インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる気道と肺のウイルス感染症です。インフルエンザウイルスは季節性があり、主に冬に大流行します。

構造の違いにより、A型・B型・C型の3つに分けられ、季節性のインフルエンザとしてA型・B型のウイルスが毎年流行を繰り返します。例年11月~12月頃に流行が始まり、季節性ピークは1月~3月です。

インフルエンザの感染経路は主に2つあり、1つ目はインフルエンザウイルスに感染した人の咳やくしゃみ等で飛び散った飛沫を吸い込むことにより感染する飛沫感染です。2つ目は、インフルエンザウイルスが付着した手指や物に触れることで感染する接触感染です。

潜伏期間は1日~4日程度です。インフルエンザは、普通の風邪とは重症度が異なります。特に小児や高齢者では、インフルエンザ脳炎や肺炎等を合併して重症化することがあります。

インフルエンザの原因

インフルエンザは、喉や気管支、肺にインフルエンザウイルスが感染・増殖することで発症します。インフルエンザは、主にインフルエンザに感染した人の咳やくしゃみ等で飛び散った、飛沫に含まれるインフルエンザウイルスを口や鼻から吸い込むことで感染します。

また、インフルエンザウイルスの付着した手指や物に触れて感染する、接触感染も見られます。気道の粘膜に吸着し、細胞内に侵入したインフルエンザウイルスは、喉、気管支、肺で急激に増殖します。

インフルエンザの症状

インフルエンザウイルスに感染後、1日~3日の潜伏期間を経て、インフルエンザを発症します。突然起こる38℃以上の高熱や頭痛、関節痛、筋肉痛、食欲不振や全身倦怠感といった全身症状が強く現れることがインフルエンザの特徴です。

その後、咳・鼻水・喉の痛み等の上気道炎症状が現れます。小児や妊婦、高齢者、心臓や呼吸器の病気、腎臓病や糖尿病、免疫不全等慢性疾患を持つ方は重症化しやすく、インフルエンザ脳炎や肺炎、急性呼吸窮迫症候群、心筋炎、急性心膜炎等合併症を起こすことがあります。

普通の風邪とインフルエンザの症状の違い

普通の風邪では、くしゃみや喉の痛み、鼻水、鼻づまり等上気道症状が主症状です。しかし、インフルエンザでは、咳や喉の痛み、鼻水のほか、全身倦怠感や食欲不振、関節痛、筋肉痛、頭痛といった全身症状が主症状です。

また、発症後の経過が緩やかな普通の風邪に比べ、インフルエンザの症状は急激に進行します。発熱に関しても、37℃~38℃が一般的な風邪に対して、インフルエンザでは、38℃以上の高熱が突然現れます。更に大きく異なる点は、インフルエンザは重症化するとインフルエンザ脳炎や肺炎等合併症を起こすことです。

インフルエンザの治療と予防

インフルエンザの治療

インフルエンザが疑われるときは、早めに医療機関を受診しましょう。迅速検査キットを用いて、綿棒で鼻の奥から粘液を採取することで、およそ15分で感染の有無が確認できます。

ただし、迅速検査キットは、ある程度の量のインフルエンザウイルスがなければ反応しません。正しい検査結果を出すには、発熱後12時間~24時間の経過が必要です。

インフルエンザの治療には、インフルエンザウイルスの増殖を抑える抗インフルエンザウイルス薬が使用されます。年齢や重症度、全身状態のほか、持病の有無により、点滴、内服薬、吸入薬から選択されます。抗インフルエンザウイルス薬の効果を発揮するためには、発症後48時間以内に服用・吸引する必要があります。早めに服用・吸引することで、発熱等の症状が軽減され、早期回復が期待できます。

解熱後2日~3日は、体内に残っているインフルエンザウイルスで周りの人に感染させてしまう可能性があるため、なるべく外出は控え、自宅で療養しましょう。抗インフルエンザウイルス薬のほか、症状に合わせて、解熱鎮痛剤や抗菌薬、鼻水を抑える薬等を用いた対症療法が行うこともあります。症状が改善しても、自己判断せずに処方された薬はきちんと使いきりましょう。また必要に応じて、胸部エックス線検査を行い肺炎の有無を調べることもあります。

インフルエンザの予防

インフルエンザの予防には、流行前のワクチン接種が有効です。しかし、ワクチンを接種していても発症することはあります。それでも、インフルエンザの重症化を防ぐ効果があり、健康被害を最小限に抑えることが期待できます。

また、インフルエンザウイルスは多湿に弱いと言われているため、室内湿度を50%~60%に保つことを心掛けてください。感染リスクを下げることが期待できます。

インフルエンザは、繫華街等の人ごみで感染することが多いため、インフルエンザの流行時期には、不要な外出は控えましょう。外出の際は飛沫感染を防ぐには、マスクの着用が有効です。また、手指や喉等に付着したインフルエンザウイルスを除去するためには、こまめな手洗いやうがいが有効です。接触感染を予防するため、帰宅時には必ず手洗い、うがいをしっかり行ってください。十分な睡眠をとって休養すること、十分な水分補給も予防策には重要です。

この記事の監修

はるた呼吸器クリニック 院長春田 吉則

このたび2018年12月、広島平和公園近隣である堺町におきまして新規開院させていただきました、はるた呼吸器クリニック院長の春田吉則と申します。
大学病院勤務時代には、喘息・アレルギー専門外来にて15年余り診療経験を積み、また主たる基礎・臨床研究におきましても喘息研究に専念してまいりました。また医薬連携活動として「アズマネット広島」の事務局として企画、運営させていただいており、広島市薬剤師会および広島大学病院薬剤部の薬剤師の方々と連携し、ぜんそく患者さんのための活動を10年余り携わってきました。
今後もここ広島におきましてアレルギー・呼吸器領域の専門クリニックとして、これまでの経験と連携を活かし、微力ながら地域の方々の健康のため貢献できるよう切磋琢磨して参りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

【経歴・資格・所属学会】

※略歴
広島大学医学部卒業
中国労災病院・広島大学病院・広島アレルギー呼吸器クリニック八丁堀等で勤務

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