むち打ち損傷

むち打ち損傷の原因

むち打ち損傷とは、追突事故などの交通事故やスポーツなどで、首に急な衝撃が加わり、首が前後左右に振られることによって、首周辺の筋肉や靭帯などの軟部組織が損傷することで起こります。骨折や脱臼がない首の軟部組織損傷のことをむち打ち損傷と言い、通常、頚椎捻挫、外傷性頸部症候群と診断書に記載されます。むち打ち損傷(外傷性頸部症候群)は、患者さん自体が自覚症状を持ちながら、客観的な所見がとらえられないことがほとんどですが、難治化する場合もあります。衝撃の強さなどによっては、首の骨折や頚髄損傷などの恐れもあるため注意しなければいけません。

むち打ち損傷の症状

むち打ち損傷の主な症状は、首まわりの痛みです。衝撃を受けた直後は、極度の興奮・緊張状態になっているため、これといった不調や痛みなどを感じない傾向があります。しかし、しばらく時間が経ってからや数日経過したころに、頭痛、首や肩の痛み、手のしびれなどの症状が出てくるようになります。

中には「バレー・リュー症候群」と呼ばれる症状がみられることもあります。バレー・リュー症候群では、頭痛や頭重感、吐き気、めまいや耳鳴り、眼のかすみや視力低下、心臓部の痛みや息苦しさ、のどの違和感や飲み込みにくさなどの症状がみられます。後頚部の交感神経が頚椎の関節にできた骨棘により刺激され、頚椎を通る椎骨動脈が攣縮して起こると言われています。

むち打ち損傷の予防と治療

むち打ち損傷の治療方法は、損傷具合によって多岐にわたります。

レントゲン撮影やMRI、CT検査などの精密検査を行い、骨折や、首まわりの靱帯・神経・筋肉に損傷がないかなどを確認します。

保存療法を行う場合は、受傷して発症直後の3日~1週間ほどは、症状が出ている箇所や状態に合わせて、湿布、筋弛緩薬・消炎鎮痛剤などを使用し、痛みを緩和していきます。首の痛みが強く出ている場合は、首を固定するための頚椎固定用装具を使って安静にしますが、過度な安静は逆効果であり、72時間以上は装着しません。1週間が経過し痛みが和らいでくると、筋力低下の予防や関節可動域を改善するための電気治療やストレッチなどのリハビリテーションを行います。

この記事の監修

やまぐち整形外科リハビリクリニック 院長山口 一敏

昭和47年に前院長が当地に山口整形外科病院を開業させていただき、私もこの祇園で育ちました。高校卒業後は県外で過ごしましたが、平成15年に広島に戻り、平成26年より山口整形外科病院・副院長として祇園に戻ってまいりました。子供の頃はまだ近所に田んぼや畑がたくさんあり、近くの野山で虫捕りや魚釣りなどをして遊んでおりましたが、今では大型商業施設もある現代的な街に変化し、時の流れと年齢を感じざるを得ません。患者様に対して専門的な言葉や用語はできるだけ使わず、わかりやすい言葉でご説明するように心がけております。説明がわかりいくい時や疑問に思われることがあれば、遠慮なくおききください。前院長が築いてきた地域に根差した医療を継承し、適切な診断・治療とともに、患者様の思いに寄り添う医療をこれからも続けてまいります。

【経歴・資格・所属学会】

【経歴】
1986年 修道高校卒業
1996年 同志社大学卒業
2003年
 関西医科大学卒業、広島大学整形外科学教室入局
 広島大学病院(研修医)(~9月)
 マツダ病院(研修医)(~2005年3月)
2005年 松山市民病院
2007年 広島共立病院
2009年 安芸太田病院
2014年 山口整形外科病院
2021年 やまぐち整形外科リハビリクリニック開業

【資格】
日本整形外科学会認定整形外科専門医

【所属学会】
日本整形外科学会

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