骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。
骨粗鬆症には2種類あり、閉経後の女性が発症しやすい「原発性骨粗鬆症」という症状が90%を占めます。もう一種類は「続発性骨粗鬆症」という症状です。
骨粗鬆症の原因
骨粗鬆症は、骨の強度が低くなりもろくなることで発症します。骨の強度は、骨密度と骨の質が関係しており、うち70%が骨密度、30%が骨質です。
骨粗鬆症のほとんどは「原発性骨粗鬆症」です。原発性骨粗鬆症は疾患が原因となることはなく、主に女性ホルモンの低下や加齢によって引き起こされます。健康な骨を維持する為には、骨の形成や吸収といった代謝のバランスが大切です。
しかし、加齢と共にビタミンDの不足や副甲状腺ホルモンの働きが変化するにより、骨代謝のバランスが崩れていきます。特に女性は閉経や加齢により、骨の分解を抑制するエストロゲンというホルモンの分泌が急速に低下します。これにより、骨の形成が吸収に追いつかなくなり、骨粗鬆症を引き起こしやすくなります。
また、加齢以外にも、無理なダイエットや偏食によって、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK等が不足し、骨粗鬆症を引き起こすことがあります。さらに、遺伝的要因が関係することもわかっています。
一方の「続発性骨粗鬆症」は、特定の病気や薬に影響されて発症します。特定の病気とは、甲状腺機能亢進症等の内分泌疾患、呼吸不良症候群等の栄養機能に関連する疾患、糖尿病等の生活習慣病等です。また、ステロイド等の薬剤も続発性骨粗鬆症を引き起こすことがあります。
特に糖尿病は骨折しやすい疾患で、男性が骨粗鬆症を発症した場合の多くは、糖尿病によるものです。
骨粗鬆症の症状
骨粗鬆症の自覚症状はほとんどありません。そのため、骨がもろくなっていることに気付かず、骨折してから判明するケースが多数です。しかし骨粗鬆症に気付かずにいると、くしゃみや転倒等のわずかな衝撃でも骨折することがあります。
年代により骨折しやすい部位は異なり、50歳代頃は手首の骨である橈骨(とうこつ)や脊椎の骨の主要である椎体が折れやすいとされています。60歳代になると椎体が一層折れやすくなり、70歳代になると椎体骨折の他に、大腿骨や上腕骨も折れやすくなります。
大腿骨を骨折すると寝たきりになる恐れがあるため、特に注意が必要です。
骨粗鬆症の治療と予防
骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症の治療は薬物療法を中心に、生活習慣の改善も行います。骨粗鬆症の治療には、骨の吸収を少なくする骨吸収抑制薬、骨の形成を助ける骨形成促進薬、カルシウムの吸収料を増やす骨・カルシウム代謝調整薬の3種類を使うことがほとんどです。高齢になればなる程、処方期間が長くなる傾向があります。
また、骨粗鬆症の治療にはバランスの良い食事と適度な運動が効果的です。そのため、薬物療法と共に生活習慣の見直しも行います。
骨粗鬆症の予防
骨粗鬆症を予防する為には、栄養バランスの良い食事と、適度な運動が必要です。
食事面は栄養バランスに注意しながら、骨の重要な構成成分であるカルシウムを積極的に摂取しましょう。カルシウムは牛乳やヨーグルト等の乳製品、ひじき等に多く含まれています。
また、カルシウムの吸収を促進するビタミンDや、骨へのカルシウムの取り込みを助けるビタミンK等も合わせて摂取すると、効率よく骨を形成できます。
さらに、適度な運動をして筋力の低下を予防することも大切です。骨がもろくなると、軽く転んだだけでも骨折することがあります。日頃から運動をする習慣をつけて、筋力が低下しないようにすることで、骨折の予防に繋がります。
骨粗鬆症になると寝たきりになったり介護が必要になったりと、生活の質を大きく損なうことがあります。生活習慣を見直して骨粗鬆症を予防しましょう。
いずた整形外科クリニック 院長泉田 泰典
【経歴・資格・所属学会】
○平成11年3月
島根医科大学医学部(現島根大学医学部)医学科 卒業
○平成14年4月
広島大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医 科学専攻 病態制御医科学講座 入学
○平成17年4月
ペルージャ大学(イタリア)整形外科・外傷外科学 留学(臨床リサーチフェロー)
○平成18年3月
・広島大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医 科学専攻 病態制御医科学講座 修了
・学位(医学博士)取得
【専門医認定等】
○日本整形外科学会認定 整形外科専門医
○日本専門医機構認定 整形外科専門医
○日本整形外科学会認定 スポーツ医
○日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
○日本整形外科学会認定 リウマチ医
○日本人工関節学会 認定医
【所属学会】
○日本整形外科学会
○日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)
○日本人工関節学会
○日本骨粗鬆症学会 …等