いざというときに家にあると便利なのが常備薬。突然のケガや体調不良でも、常備薬があれば慌てて病院や薬局にかけこまなくて済みます。
しかし、いったいどのような薬を常備しておけばいいのか悩んでしまいますよね。そこで今回は、万が一のときにあると便利な常備薬を3つのパターンにわけて紹介します。
家族構成によって常備しておくべき薬は違ってきます。まずは大人向け(15歳以上)に常備しておくと便利な薬を見ていきましょう。
頭痛や生理痛、発熱などに有効なのが解熱鎮痛薬です。そのほか、歯の痛みやのどの痛み、腰痛や関節痛などの痛みにも効果があります。
総合風邪薬も頭痛に使えますが、ほかにも多くの成分が入っているものがほとんどです。副作用が起きやすくなるため、頭痛しか風邪の症状がない方は総合風邪薬ではなく解熱鎮痛薬を使うようにしましょう。
医療用のロキソニンと同じ成分が配合された解熱鎮痛薬です。眠くなる成分は入っていません。市販の解熱鎮痛薬のなかではもっとも効果が高いものです。とくに症状がつらいときに向いているでしょう。
イブプロフェンが主成分の解熱鎮痛薬です。眠くなる成分やカフェインは入っていません。液体カプセルなので速く溶け、素早く症状を抑えてくれます。
総合風邪薬は熱や頭痛、鼻水や咳など、風邪で表れやすい症状をひととおり抑えられる薬です。複数の症状が出ている場合は、総合風邪薬を使うと便利でしょう。
ただし、風邪薬に風邪を治す効果はありません。あくまで症状を抑えて体を楽にするだけのものなので注意してください。
解熱鎮痛成分であるイブプロフェンが最大量配合されています。そのほか、炎症を抑えるトラネキサム酸、去痰成分であるアンブロキソールなども配合された風邪薬です。とくに頭痛やのどの痛みがつらい方に向いています。
胃のむかつきや吐き気、飲み過ぎや食べ過ぎに有効なのが胃腸薬です。複数の症状に対応できる総合風邪薬を常備しておくと便利でしょう。
胃酸を中和したり胃を保護したりする成分が配合された胃腸薬です。胃痛やむかつき、胃もたれや胃酸過多など気になる症状をやわらげます。
胃のはたらきをよくする生薬が配合された胃腸薬です。生薬のほかに、胃酸を中和する成分や消化酵素も含まれています。食べすぎて胃が苦しいときにも効果的です
急にお腹を下したとき、下痢止めがあると安心できますよね。ただし、細菌やウイルスなど感染症が原因の下痢は、下痢を止めることで病原体の排出が遅れて症状が長引く可能性があります。感染症が疑われるときは、医師の診察を受けるようにしてください。
腸の異常な収縮を抑え、腹痛や下痢を抑えます。水なしで服用できるので、仕事や学校など出かけるときのカバンに入れておくと便利です。
湿布薬は、肩こりや腰痛、筋肉痛や関節痛などを抑えます。1日1回貼れば効果が持続する貼り直しがいらないタイプが使いやすいでしょう。
鎮痛効果の高いロキソプロフェンナトリウム水和物が主成分です。1日1回貼るだけで効果が24時間続きます。微香性なので周りに湿布薬のにおいが広がる心配もありません。
市販ではもっとも鎮痛効果が高い湿布薬です。1回はれば24時間にわたり効果が持続します。
子どもは驚くほど急に体調を崩すものです。「朝までは元気にしていたのに…」と急な体長変化にうろたえてしまうこともあるでしょう。
子どもは体調を伝えるのがあまり上手ではないため、基本は病院の受診をおすすめします。病院が開いていなかったり、症状が軽かったりする場合は市販薬で様子を見てみるのもよいでしょう。
熱や頭痛があるときは、解熱鎮痛薬が使えます。総合風邪薬にも解熱鎮痛成分は入っていますが、熱性痙攣を起こしやすくなる抗ヒスタミン薬が配合されているものがほとんどです。
そのため、とくに小さな子どもには総合風邪薬はあまりおすすめできません。できるだけ総合風邪薬ではなく、解熱鎮痛薬を選んで使用してください。
3歳から使える解熱鎮痛薬です。アセトアミノフェンが熱や頭痛などの症状を抑えます。噛んで服用できるチュアブルタイプなので、錠剤をうまく飲み込めない子どもでも服用しやすい薬です
7歳から使える解熱鎮痛薬です。胃に優しいアセトアミノフェンが主成分として配合されています。眠くなる成分は入っていません。
下痢が続いているようでしたら、下痢止めを使うことで脱水症状の予防になります。ただし、あまりに腹痛が強く、吐き気や発熱などの症状もある場合は早めに医療機関を受診してください。
3か月の赤ちゃんから使える下痢止めです。殺菌成分や消化剤、収れん成分などが配合されています
子どもの皮膚は大人と比べて未熟なため、ちょっとした刺激で肌荒れを起こしてしまうものです。肌荒れに備えて保湿剤を準備しておくと安心でしょう。
高い保湿効果をもつヘパリン類似物質が主成分の保湿剤です。お肌に水分を与えると同時に血行を促進し炎症を抑えることで肌荒れを改善します。
お肌を保護する効果が高い保湿剤です。保湿として使うのはもちろん、小さな傷の保護剤としても使えます。
災害はいつ何時起こるかわかりません。防災リュックや緊急用の救急セットに薬も一緒に入れておくと体調を崩してしまった場合でも対応できます。
災害時に体調を崩したときや、ケガをしたときに解熱鎮痛薬が役立ちます。
液体タイプの解熱鎮痛薬です。すぐに水が手に入らない状況でもすぐに服用できます。成分はロキソニンと同じです。
水なしで飲めるアセトアミノフェンが主成分の解熱鎮痛薬です。口の中に入れるとさっと溶けます。効果はマイルドなほうですが、胃への負担が少ないことが特徴です
災害時は避難場所のように慣れない環境で睡眠を取らなければいけないことがあります。不安や恐怖心で眠れないときは、睡眠改善薬を使うと眠りやすくなるでしょう。
寝付きの悪さや眠りの浅さを改善する薬です。寝る30分前に服用してください。
災害時は清潔な環境を保つのが難しくなるため、傷から細菌やウイルスが侵入しやすくなります。化膿を防いだり湿疹に対応できたりするよう、塗り薬を準備しておきましょう。
2種類の抗生物質が配合された塗り薬です。幅広い細菌に対して効果を発揮します。
夏から秋にかけては虫が多い季節です。避難中や片付けの最中に虫にさされてしまうことがあるので、常備薬として準備しておくとよいでしょう。
かゆみを抑える成分と、赤みや腫れを抑える成分、殺菌成分などが配合されたかゆみ止めです。ステロイドが配合されているため、赤みや腫れが強いときにも対応できます。
災害時はいつケガをしてしまうかわかりません。薬ではありませんが、傷口を保護して血液を介した感染を防ぐためにも絆創膏やガーゼは準備しておきましょう。ガーゼを止めるためのテープも忘れないように注意してください。
やわらかい素材でできているため、傷口にぴったりとフィットします。関節に貼っても剥がれにくいのが特徴です。
傷口にくっつきにくい仕様になっています。一枚ずつ個包装になっているので、ハサミで切る必要がありません。
高血圧や糖尿病など、災害時は普段飲んでいた薬が手元になく飲めなくなることがあります。救護所や診療所で診察を受けることはできますが、これまで飲んでいた薬の名前をしっかり覚えている方はあまり多くありません。
そのようなときに便利なのがお薬手帳です。何の薬をどれくらいの用量で飲んでいるのかがすぐにわかるため、診察がスムーズに進みます。同じ薬の用意がなかったとしても、代替薬をすぐにお渡しできるのもメリットです。
東日本大震災が起きたとき、お薬手帳を持参している方とそうでない方とでは、薬を渡すまでの時間に大きな差があったといいます。災害時はお薬手帳が唯一の情報源となることが少なくありません。必ずお薬手帳も携帯するようにしましょう。
常備薬があることで、いざというときに助かるのは間違いありません。しかし、薬を2~3日使っても症状の改善が見られない場合は、医療機関を受診するようにしてください。常備薬はあくまで症状が軽かったり、すぐには病院に行けなかったりするときに使うものです。
市販薬で症状を抑えることで重大な疾患をマスキングしてしまい、治療が遅れてしまうこともあります。早めに適切な治療を受けるようにしましょう。
何かあったときのために常備薬を準備しておくと便利です。薬局やドラッグストアが開いていなくても慌てることがありません。今回紹介した薬を参考に、常備薬を選んでみてください。
ただし常備薬は、あくまで症状が軽くすぐに病院に行けないときに使うものです。薬を服用しても症状の改善が見られない場合は、早めに受診するようにしましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
薬には、大きくわけて市販薬と処方薬の2種類があります。市販薬は薬局やドラッグストアなどで購入できるもの、処方薬は医師に処方してもらうものです。
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