肺がん
肺がんはがん細胞が肺に発生する病気です。肺の入り口部分の太い気管支に発生する「中心型肺がん」と肺の奥にある細い気管支に発生する「末しょう型肺がん」があります。中心型肺がんは喫煙者によく発生します。末しょう型肺がんは喫煙していない方でもなる確率が高い肺がんです。
肺がんの原因
肺がんの主な原因は喫煙と受動喫煙です。しかし、食生活や空気中に含まれる有害物質、女性ホルモンが原因で肺がんが発生する場合もあります。アルミニウムやヒ素、アスベスト、PM2.5も肺がんの発生原因です。
エストロゲン補充治療を受けた女性は、肺がんのリスクが向上しています。そのため、女性ホルモンは肺がんの原因だとされています。遺伝も原因の一つです。人間には要らない細胞を排除する「修復」という機能があります。しかし、遺伝により修復の機能が弱い人もいます。修復の機能が弱いと要らない細胞が増え続け、がんが発生してしまうのです。
肺がんの症状
肺がんが発生すると咳や痰、血の混じった痰、胸の痛み、息苦しさ、発熱等の症状が現れます。咳や痰が2週間以上続くといった症状で発見されることもあります。がんは初期症状が出にくく、ある程度進行してから自覚症状が出始めます。
肺がんの治療と予防
肺がんの治療
手術療法
手術療法の中にも3つの方法があります。がんのある部分だけを切除する「縮小手術」、片方の肺の上半分を切除する「肺葉切除術」、片方の肺をすべて切除する「片側肺全摘手術」の3つです。縮小手術は肺の極一部を切除するだけのため、身体へ余り負担をかけることがありません。ただし、転移が起こりやすい治療法です。肺葉切除術は広範囲で肺を切除します。そのため、転移の心配は少なくなります。片側肺全摘手術は完治の可能性が高い治療法です。しかし、片方の肺をすべて切除するため、身体への負担は大きく体力のない方や年配の方だと行うことが困難です。
手術療法は骨や脳、副腎などにがんが転移していた場合、手術療法は行えません。
放射線療法
放射線療法はX線をがんが発生している部位に直接照射する治療法です。がんを死滅させることや小さくすることができます。副作用は皮膚が日焼けのように赤くなり痛むといった症状で、終了後2週間程で治まりますが、時に放射線による肺炎を併発することがあります。治療中から終了後6ヶ月以内に起こりやすいといわれており、しばらくの期間咳や息切れなどの症状に注意が必要です。
薬物療法
薬物療法はがんの増殖を防ぎ、小さくするといった効果があります。薬剤には、がん細胞の増殖を阻害する「細胞障害性抗がん薬」、がんを構成している分子に狙いを定めて攻撃する「分子標的薬」、免疫を回復させる「「免疫チェックポイント阻害薬」の三種類があります。薬剤の役割は手術前にがんを小さくすること、転移や再発を防ぐことです。
肺がんの予防
肺がんは主にたばこが原因とされています。そのため、禁煙は非常に有効な予防策となります。有害物質も原因の一つです。排気ガスの多い道での散歩やランニングを避けることも予防になります。マスクをすることも効果的です。肺がんには大豆に含まれるイソフラボンが効果的です。毎日の食に大豆製品を一つでも取り入れると予防になります。ただし、摂りすぎには注意する必要があります。また、がん全般の予防に効果的な飲酒を控える、食生活、生活習慣、免疫をあげる等をすると良いでしょう。
がんは予防をしていても発生します。そのため、定期的に検査を受け早期発見に努めましょう。
はるた呼吸器クリニック 院長春田 吉則
【経歴・資格・所属学会】
広島大学医学部卒業
中国労災病院・広島大学病院・広島アレルギー呼吸器クリニック八丁堀等で勤務