「うつ病に効く市販薬が知りたい」「どうすればうつ病を治せるの?」
うつ病は誰でもなり得る病気です。精神科や心療内科などで治療を受けられますが、予約がいっぱいで受診するまで数か月待ちという状況が珍しくありません。受診できない間、何も治療せずうつ病と向き合うのはつらいですよね。少しでも症状を楽にするために、市販薬を使ってみようと考える方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、うつ病の治療に使われる市販薬について紹介します。
「うつ病」という言葉は、おそらく多くの方が耳にしたことがあるかと思います。悲しい気持ちやつらい気持ちは誰でも自然と感じるものです。しかし、これらの気持ちが長い期間にわたって続いているようなら、うつ病かもしれません。
うつ病とは、憂鬱な気分が続いたり食欲がわかずご飯が食べられなくなったりする病気のことです。「心の病気」と言われることがありますが、気の持ちようでどうにかなる病気ではありません。
脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンなど、やる気や活力に関与している物質が減少することで発症すると考えられています。
うつ病の症状としては、次のものが一般的です。
上記のような症状が2つ以上続いている場合はうつ病の可能性があります。うつ病は自然治癒することもありますが、治療をしたときと比べると治るまでに時間がかかるのが普通です。うつ病だと思われる症状が出たら、なるべく早めに治療を受けましょう。
根本的な原因はセロトニンやノルアドレナリンが不足することにありますが、そのきっかけとなりやすいのが周囲の環境です。たとえば人間関係のトラブルはうつ病を引き起こしやすいものとして知られています。学校や仕事でうまくいかず、うつ病になる方が少なくありません。
結婚や離婚、妊娠や出産を機にうつ病になる方もいます。また、うつ病になりやすい性格も関係しています。責任感が強く、完璧主義だったり几帳面だったりする方はうつ病のリスクが高いので注意しましょう。
このほか、遺伝も関係していると考えられています。二等親以内の血縁者にうつ病の方がいる場合、発症率は2~3倍高くなることが明らかです。
うつ病になるのは心が弱いせいではありません。さまざまな要因によって、うつ病を発症するのです。うつ病になったからといって自分を責めないようにしましょう。
うつ病になった場合は、まず体と心をしっかり休めることが大切です。原因が分かっているときは、原因を取り除くように努めましょう。
うつ病の方はセロトニンやノルアドレナリンが不足しています。不足したセロトニンやノルアドレナリンを薬で補うのが薬物療法の役割です。抗うつ薬と呼ばれるものを使用します。
効果が出るまで少し期間がかかりますので、しばらく続けて服用しなければなりません。抗うつ薬以外に、漢方薬や不安を取り除く薬が使われることもあります。
精神療法とは、カウンセリングなどを行うことにより、ものの見方や感じ方を変えてストレスを軽くしていく治療法です。うつ病を治すためには薬物療法や休養が必要だとされていますが、この2つだけでうつ病になりやすい環境を変えることはできません。精神療法を行うと思考や行動のパターンを見直すことができます。
環境療法とは、うつ病の発症に関係している職場や家庭などの環境を整え、ストレスを軽くしていく治療です。
うつ病に使われる治療薬には多くの種類がありますが、うつ病発症の原因となる環境を取り除かなければ、いくら薬を飲んでも完治させるのは難しいでしょう。環境療法は、うつ病と関わりの深い環境を変えていくことで、完治を目指していきます。
市販で抗うつ薬の取り扱いはありません。では、不安を取り除くために使われる精神安定剤は市販で購入できるのでしょうか。
残念ながら、抗うつ薬と同じで精神安定剤も市販では購入できません。精神安定剤が欲しい場合は、医療機関を受診する必要があります。
うつ病の治療には、漢方薬が使われることもあります。一部の漢方薬は、市販でも購入が可能です。漢方薬でも体に合うものを使えばうつ病の症状が楽になってきます。
抗うつ薬や精神安定剤は市販されていませんので、市販薬でうつ病の治療をしたい方は漢方薬を選んでみましょう。
それでは、市販で購入できる漢方薬を紹介します。漢方薬は体質に合わせて選ぶことがとても大切ですので、自分に合うものをここで見つけてみてください。
半夏厚朴湯は、のどがつっかえる感じがある方によく使われる漢方薬です。風邪を引いているわけでもないのにのどの異物感が気になる、ストレスが溜まりがちという方に向いています。体力が中等度で気分がふさぎ込みがちであり、のどの異物感がある方向けです。気のめぐりを良くすることで症状を改善していきます。
加味逍遙散は、体に溜まった熱を冷まし、さらに血を補うことでイライラや不眠症などの症状を改善する漢方薬です。体力が中等度以下で、疲れやすく精神が不安定になったりイライラしやすかったりする方に使われます。
抑肝散はイライラしやすい方によく使われる漢方薬です。神経症や不眠症などにも使われます。体力が中等度で神経が高ぶりやすい方に向いています。体質にはあまりこだわらず使えますので、どのような方でも使いやすいでしょう。
うつ病の症状そのものにアプローチするわけではありませんが、補助的に使える市販薬もいくつかあります。
うつ病になると、眠りに関しての悩みを抱える方もいます。ドリエルは主成分のジフェンヒドラミン塩酸塩によって寝付きの悪さや眠りの浅さを改善する薬です。一時的な不眠の症状の改善に適しています。
ウットは精神の興奮を抑える薬です。ブロモバレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素、ジフェンヒドラミン塩酸塩が神経を落ち着かせて鎮静させます。ほかの鎮静剤や風邪薬、一部の解熱鎮痛剤と併用すると成分がかぶる可能性があるので、これらの薬とは一緒に使わないようにしましょう。
生薬の力でイライラや興奮、緊張を抑える薬です。鎮静作用のあるパッシフローラエキスやカノコソウエキスなどが配合されています。神経が高ぶって寝られないときやストレスでかっとなりやすいときに役立つでしょう。
うつ病の治療は、医療機関を受診して行うことが基本です。うつ病かなと思ったら、早めに受診して治療を始めましょう。精神科や心療内科は予約が必要なことが多いため、まずは予約するところから始めます。
受診できるまで数か月待つ必要があるときは、一時的に市販薬を使用して様子を見ても構いません。市販で購入できるうつ病の薬は限られているので、市販薬だけで治そうとはせず、必ず受診するようにしてください。
医療用とまったく同じ抗うつ薬や精神安定剤は、市販では取り扱いがありません。ただし、漢方薬なら精神科や心療内科などで使われているのと同じものが購入できます。
半夏厚朴湯や加味逍遙散、抑肝散などがうつ病の治療に使われていますので、自分の症状や体質に合うものを選んでみてください。
うつ病の治療は医療機関を受診して行うことが基本ですので、市販薬の使用は一時的なものにとどめ、早め受診して治療を始めましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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