トイレが近かったり排尿痛があったりすると「膀胱炎かも?」と思ってしまいますよね。
膀胱炎は、とくに女性がなりやすい疾患です。泌尿器科や内科、婦人科を受診することで検査をしてもらえますが、症状によっては市販薬でも対応できます。今回は膀胱炎の症状や原因、市販薬の選び方などを見ていきましょう。
膀胱炎で見られる代表的な症状は、次のとおりです。
トイレが近かったり残尿感が現われたりして膀胱炎を疑うことが多いようです。
膀胱炎には大きく急性膀胱炎、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎の3つがあります。膀胱炎とひとくくりにされることが多いのですが、種類によって原因が異なることが特徴です。
膀胱炎のうちもっとも頻度が高いものとして、細菌感染により起こる急性膀胱炎が知られています。膀胱炎の原因となる菌の70~80%は大腸菌です。大腸菌は肛門の付近や便の中に生息しています。
大腸菌が膀胱の中に侵入し、繁殖することで炎症を起こしてさまざまな症状を引き起こすのです。女性は肛門から尿道までの距離が短く、さらに尿道の長さが男性と比べて5分の1程度しかないため、大腸菌に感染しやすいと言われています。
ほかの疾患が原因で膀胱炎になってしまうものが慢性膀胱炎です。尿路結石や糖尿病、前立腺肥大症などが原因となります。疾患によって免疫機能が落ちたり、排尿機能がうまく働かず菌が繁殖しやすい状態になったりしてしまうのです。
糖尿病の患者さんでは、男性の約5%、女性の約10%に膀胱炎が見られます。急性膀胱炎と比べると症状が軽いことが多いのですが、何度も繰り返し膀胱炎を発症してしまうことも少なくありません。
菌が侵入したわけでもないのに膀胱に炎症が起こっているものを間質性膀胱炎といいます。炎症が起こる原因は不明のため、一般に膀胱炎の治療でよく使われている抗生物質は効きません。根本的な治療方法がないため、炎症が起きている部位を手術で取り除いたり鎮痛剤を使ったりします。
急性膀胱炎、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎のうち市販薬で対応できるのは菌の繁殖によって起こる急性膀胱炎のみです。慢性膀胱炎は原因となる疾患の治療が最優先となります。間質性膀胱炎は辛いものやコーヒー、柑橘類を避けたりストレスをためないようにしたりすることで悪化を防ぐことが可能です。
ただし基本的には医療機関で診てもらう必要があります。菌によって一時的に引き起こされた膀胱炎のみが市販薬で対応できると認識しておきましょう。
ボーコレンは、五淋散(ごりんさん)という漢方薬を使った治療薬です。膀胱の炎症を抑え、たまっている菌を押し出すことで治療をしていきます。五淋散には利尿作用があるため、尿をどんどん排泄することで菌を洗い流すのです。
知名度の高い薬ですが、体力が極端に低下していたり体が冷えたりしている方には向いていないため注意しましょう。人によっては胃腸に負担がかかることもあるので、胃腸が弱い方も避けたほうが無難です。妊娠中でも服用できる膀胱炎の薬として知られています。
腎仙散は膀胱の炎症を抑え、さらに菌の働きを弱めて押し流すことで膀胱炎の治療をしていきます。抗菌作用の強いウワウルシという生薬が配合されていることが大きな特徴です。ウワウルシは尿路系を消毒するために古くから使われてきました。
こちらも胃腸に負担がかかることがあるため、調子が優れない方は服用を避けましょう。
レディガードコーワはフラボキサートという成分を配合した治療薬です。フラボキサートは膀胱の筋肉をゆるめることで、尿を蓄えられる容積を増やすことができます。トイレの回数が多かったり残尿感があったりする方に向いているでしょう。女性向けの治療薬として販売されています。
膀胱炎の方だけではなく、日頃から頻尿で悩んでいる方にも使えるお薬です。
何度も繰り返す膀胱炎は本当につらいものです。学校や仕事があるとトイレに行きたくても行けないこともありますよね。また、排尿するたびに痛みに襲われるため、トイレに行くのが怖くなってしまう方もいるでしょう。つらい毎日を送らないようにするためにも、予防が大切です。
膀胱炎の多くは菌が膀胱に侵入して起こるものです。そのため、デリケートゾーンを清潔に保つことで膀胱炎を予防できます。毎日シャワーを浴びたり、排便の後はウォッシュレットを使用したりするなど、清潔を心がけましょう。
また、排便後は後ろから前ではなく、前から後ろに向かって拭くことも大切です。女性の場合は生理のときにナプキンを小まめに交換することでも予防できます。
意外かもしれませんが、便秘は膀胱炎のリスクを上げてしまう要因の1つです。肛門付近に便がとどまっている状態が長く続くため、大腸菌が尿道をつたって膀胱へ到達しやすくなることが関係しています。便秘にならないようにするためにも、水分や食物繊維を多く摂るようにしましょう。
ストレスや疲れがたまっている状態が続くと、免疫機能が低下しやすくなります。ストレスがたまっているときに風邪を引きやすくなったり疾病が悪化したりした経験が誰しも一度はあるのではないでしょうか。
実は慢性的なストレスにより、免疫機能に関わっているリンパ球やナチュラルキラー細胞などの働きが低下してしまうことがわかっているのです。免疫機能が低下すると、普段は悪さをしないような菌の働きすら抑えることができなくなり、増殖して体にさまざまな影響をもたらしてしまいます。
菌が増殖しやすくなる=膀胱炎のリスクも上がるため、ストレスや疲れをためないような工夫が必要です。
水分の摂取量が減ると、膀胱内に侵入した菌がとどまる時間が長くなり、膀胱炎になりやすくなります。多めに水分を摂ることで膀胱にたまっている菌を尿と一緒に出してしまいましょう。トイレを我慢すると膀胱炎になりやすいと言われているのも、膀胱内に菌が長時間とどまることが原因です。
膀胱炎かも?と思うような症状が出ても、実はまったく違う疾病のことがあります。次のような場合は早めに医療機関を受診してください。
1週間以上、市販薬を服用しても症状が改善しない場合は市販薬での治療が難しいと判断できます。市販薬にも菌をやっつける働きがあるものもありますが、病院で膀胱炎の治療として一般的に使われている抗生物質と比べると効果はどうしても劣るものです。
抗生物質を服用すると2~3日で症状が落ち着いてくることも少なくないため、長引く際は早めに医療機関を受診しましょう。
排尿痛や残尿感があると膀胱炎が疑われますが、これに加えて吐き気や嘔吐、背中の痛みなどもある場合は腎盂腎炎という別の疾病の可能性があります。腎盂腎炎は尿道から侵入した菌が膀胱よりさらに上にある尿管や腎盂にまで到達して起こるものです。
治療には抗生物質が使われます。抗生物質は市販では購入できないため、必ず医療機関を受診して治療を始めてください。
膀胱炎には菌の感染によって起こる急性膀胱炎、尿路結石や糖尿病などが原因の慢性膀胱炎、原因不明で起こる間質性膀胱炎の3つがあります。このうち市販薬で治療できるのは急性膀胱炎のみです。市販薬にも殺菌作用や炎症を抑える効果のある治療薬があるので、うまく活用してみてください。
ただし、市販薬を1週間以上使っても症状が改善しない場合や、残尿感や排尿痛だけでなく吐き気や嘔吐の症状もある場合は市販薬では対応できません。その場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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