についてです。
特に、コロナ禍になって、ご相談が多いのが、この住宅についての内容です。コロナの影響で、収入が大きくダウンした、会社から契約を切られるなどにより、家賃が払えなくなるなどの深刻な問題を抱える方が非常に多くおられます。この場合、「住居確保給付金」という給付金があります。相談先は、先程「食」のところでもご紹介した、社会福祉協議会やくらしサポートセンターになります。
こちらは、住居確保給付金についての説明で厚生労働省で、紹介されているサイトです。

申請のために、本人確認だけでなく、収入が確認できるもの、預貯金の状況、就労の減少などの書類が必要になります。

本日は、コロナ禍などにより生活困難になられた方の、医・食・住を支える制度や窓口についてご紹介させて頂きました。生活困難に陥ったとしても、それを一時的なものにするためには、仕事を探したり、新しい仕事に着くなど、ある種のパワーが必要です。そのためには、体の健康とそれを支える食事、癒すための住宅などは欠かせないものですので、一人で悩まず、窓口への相談をしてみて下さい。

コラムニスト

理事長  下原 千夏 

広島生まれ、広島育ち、生粋の広島っ子。
公認心理師・精神保健福祉士
家族は夫一人、息子一人、ミニチュアシュナウザー1匹。中学校から大学までの約10年間、テニス部に所属。1994年頃から実父が理事長を務めていた医療法人で、心理士の仕事に携わり、2000年から生活訓練施設(現障害者グループホーム)の施設長。2006年に同医療法人副理事長、2014年に理事長に就任。2018年からは特定非営利活動法人FOOT&WORKの理事長を務める。コメディカルとしての現場経験を活かし、FOOT&WORKでは障がい者スポーツのイベント開催や、「地域でこんなのがあったらいいなー」という思いを存分に込めて、障害を問わず、性別を問わず、年齢を問わず、人種を問わず、皆が理解し、支え合う事が出来る共生社会を目指した活動を実行中。

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