子宮頚管ポリープ
子宮頸管ポリープは,子宮頸管上皮粘膜が増殖して隆起性病変を形成することにより発生する良性腫瘍です。まれな疾患ではなく婦人科疾患の約4%にみられ、30~60歳代の経産婦に好発するといわれます。多くは無症状ですが、場合によっては出血することがある他、悪性の可能性もゼロではないため摘出しての病理組織検査が必要です。(必要に応じて切除手術が行われます。)
子宮頚管ポリープの原因
子宮頚管ポリープの明確な原因は明らかになっていません。発症する要因としては、慢性的な炎症や、高エストロゲン状態や細菌感染などがあると考えられています。
子宮頚管ポリープの症状
通常は無症状で検診での際発見されることが多いですが、典型的な症状は性器出血と帯下異常です。子宮頸管ポリープの組織はうっ血していることが多く、性交などの刺激により容易に出血を来します。また感染している場合には、膿性の白色帯下を認めることもあります。
子宮頚管ポリープの予防と治療
子宮頚管ポリープの予防
自覚症状が無く気付き辛いため、定期的に検診を受けることが大切です。また、おりものの増加や出血が見られた際には、放置せずに受診してください。なるべく早く発見し、適切な治療を受けましょう。
また、一度発症し切除手術を受けた人でも、その後何度も再発する可能性があります。定期的な受診によって、再発を防止することが大切です。子宮頸がんといった重大な病気を見逃さないことも含め、定期検診を受ける習慣を付けるようにしましょう。
子宮頚管ポリープの治療
切除法は、腟鏡診後ペアン鉗子などでポリープ茎の起始部を狭鉗し、一方向へゆっくり回転させポリープを引き抜く捻除術が簡便で最もよく行われます。しかし大きなポリープやポリープ茎が太いときは、局所麻酔または全身麻酔を用いて茎の基底部を結紮した後に切除します。起始部がはっきりしない場合は,子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫の可能性もあるため、子宮鏡で確認後切除するのが望ましいです。切除後は少量の出血があっても数日で止まるので特別処置は必要ないことが多いですが、出血が多い場合や再発防止目的に電気焼灼や凍結療法、レーザー処理などを施行する場合もあります。切除後に基底部の一部が残存していると再発することもあるため、定期検診を続けることが必要です。
妊娠中に発見された場合、切除するかどうかは医師と相談しましょう。切除が原因で出血や感染に繋がり、出産に影響を与える恐れがあるため治療は見送るべきだという考え方があります。一方で、ポリープの存在が出血や感染に繋がるため、事前に切除すべきだという考え方もあり、定まっていません。症状の程度やポリープのサイズを見極めた上で、適切な治療方法を選択して下さい。
ひらた女性クリニック 院長平田 英司
【経歴・資格・所属学会】
広島県呉市出身、幼少期は福山市育ち
広島市立袋町小学校, 広島大学附属中・高等学校 出身
長崎大学医学部医学科 卒業
広島大学産科婦人科学教室 入局
以後、JA尾道総合病院、呉共済病院、公立御調病院、四国がんセンター、
広島大学病院(診療講師、統括医長、医局長)、東広島医療センター(医長)に着任
【資格】
医師免許
学位(甲、広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 外科系専攻)
日本産科婦人科学会専門医・指導医
婦人科腫瘍専門医
細胞診専門医
母体保護法指定医
【所属学会】
日本産科婦人科学会(専門医・指導医、役員(幹事)歴あり、代議員歴あり)
日本婦人科腫瘍学会(婦人科腫瘍専門医、代議員歴あり)
日本臨床細胞学会(細胞診専門医)
日本周産期・新生児学会
日本女性医学学会(旧更年期学会)
日本産科婦人科遺伝診療学会
日本エンドメトリオーシス学会(旧内膜症学会)
日本癌治療学会
日本癌学会