シェーグレン症候群
シェーグレン症候群とは、免疫のバランスが崩れ、涙や唾液を産生する涙腺・唾液腺等の臓器を攻撃し、ドライアイやドライマウス等を来たす病気です。
本来自分の体を守るはずの免疫が、自分自身を攻撃してしまう自己免疫性疾患と言われる病気の一種で、涙腺や唾液腺のほかに、様々な臓器に障害を来たすことも少なくありません。シェーグレン症候群は様々な臓器がダメージを受ける為症状は人それぞれですが、重症度が全く異なるという特徴があります。
シェーグレン症候群は、他の膠原病に合併する「二次性シェーグレン症候群」と、他の膠原病に合併しない「原発性シェーグレン症候群」に分けられます。
発症する原因はまだ解明されていませんが、中年以降の女性の発症率が高いことが解っています。男女比は男1人:女17人と、女性に多く発症します。特に膠原病の一種である、関節リウマチ患者の約20%はシェーグレン症候群を発症しています。
シェーグレン症候群の原因
シェーグレン症候群は、免疫のバランスが崩れることで、涙腺や唾液腺を始めとする自分自身の臓器を攻撃してしまう病気です。しかし、何が原因で免疫のバランスが崩れるかは解明されていません。
また、シェーグレン症候群の約2%は同一家系内で発症するとのデータもあることから、遺伝の関連性も考えられています。その他、ウイルス感染、女性ホルモンの変動、たばこ等の環境要因等、複数の要因が重なり合うことで発症すると考えられています。
シェーグレン症候群の症状
症状で最も多いのは、目や口が乾燥するドライアイやドライマウスです。涙腺や唾液腺がリンパ球という血液細胞に攻撃をされることで機能が低下し、涙や唾液の分泌が減少することで、これらの症状が出ます。ドライアイやドライマウスを発症すると、目の乾きによって目がコロコロした感じがしたり、痛みが出たり、充血を起こすこともあります。口は乾燥することで雑菌がわきやすくなり虫歯や歯周病になりやすくなります。
目や口以外に、ダメージを受けた臓器に伴う症状が出ることもあります。関節炎や甲状腺疾患、間質性肺炎、慢性気管支炎、胃炎、尿細管性アシドーシス、皮疹等、症状は多岐に渡ります。
症状の進行は様々ですが、悪性リンパ腫を合併することもありますので注意が必要です。
シェーグレン症候群の治療と予防
シェーグレン症候群の治療
現在シェーグレン症候群を根治する治療法はわかっていません。そのため、対症療法で症状の緩和を目的とした治療が行われます。
例えば、涙が少なく目の乾きがある場合には人工涙液の目薬を処方し、乾燥所見が強い場合は涙点プラブや涙点焼灼術等の処置をします。唾液が減少し口が渇くと、虫歯になりやすく食後や就寝前の歯磨きをして口の中をきれいに保つことが重要です。人工唾液のスプレーで口の乾燥を緩和したりセビメリン、ピロカルピン等の内服薬を服用して唾液分泌を刺激します。また、3割の方に臓器の障害が合併することがありその場合は免疫抑制療法が必要となります。
尚、対症療法はあくまでも症状を一時的に緩和する為のもので、進行を遅らせることはできません。しかし近年では、免疫抑制剤の一種がシェーグレン症候群に有効という報告もあることから、実用化に向けた研究が進められています。
シェーグレン症候群の予防
シェーグレン症候群は原因がわかっていない為、確実な予防法はありません。しかし、ウイルス感染や生活習慣が原因と考えられることから、ウイルス感染対策や生活習慣の見直しが予防に繋がると考えられます。
生活習慣の改善としては、栄養バランスの取れた食事や適度な運動、十分な休養を心掛けましょう。ストレスは女性ホルモンに悪影響を及ぼすこともある為、ストレスを溜め過ぎないように注意し、過度なダイエットも避けてください。また、喫煙もシェーグレン症候群だけではなく、様々な病気を引き起こす恐れがある為避けるべきです。
安佐南内科リウマチ科クリニック 院長舟木 将雅
【経歴・資格・所属学会】
○安佐南内科リウマチ科クリニック 院長
※資格など
○日本リウマチ学会リウマチ専門医・指導医
○日本呼吸器学会呼吸器専門医•呼吸器内視鏡専門医
○日本内科学会認定医
※所属学会
○日本リウマチ学会
○日本呼吸器学会
○日本内科学会