脳塞栓

脳塞栓とは、脳以外(心臓など)から血栓などの栓子が流れてきて脳内の血管に詰まる病気です。脳塞栓は、脳内の細い血管が詰まるラクナ梗塞や、脳内の比較的太い血管が動脈硬化により詰まるアテローム血栓性脳梗塞など、「脳梗塞」の中の一種です。

脳塞栓の原因

脳塞栓の中でも最も頻度が高いのが心原性脳塞栓症ですが、脳梗塞の中では約25%を占めると言われています。

脳塞栓を引き起こす原因として多いのが、心房細動や心臓弁膜症などの心臓病です。脳塞栓のうち70%以上は心房細動の血栓によるものと言われています。心房細動は加齢と共に発症率が高くなり、70歳を超えると5~10%の人に起こると報告されています。

脳塞栓の症状

脳塞栓の主な症状は半身麻痺や言語障害、意識障害などです。心臓で作られた血栓が脳へ運ばれ血管が詰まるので、急激に重篤な症状が出現し死に至ることもあります。また、日中行動しているとき等活動時に発症するという特徴があります。

脳塞栓の治療と予防

脳塞栓の治療

脳塞栓の治療は、急性期(発症したばかりの時期)と慢性期(病状が落ち着いてからの時期)により異なります。

急性期は少しでも早く治療をすることが重要です。症状が出てから4.5時間以内であれば、tPAという注射を静脈から点滴して、血栓を溶かす治療を行います。また、カテーテルを鼠径部等から脳の血管まで入れて、血栓を直接溶かす或いは取り除く治療が行われる場合もあります。

慢性期の治療は、再発予防が基本です。抗凝固薬等の内服により、血管が固まりにくくする治療を行います。抗凝固薬には血液をサラサラにして血栓を形成させにくくする効果がありますが、原因となっている疾患に対する治療も並行して行われます。

脳塞栓の予防

脳塞栓は、不整脈、心臓弁膜症、心筋梗塞等により発症します。そのため、これらの予防及び早期の治療が脳塞栓の予防に繋がります。特に不整脈(心房細動)は脳塞栓を引き起こす危険が高いと言われていますので、健診などで心房細動を指摘された方は早期に循環器内科へ受診し精査するようにしてください。

また、生活習慣の乱れも原因となりやすいため、規則正しい生活を送ることも大切です。減塩を意識した食事、適度な運動、十分な休養、禁煙や禁酒を心掛け、生活習慣の見直しをしましょう。

さらに、血液の固まりを防ぐために、脱水にも注意が必要です。脱水は夏に起こり易いというイメージがありますが、高齢者は喉の渇きを感じにくいため、冬でも脱水症状が見られます。こまめに水分補給をし、脱水予防をして下さい。

この記事の監修

ながお脳神経外科クリニック 院長長尾 光史

超高齢化社会を迎えつつある日本において、これからの医療は予防医学がますます重要となってくる中で、脳卒中は3大死因のひとつでもあり、また寝たきりになる原因疾患の第1位です。その再発予防はさることながら、いかに発症を予防していくかが最重要であると考えています。
そこで、高血圧症、高脂血症、糖尿病などのいわゆる生活習慣病を背景とした動脈硬化の予防管理も含め、既存のクリニックにはないMRI機器を導入することにより、早期発見・早期治療に努め脳卒中の予防を中心に地域の皆様の健康維持に微力ながら貢献してまいりたいと思っております。不安を持っておられる方が気楽に受診できる環境を整え、迅速に検査を行い当日結果説明ができる体制をとっておりますので、どうぞお気軽に受診、ご相談ください。

【経歴・資格・所属学会】

略 歴
平成7年5月 大阪医科大学附属病院 脳神経外科教室 入局

[主な勤務病院]
畷生会脳神経外科病院
翠清会梶川病院
弘田脳神経外科病院
大阪府三島救命救急センター
児玉病院
大阪医科大学附属病院 麻酔科
みどりヶ丘病院
新生病院 部長
荒木脳神経外科病院 副院長
平成22年12月 ながお脳神経外科クリニック 開院

免許・資格
平成7年5月 医師免許取得 平成13年7月 医学博士号取得 平成13年8月 日本脳神経外科学会専門医取得

掲載情報について

本サービスは情報提供サービスであり、本サービスにおける医師・医療従事者等による情報の提供は診療行為ではありません。
診療を必要とする方は、必ず医療機関や医師にご相談の上、専門的な診断を受けるようにしてください。
本サービスで提供する情報の正確性について適正であることに努めますが、内容を完全に保証するものではありません。
※掲載情報には自由診療の内容が含まれている場合がございます。費用等については、直接医療機関にお問い合わせください。

トップ