急性腎盂腎炎 ｜ 症状から調べる | ファミリードクター

急性腎盂腎炎の原因

急性腎盂腎炎は、細菌が腎盂に直接感染することで発症します。多くは大腸菌をはじめとする腸内細菌によって起こります。
通常、尿管が膀胱に入る部分には逆流防止機能があり、尿が腎臓へ逆流することはありません。また、腎臓は尿によって洗い流されるため、健常者の腎臓は無菌状態です。しかし、腟口や肛門にある細菌（大腸菌など）が、何らかの原因により尿道から膀胱、膀胱から尿管へと逆上して腎臓に侵入し、増殖することで発症します。
女性の場合は、尿道が短く膀胱炎等を引き起こすことで発症することがある一方で、男性は男性特有の病気である前立腺肥大が原因となり発症することがあります。その他、尿管狭窄や膀胱尿管逆流症などの先天的な原因で発症することもあります。

急性腎盂腎炎の症状

主な症状は、細菌感染の炎症反応による悪寒や発熱です。炎症によって腫大した腎臓の痛み(腰部痛や側腹部痛)、嘔吐等が現れることもあります。また、進行により腎機能の低下が著しくなると尿毒症が見られたり、腎臓だけではなく全身に細菌が回ると敗血症になる等、まれに命に関わる危険もあります。

急性腎盂腎炎の治療と予防

急性腎盂腎炎の治療

基本的な治療は抗生物質の投与と尿量を増やすために水分摂取や点滴などです。軽症であれば基本的に通院治療ですが、高齢者や軽症ではあるものの糖尿病の基礎疾患がある方、重症化している方は入院治療になります。抗生物質の投与は2週間程度行いますが、自己判断で途中で停止してしまうと重症化する危険があるため、医師の指示通りに治療を進めることが大切です。
また、尿閉を引き起こしている場合には、尿道カテーテルを留置し、感染した尿を排出させる治療を受けます。尿管結石が見られたり、水腎症を伴っている場合には尿道カテーテルではなく、膀胱鏡下に尿管ステントを留置したり、経皮的腎瘻造設術を行います。

急性腎盂腎炎の予防

急性腎盂腎炎を予防するためには、お風呂やシャワー等で陰部を常に清潔に保つことが大切です。排便時に陰部を洗浄すれば、より発症リスクが低くなります。また、万が一細菌が尿道に入り込んでしまった際に、腎盂へ逆流するのを防ぐために、水分を多めに摂ることも効果があります。多めに水分を摂って尿で洗い流して排便することで、腎盂への逆流を防げます。