疥癬
疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニという疥癬虫が皮膚に寄生して感染することで発症する病気のことです。人から人へ感染し、家族内で感染したり老人ホーム等で集団感染したりすることもある等、感染拡大し易い病気です。
そんな疥癬には、通常疥癬と角化型疥癬の2つのタイプがあります。通常疥癬は数十匹以下、角化型疥癬は100万〜200万匹です。尚、角化型疥癬は、ノルウェー疥癬とも呼ばれています。
疥癬の原因
疥癬はヒゼンダニ(疥癬虫)が、皮膚の角質層に寄生して感染することで発症します。ヒゼンダニの成虫は大きさ0.2~0.4mmです。そのため、角質内部に寄生して産卵し繁殖します。感染してから4〜6週間かけて多数のダニに増殖し、糞や虫体が皮膚にアレルギー反応を起こしてかゆみ等の症状が現れます。
ただし角化型疥癬は、角化型疥癬の患者から感染した場合、3〜5日と短い潜伏期間を経て発症するという特徴があります。衣類や寝具を介して感染することが多くあります。
ヒゼンダニは前述の通り、人から人へ感染します。主な感染経路は、感染者との直接的なスキンシップ、衣類、寝具類等です。特に介護を必要とする人がいる家族や老人ホーム、病院等は、ヒゼンダニの感染経路に当てはまるため感染拡大し易くあります。
疥癬の症状
感染後、4~6週間の潜伏期間、角化型疥癬は3~5日程度の潜伏期間を経て症状が出現します。手のひら、指の側面、指と指の間、首、脇の下、下腹部、臀部、陰部等、様々な部位に赤いぶつぶつ(丘疹、結節)見られます。さらに男性の場合は、性器の陰嚢部等に硬いしこりが見られることが多くあります。数mm~数cmの細いわずかに隆起した白色の線ができ、疥癬トンネルと言って、その中に卵や糞があり、先端には成熟した雌が潜んでいます。きわめて強い痒みがあり、特に夜間が強くなります。しかし、高齢者や角化型疥癬を発症している方は、かゆみを訴える方が少なくあります。
疥癬の治療と予防
疥癬の治療
駆虫薬であるイベルメクチンの内服が第一選択薬です。成虫に対して有効ではありますが、虫卵に対しては無効であるため、1~2週間後に再検査をして疥癬虫が証明されれば再投与します。外用薬は、フェノトリンローションやイオウ剤、クロタミトンクリームといった塗り薬が使われます。また、かゆみ等の症状を抑えるために、抗ヒスタミン薬の使用が検討されることもあります。
疥癬の予防
疥癬を予防するためには、感染者との接触を避け、タオルや衣服は共有せず、同室で布団を並べて寝るのを避けることが予防に繋がります。
通常疥癬では通常の感染症対策が実施できれば、特別な隔離は必要ありませんが、角化型疥癬はきわめて感染力が強いため、感染者の衣類、シーツ類は毎日交換し、50℃以上のお湯に10分以上浸した後に洗濯して下さい。感染者と接するときは予防着と手袋を着用し、部屋に入るときはスリッパや靴を履き替えましょう。部屋はモップ、粘着シートで落屑を回収し、掃除機で清掃しましょう。
古江駅前すみれ皮ふ科 院長東儀 那津子
【経歴・資格・所属学会】
平成18年
北里大学医学部 卒業
平成18年
北里大学病院 初期研修医
平成20年
北里大学病院 皮膚科入局
平成23年
北里大学病院 助教
令和2年
北里大学病院 診療講師
北里大学病院のほか、大和市立病院、昭和大学病院藤が丘病院形成外科、
座間総合病院、武蔵村山病院、神奈川県内の皮膚科・美容皮膚科で勤務
【所属学会】
日本皮膚科学会
皮膚悪性腫瘍学会
日本美容皮膚科学会
日本アレルギー学会
【資格】
医学博士
日本皮膚科学会専門医・指導医
厚生労働省臨床研修指導医
ボトックスビスタ®︎認定医