お酒を飲む機会が増えると、ウコンが入った飲料を手に取る方が増えてきます。
飲み過ぎや二日酔い対策として人気のウコンですが、はたしてどれくらいお酒を飲むときに効果があるのでしょうか。
お酒を楽しく飲むためにも、できれば飲み過ぎで嫌な思いはしたくないものですよね。今回は、お酒を飲むときにウコンが効果を発揮してくれるのか、二日酔い対策には何がおすすめなのかなどを紹介します。
人によって適量は違いますが、キャパを超えた飲酒をすると頭痛や吐き気などの症状が出ることがほとんどです。お酒の飲み過ぎでこのような症状が出る原因には、主に2つあります。
アセトアルデヒドとは、アルコールが分解されてできる物質です。アルコールを分解するアルコール脱水素酵素の働きにより作られます。
アセトアルデヒドは毒性がある物質のため、お酒を飲み過ぎて体内にたまってくると、頭痛や吐き気などの症状が出てしまうのです。適量を守って飲めばアセトアルデヒドによる影響は最小限で済みますが、過度に飲むことで代謝が追いつかなくなります。
脱水によっても頭痛や吐き気などの症状が起こります。アルコールを摂取すると脱水状態になりやすいため、つらい症状が起きてしまうのです。
「水分を摂っているのに脱水?」と不思議に思う方もいるかもしれません。アルコールには利尿作用があるため、飲んだ分以上に尿として排泄されます。その結果、体内の水分が減少してしまうのです。また、アルコールを分解する際に水分が必要になることも脱水と関係しています。
ウコンに対してどのようなイメージをおもちですか?「アルコールの分解を早めてくれるもの」「二日酔いの予防になるもの」と思われている方はとても多いかと思います。
実際に、ウコンを飲んだら二日酔いにならなかった、という体験談はよく耳にするものです。
あたかも肝臓にいいかのようなイメージのあるウコン。アーユルヴェーダでも使われてきたことから、何かしらの効果が期待されています。日本でもウコンに含まれているクルクミンが肝臓を刺激して機能をサポートする効果があるのではと研究が進められてきました。
しかし、アルコールの代謝を助ける働きがあるのかどうかについては、まだはっきりとしたデータがありません。クルクミンは不安定な物質であるため、口から摂取しても体内で十分に利用されないのです。
実際にウコンを配合したドリンクのパッケージを見ても、お酒の代謝を促すような文言は一切書かれていません。清涼飲料水として販売されていることから、ウコンはジュースと変わらないものといっても過言ではないでしょう。
ウコンが肝臓の働きをサポートするのかについては不明な部分が多いのですが、肝障害を起こす可能性があることについてはしっかりとデータが出ています。肝臓を守るために飲んでいるウコンがかえって肝臓に害を与えてしまうというのは、笑えない話です。
ウコンそのものが肝臓に負担をかけたり、ウコンに含まれている鉄分を過剰摂取してしまったりすることが肝障害の原因になると言われています。お酒対策にとウコンを飲み過ぎてしまうと、かえって思わぬ害を被るかもしれません。
ウコンがお酒にあまり効果がないとなると、二日酔い対策はどうやってすればいいの?とお困りの方もいるでしょう。そのような方におすすめなのが肝臓水解物です。
肝臓水解物とは、肝臓(レバー)に消化酵素を加えて分解したもののこと。豊富なアミノ酸やペプチドが含まれています。肝臓が悪いなら肝臓を食べるとよいと言われることがあることから、肝臓水解物は肝臓の働きをサポートする代表的な成分なのです。
アミノ酸やペプチドの状態にまで小さく分解することで、服用したときに吸収されやすくなっています。
肝臓水解物には、肝臓の働きをサポートする効果があります。アルコールのほとんどは、肝臓で代謝されるものです。アルコールの代謝に大きく関わっている肝臓の働きをサポートすることで、二日酔い対策ができるといわれています。
また、肝臓は体を動かすためのエネルギーを作り出していることも特徴です。そのため、肝臓水解物を摂取することで疲れを改善することもできます。
飲み過ぎたときに使える漢方薬として五苓散(ごれいさん)もおすすめです。五苓散には、尿量を減らして脱水症状を改善し、さらにアルコールの代謝を促進する効果あがります。
アセトアルデヒドの蓄積と脱水の両方をカバーしてくれるのです。脳のむくみを取ったり、痛みの原因となるプロスタグランジンの産生を抑制したりする効果もあることから、アルコールによる頭痛にも効果があります。
肝臓水解物や五苓散などの医薬品を使うのももちろん有効ですが、できれば二日酔いにならないようなお酒の飲み方をしたいですよね。
せっかく楽しい時間を過ごしたのに、アルコールのせいでつらい思いをするのは悲しいものです。まずは、そもそも二日酔いにならないような飲み方を心がけましょう。
アルコールの分解スピードを超えて摂取すると、アセトアルデヒドが蓄積しやすくなります。1時間に分解できるアルコールの量は男性で9g、女性で6.5gが平均です。ビールの中瓶1本には20gのアルコールが含まれているため、男性では2.2時間、女性では3時間ほど分解に時間がかかります。
意外とアルコールの分解には時間がかかるのです。平均値なのでこれより遅い人も速い人もいますが、一気に大量のアルコールを摂取するのは避けましょう。
一気飲みをすることで、急激に血中のアルコール濃度が上昇します。すると、ゆっくり飲むよりも速いスピードで酩酊状態になってしまうため、二日酔いになりやすくなるのです。
二日酔いの症状は、脱水によっても起こるものです。アルコールを飲んでいると利尿作用により水分不足になりやすいため、水やウーロン茶などでこまめに水分補給を行いましょう。お酒と同じ量の水分を摂ることが理想的です。
お腹が空いている状態でアルコールを摂取すると、通常よりもアルコールが速く吸収されます。血中濃度がすぐに上がる原因になるため、空腹状態ではアルコールを飲まないようにすることが大切です。
お腹が空いた状態で飲む場合は、先に水やウーロン茶などを飲むか、つまみから先に食べるとよいでしょう。
お酒に強い人と弱い人の違いは、アルコールの代謝スピードです。毒性の強いアセトアルデヒドが速やかに分解される人はお酒に強くなります。
アセトアルデヒドを分解しているのは、アセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)という酵素。日本人の約4%はこの酵素が不活性なため、お酒が飲めないと言われています。
おもしろいことに、都道府県によってアセトアルデヒド脱水素酵素2の活性の高さが異なることが特徴です。つまり、住んでいる場所によってアルコールに強い人が多かったり少なかったりします。
アセトアルデヒド脱水素酵素2の活性が高いのは秋田県や岩手県に住んでいる人々です。逆に三重県や愛知県は活性が弱い人が多くなっています。
お酒のお供として知られているウコンは、実はアルコールの代謝を促してくれるかどうかは効果がよくわかっていません。ウコンを飲み過ぎることで肝障害になることもあるので注意が必要です。
二日酔い対策に有効な市販薬には、肝臓水解物や五苓散があります。一部の製品を除きどちらも医薬品として販売されているものです。いざというときは頼ってみるのもよいでしょう。
しかし、そもそも二日酔いにならない飲み方を心がけたいもの。自分の体質にあった量を飲んだり、空腹時に飲むのを避けたりして二日酔いを予防することが大切です。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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