目のかゆみが長引いていたり、充血したりしていませんか?このような症状が続いている場合、結膜炎の可能性があります。結膜炎は、市販薬で治療することも可能です。
しかし、結膜炎といってもさまざまな種類があるため、すべての症状に市販薬の使用が向いているわけではありません。今回は、結膜炎にはどのような種類があるのか、市販薬で治療する場合はどういった商品が候補となるのかについて詳しく解説します。
結膜炎とは、結膜の部分に炎症が起きている状態です。白目の部分のことを結膜といい、充血したり目やにが出ていたりする場合は、結膜炎の可能性があります。黒目に近い部分よりも、目元や目尻に近いほうが充血しやすいことが特徴です。
結膜炎の種類は一つではありません。原因によってさまざまな種類があります。ここでは、代表的な5つの種類の結膜炎について見ていきましょう。
クラミジアが目に感染することで起こる結膜炎です。性感染症として知られるクラミジアですが、実は性器以外に目に感染することもあります。結膜の部分に袋状の腫れが見られ、ねばねばした目やにが出ることが特徴です。目の症状だけでなく、排尿痛や尿道の不快感などが同時に見られることもあります。
黄色ブドウ球菌やインフルエンザ菌、肺炎球菌などが感染して起こる結膜炎です。目やにや結膜の充血が見られます。多いのは、黄色ブドウ球菌の感染です。ウイルス性結膜炎と比べると感染力は高くありません。細菌が原因のため、抗生物質の目薬を使用することで治療ができます。
花粉やハウスダストなどが原因で起こる結膜炎です。原因となるアレルゲンへの接触を少なくすることで症状を緩和できます。アレルギー性結膜炎の特徴は、目やにや充血に加えてかゆみが出やすいことです。
まぶたの裏にブツブツができることもあるでしょう。治療には、アレルギー反応を抑える抗アレルギー薬の入った目薬が使用されます。
アデノウイルスによって起こる結膜炎です。おもに手を介して感染します。発症は突然起こることが多く、まぶたがむくんだり涙が出てきたりなどの症状が代表的です。感染力が高いため、片目に発症するともう片目にもうつってしまうことがほとんどでしょう。潜伏期間は8~14日ほどです。
エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによって引き起こされる結膜炎です。結膜が真っ赤になるほど充血します。目の痛みや異物感から始まり、結膜下出血やまぶたのむくみ、目やになどが出ることが多いでしょう。
専用の治療薬は存在しないため、二次感染を防ぐために幅広い菌に効果を示す抗菌目薬が用いられることがあります。出血がひどいため患者さんは驚いてしまいますが、あざと同じで時間が経てば自然と出血は引いていくので安心してください。
結膜炎の治療は、種類によって異なります。ウイルスが原因で起こる流行性角結膜炎や急性出血性結膜炎には、原因ウイルスを排除するための効果的な目薬が存在しません。そのため、対症療法として炎症を抑える目薬が使われます。
また、細菌による感染を防ぐために、抗生物質の目薬を使用することもあるでしょう。アレルギー性結膜炎の場合は、アレルギーを抑える目薬や炎症を抑えるステロイドなどが用いられることが一般的です。細菌性結膜炎では、細菌をやっつける抗生物質の目薬が使用されます。
このように、結膜炎とひとくちで言っても、原因によって行なわれる治療はさまざまです。目やにが出ているから、目が充血しているからといって市販の目薬を適当に選んでも効果が出ないこともあるでしょう。市販薬で対処できる結膜炎は、細菌性結膜炎とアレルギー性結膜炎のみと考えておいてください。
結膜炎を予防するためには、以下のことに気をつけて過ごすようにしましょう。
手を介して感染する結膜炎もあるので、手洗いはとても大切です。目を触る前、触った後は必ず手を洗いましょう。目やにを取る場合は、手では取らずにティッシュで拭き取り、ほかの方が触れないようすぐに捨ててください。
アレルギー性結膜炎の方は、アレルゲンが多いところに行かないようにするのもポイントです。アレルゲンを避けて生活するだけでも症状は落ち着きます。また、できればコンタクトレンズではなくメガネを使うようにしましょう。コンタクトレンズに細菌やウイルス、アレルゲンが付着すると目に長時間とどまることになるので、結膜炎のリスクが上がってしまいます。
すべての結膜炎を市販薬で治療できるわけではありません。そもそもウイルスが原因の結膜炎は、専用の治療薬が存在しないことがあります。目やにや充血がある場合は結膜炎の可能性がありますが、自分で原因を確定することはできません。そのため、市販薬で対処する場合は「おそらくこれが効くだろう」という基準で目薬を選ぶことになります。
色がついた目やにが出る場合は、細菌やウイルスに感染している可能性があります。このような場合は、抗生物質が配合された目薬を選びましょう。抗生物質はウイルスに対して効果はないものの、二次感染を防ぐ効果があります。目やにの状態だけで結膜炎の種類を断定することは難しいですが、一つの判断基準としてみてください。
かゆみが強い場合は、アレルギー性結膜炎の可能性があります。このような場合は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などかゆみを抑える成分が配合された目薬がおすすめです。アレルギー用の目薬を使用することで、症状をある程度抑えられるでしょう。
しかし、症状が進んでいる場合は市販薬では対処できない場合もあります。市販の目薬を使用してもかゆみが治まらない場合は、早めに眼科を受診してください。
では、結膜炎に使用できる市販の目薬を紹介します。ここでは、抗生物質が入ったものと、アレルギー症状を抑えるものとを紹介しているので、自分の症状に合わせて適切な商品を選んでみてください。
1回使いきりになった、小分けの目薬です。抗菌作用をもつスルファメトキサゾール、炎症を抑えるグリチルリチン酸二カリウムやイプシロン-アミノカプロン酸などが配合されています。使いきりタイプなので、衛生的に使用できることが大きな特徴です。
配合成分 | スルファメトキサゾール グリチルリチン酸二カリウム イプシロン-アミノカプロン酸 ピリドキシン塩酸塩 |
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使用方法 | 1日3~6回、1回2~3滴を点眼する |
抗菌作用のあるスルファメトキサゾールのほかに、炎症を抑えるグリチルリチン酸二カリウムやかゆみを止めるクロルフェニラミンマレイン酸塩なども配合された目薬です。目やにも目のかゆみも気になるという方に向いています。
配合成分 | スルファメトキサゾール グリチルリチン酸二カリウム クロルフェニラミンマレイン酸塩 酢酸d-α-トコフェロール |
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使用方法 | 1日5~6回、1回2~3滴を点眼する |
アレルギー症状を抑えるクロモグリク酸ナトリウム、かゆみを抑えるクロルフェニラミンマレイン酸塩、炎症を抑えるプラノプロフェンなどが配合された目薬です。かゆみが強く出ている方に向いています。コンドロイチン硫酸エステルナトリウムが傷ついた角膜を保護してくれるので、かきすぎてダメージを受けた瞳にもおすすめです。
配合成分 | クロモグリク酸ナトリウム クロルフェニラミンマレイン酸塩 プラノプロフェン コンドロイチン硫酸エステルナトリウム |
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使用方法 | 1日4回、1回1~2滴を点眼する |
結膜炎には非常に多くの種類があります。自分で何が原因で結膜炎になっているのかを見極めることはとても困難です。市販の目薬で症状が落ち着くこともありますが、以下のような方はできるだけ早めに眼科を受診するようにしてください。
眼科でしか対応できない結膜炎も多いため、いつもと違う様子があれば早めの受診がおすすめです。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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