治ったと思ったら再びできるのをくり返すニキビ。皮膚科で治療をするのが一番ですが、学校や仕事が忙しくてなかなか受診できないこともあるでしょう。
そのようなときに役立つのが市販のニキビ治療薬です。
あまりに炎症が強く、膿んでいるニキビの治療には向いていませんが、ある程度の症状であれば市販薬でも対応できます。今回は、ニキビの状態別に適した市販薬を見ていきましょう。
逆にニキビを悪化させてしまう市販薬についても解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
ニキビができる原因は、年齢によって違います。10代のころにできる思春期ニキビと、20代になってからできる大人ニキビとではケアの方法も違うので注意しましょう。
思春期ニキビは、皮脂の過剰分泌が原因です。分泌された皮脂が毛穴に詰まり、アクネ菌が繁殖することでニキビができます。皮脂分泌量が多い鼻周りや頬にニキビがよくできる場合は、思春期ニキビだと考えられるでしょう。
思春期ニキビの場合は、十分な洗顔で過剰な皮脂を取り除くことでニキビの予防ができます。
大人ニキビは、お肌の乾燥や生活習慣などが原因です。お肌が乾燥することでバリア機能が低下したり、古い角質が剥がれず毛穴を塞いだりすることでニキビができます。洗顔のしすぎはかえってニキビを悪化させるため、適度な洗顔と保湿、生活習慣の見直しを行いましょう。
ニキビは、症状や進行具合によって主に次の4つにわけられます。
市販で対応できるニキビは、白ニキビと黒ニキビ、そして赤ニキビです。ただし、赤ニキビも炎症が起きている状態なので、できれば皮膚科での治療を優先してください。黄ニキビの場合は市販薬での対応が難しいので早めに皮膚科を受診しましょう。
白ニキビや黒ニキビは、皮脂が毛穴に詰まっているだけでまだ炎症は起きていません。そのため、毛穴の詰まりを取る市販薬が有効です。
角質をやわらかくして毛穴の詰まりを改善するイオウ、殺菌作用のあるレゾルシン、炎症を抑えるグリチルレチン酸などが配合されています。
角質をやわらかくするイオウ、細菌を殺菌するレゾルシン、炎症を抑えるグリチルレチン酸に加えて、患部を乾燥させて保護する酸化亜鉛が配合された塗り薬です。クリームが肌色になっているので、治療しながらニキビが目立たないよう隠せます。
赤ニキビは、アクネ菌などの雑菌が繁殖して炎症を起こしている状態です。そのため、炎症を抑える成分が入っているニキビ治療薬の使用が向いています。
炎症を抑えるイブプロフェンピコノールと、殺菌作用のあるイソプロピルメチルフェノールが配合された塗り薬です。さらっとした塗り心地でお肌がベタつきません。
イブプロフェンピコノールが炎症を抑え、イソプロピルメチルフェノールがアクネ菌を殺菌します。うるおい成分配合です。ベタつかないので、塗った上からでもメイクできます。
市販薬にはニキビ用の塗り薬だけでなく、内側からケアできる飲み薬もあります。ニキビは塗り薬での治療が基本とはなりますが、よりしっかりと治療したい方は飲み薬を併用するのもよいでしょう。
生理前になるとニキビが悪化しやすい方向けの飲み薬です。桂枝茯苓丸料がホルモンバランスによる不調を改善します。紫がかったニキビや白ニキビがある方に効果的です。
肌細胞の生まれ変わりを助け、ターンオーバーを促すビタミンB群が配合されています。エネルギーを効率よく作るのに必要なビタミンB1も配合されているため、疲労が気になる方にも向いている飲み薬です。
十味敗毒湯は、お肌にたまっている余分な水分を外に出すことでお肌を正常にしていきます。化膿しているニキビのほか、水虫や蕁麻疹などにも効果がある飲み薬です。
「何をしても治らなかったニキビがこれのおかげでツルツル肌に」と、SNSやYouTubeでテラ・コートリル軟膏やフルコートなどのステロイド含有剤がおすすめの薬として紹介されているのをよく見かけるものです。
いわゆるインフルエンサーと呼ばれる方たちがおすすめしているのを見ると、「ニキビにはステロイドが効果的らしい」と思ってしまいますよね。しかし自在には、ニキビの治療にステロイド剤の使用は推奨されていません。
日本皮膚科学会が作成した尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017を見てみると、「炎症性皮疹にステロイド外用を推奨しない」とはっきり書かれています。治療効果に関しても確かな根拠は得られていません。
痤瘡にステロイド外用を行った海外の RCT49)~51)に よると,ステロイド含有外用薬と基剤に統計学的有意 差はなく,ステロイド外用により皮疹が改善したとするエビデンスはない.
たしかにステロイド剤を使用すると、一時的に炎症が治まるのでニキビが治ったように見えるかもしれません。
しかし、そもそもステロイド剤そのものにニキビを誘発する働きがあることをご存知でしょうか。長期的に使用しているとかえってニキビが悪化する可能性があるため、ニキビ治療にステロイド剤の使用は向いていません。
テラ・コートリル軟膏やフルコートなどを含む市販のステロイド剤の効能効果を見てみると、どれもニキビに対しての効果が記載されていないことがわかります。医薬品を使って大きな副作用が出た場合、副作用被害救済制度といって救済給付を受けることが可能です。
しかし副作用被害救済制度は薬を正しい使い方で使用した場合にしか給付されません。そのため、市販のステロイド剤をニキビ治療に使った場合は給付の対象外となります。
ニキビを悪化させる可能性があること、大きな副作用が出ても給付の対象外となることから、市販のステロイド剤はニキビ治療に使わないようにしてください。
病院でよく使われているニキビ治療薬として、ディフェリンゲルやベピオなどが知られています。ディフェリンゲルは角化を調節することで毛穴の詰まりを改善するもの、ベピオは角質を剥がして毛穴の詰まりを改善し、アクネ菌などを殺菌するものです。どちらも市販薬では扱いがありません。
ディフェリンゲルやベピオは、尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017においてニキビ治療への使用が強く推奨されているお薬です。一方で市販薬に使われているイオウやイブプロフェンピコノールなどは選択肢の一つとしては推奨されているものの、推奨度はディフェリンゲルやベピオなどと比べると低くなっています。
このように、市販薬は病院と比べて推奨度の低い治療薬しか扱いがありません。より高い効果を求めるのなら、病院で治療を受けることが望ましいと考えられます。
ニキビ治療は、ニキビの状態に合わせた治療を行うことが大切です。市販薬を2週間ほど使っても改善が見られない場合は成分が合っていなかったり効果不足だったりする可能性があります。
炎症が強くなるとニキビ跡が残りやすくなるため、適切な治療を受けるためにも上記に該当する方は皮膚科を受診するようにしましょう。
白ニキビや黒ニキビ、赤ニキビであれば市販薬でも治療できます。白ニキビや黒ニキビがある方は毛穴の詰まりを改善する成分が配合されているもの、赤ニキビがある方は炎症を抑える成分が配合されているものを選びましょう。
市販薬にはニキビ治療への使用が推奨されているディフェリンゲルやベピオなどの取り扱いがありません。これらの薬と比べると効果が劣る薬しか扱いがないため、市販薬を使っても効果がなかったり炎症が強いニキビができていたりする方は皮膚科を受診して適切な治療を受けましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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